101
「君の復讐も終わったし、ひとつ報告したいのだけど…」
メフィストがモニターのひとつを見つめ、キーボードを叩きだす。
倉庫に突如、低い機械音が響いた。
レラは音の方向を向いた。
メフィストが自身のクローンを管理していたカプセルの隣にある、同じ形のカプセルからの音だ。
カプセルから蒸気が吹き出し、前面にある扉が左右にスライドした。
蒸気が晴れると、開放された扉から1人の少女が出てきた。
裸だ。
少女の顔を見たレラが驚きの声をあげた。
「ミア!!」
その少女は、まぎれもなくレラの妹ミアだった。
髪の毛が短いだけで、他は以前、すなわち、死ぬ前と何も変わらない。
レラはミアに駆け寄り、抱き締めた。
その瞳には涙が光っている。
「ミア!!」
抱きつかれたミアは最初、寝惚けたような顔をしていたが、次第に表情が、しっかりとしてきた。
レラの顔を見て、戸惑っている。
「誰ですか?」
レラに言った。
レラはハッとなった。
慌てて、ガラスメガネを装着し、元々のレラの姿へと変身する。
「お姉ちゃん!」
今度はミアが驚き、レラに抱きついた。
抱き合う姉妹の後ろにメフィストが立った。
「実は妹さんの家に行ったとき、彼女の皮膚を少し、もらっておいたんだ。それで、僕のクローンを造るマシンで妹さんを復元してみた」
メフィストは、まくしたてた。
何かを恐れているようだった。
「死後1日が経っていた割には、上手くいったと思う。記憶の復元率は90%くらいかな。もちろん、最後の日の記憶は僕が削除してあるから、妹さんが亡くなる1日前の状態だね」
メフィストは、チラチラとレラを窺った。




