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倉庫の壁まで歩いたレラはメフィストを持ち上げ、無理に立たせた。
メフィストの背中を壁に叩きつける。
メフィストの肺から、空気が一気に吐き出された。
「何故、黙ってたの!?」
レラが怒鳴った。
メフィストの鼓膜が破れそうな大声だった。
メフィストの顔が真っ青になった。
彼が恐れ、何とか無理矢理に通り抜けようとしていた不安な難所が、やはり、彼の前に立ち塞がったのだった。
「あなたはミアを生き返らせれた!」
レラの赤い瞳が激しい怒りに燃え上がった。
「レラ、違う! 厳密に言うと、生き返ってはいない! 妹さんはクローンなんだ。本当の妹さんは亡くなったんだよ! マンマ・ハッハたちに殺されて!!」
メフィストも語調を荒げた。
レラの左手がメフィストのアゴを掴み、押さえつけた。
「あなたは妹が、ほとんど元に戻ると知ってたのに隠してた! あたしに復讐の選択肢しかないと思い込ませてた!!」
「それはどうかな!? 例え、このことを君に教えていたとしても、何も変わらなかったんじゃないか!? 君の怒りは収まらなかったと思う。結局、マンマたちを血祭りにあげたと僕は思うね!!」
「あのとき、どうするかは、あたしが決めることだった! あなたが決めることじゃない!」




