106
「バイクのキーを」
レラが右手のひらを上にして、メフィストに突き出した。
メフィストが息を大きく吸い込む音が鳴った。
「レラ、僕と君が離れるのは効率が悪すぎる。僕たちは、いっしょに居るべき」
レラの右拳がメフィストの隣のモニター群の上へと振り下ろされ、粉々に破壊した。
「早く渡して」
レラが言った。
爆発しそうになる感情を必死で抑えていた。
メフィストは、バイクのキーをレラに渡した。
レラは倉庫の入口付近へ行くと、何かにかけてある布をめくった。
銀色に輝く、バイクとサイドカーが現れる。
レラは布をたたみ、裸のミアの身体に巻き、即席のドレス代わりにした。
ミアは姉を心配そうに見ている。
レラはミアをサイドカーに乗せ、自分はバイクに跨がった。
キーを差し、エンジンをかける。
「レラ!!」
メフィストがレラに駆け寄った。
「君が僕を許せないなら、それも仕方ない! でも、さっき言ったメンテナンスの話は本当だ!!」
バイクのエンジン音に負けないために、メフィストは大声で言った。
「妹さんだって、定期的に経過を見ないと! いいかい、どんなに僕が嫌いだとしても帰ってくるんだ! 少なくとも3ヶ月後には帰ってくるんだ!」
メフィストはレラの右肩に手を置いた。
レラがメフィストを、にらみつける。




