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「バイクのキーを」


 レラが右手のひらを上にして、メフィストに突き出した。


 メフィストが息を大きく吸い込む音が鳴った。


「レラ、僕と君が離れるのは効率が悪すぎる。僕たちは、いっしょに居るべき」


 レラの右拳がメフィストの隣のモニター群の上へと振り下ろされ、粉々に破壊した。


「早く渡して」


 レラが言った。


 爆発しそうになる感情を必死で抑えていた。


 メフィストは、バイクのキーをレラに渡した。


 レラは倉庫の入口付近へ行くと、何かにかけてある布をめくった。


 銀色に輝く、バイクとサイドカーが現れる。


 レラは布をたたみ、裸のミアの身体に巻き、即席のドレス代わりにした。


 ミアは姉を心配そうに見ている。


 レラはミアをサイドカーに乗せ、自分はバイクに跨がった。


 キーを差し、エンジンをかける。


「レラ!!」


 メフィストがレラに駆け寄った。


「君が僕を許せないなら、それも仕方ない! でも、さっき言ったメンテナンスの話は本当だ!!」


 バイクのエンジン音に負けないために、メフィストは大声で言った。


「妹さんだって、定期的に経過を見ないと! いいかい、どんなに僕が嫌いだとしても帰ってくるんだ! 少なくとも3ヶ月後には帰ってくるんだ!」


 メフィストはレラの右肩に手を置いた。


 レラがメフィストを、にらみつける。

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