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 今や金属製のボールとなったレラには、味など分からないはずなのに、何故か口中に苦いものが広がるような感覚が思い出された。


 感覚のフィードバック現象か?


 レラはメフィストを説き伏せ、急かし、宇宙船の定期便によって、ここまでやって来た。


 ザウムウッドに着くまでの2日間、レラは生きた心地がしなかった。


 いや、厳密に言うならば、彼女はもう、死んでいるのだが。


「僕は正直、研究室は出たくなかったよ。でも、君が復讐するなら…それをぜひ、観察させて欲しい。その許可をもらえるならと思って、無理して出てきてる。このことは、決して、片時も忘れないでいてもらいたい。これは純然たる、君への貸しだということを。そもそも僕は…」


 メフィストが、ひっきりなしに話す言葉はもう、レラの耳(の機能を持つ部品)には入らない。


(ミア…お願い…生きていて…)


 それだけを切実に願い続けた。


 宇宙港でレンタルエアカーを借り、ミアの住む家へと丘を走らせてきた2人は、夜の闇の中、ライトに照らされた、以前は立派な1軒家であったであろう無惨な焼け跡を見つけた。


 メフィストは、あれほど喋っていた口をつぐみ、エアカーを焼け跡のそばに止めるとレラを両手で持ち、外へと降りた。


 焼け落ちた家の中で、玄関の木枠だけが形を保っていた。


 そして、そこに。

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