108
「仕方ないよ。今回の仕事は条件が良いから。大人しく並ぼう、ジロー」
モッキュがジローに言った。
ジローが不機嫌になる。
並ぶのが嫌いだった。
「わあ! かわいい!」
突然、少女の声がした。
人混みの中から現れた女の子がモッキュに駆け寄り、抱き上げる。
ジローよりも少し年下か?
あどけなさの残る、かわいらしい顔。
市販されているコンバットスーツを着ている。
頭にはピンクのヘルメット。
ヘルメットにはホログラムアニメのキャラクターステッカーが、ベタベタと貼ってある。
右の太ももに付けたホルスターに、初心者でも使い易いタイプのハンドガンが納められていた。
女の子は抱き上げたモッキュの頬に自分の頬をくっつけた。
モッキュの顔が押されて、ギュッとなる。
ジローの両眼がヤキモチで三角になった。
「アワワ。ボクはモッキュ。こちらはパートナーのジローだよ」
モッキュが女の子に言った。
女の子がジローに会釈する。
「私はミアっていいます」
「ミアちゃん、よろしくね」
モッキュがミアを見つめた。
「ジロー。ミアちゃんを見てると、チェイミーを思い出さない?」
モッキュが言った。
ジローは頷いた。
以前、惑星シュトレルで出逢ったミーコと、いっしょに居た少女チェイミー。




