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「ああ、いいんだよ、そんなことは」
「あなたのおかげでミアの仇が討てた。それで…」
これからなんだけど…。
あたし、ここに居て…あなたといっしょに暮らしてもいいかな?
レラが、そこまで言おうとしたところでメフィストが割り込んだ。
大きく両手を振って、レラの話を遮る。
「ちょっと、待って!」
ポケットから音声レコーダーを取り出し、録音スイッチを入れた。
「復讐を成功させた、今の気持ちを教えて欲しいんだよ」
「ああ…」
レラは口ごもった。
しばらくの後、口を開く。
「確かに達成感はあるわ。ミアは、もう帰っては来ないけど…たむけにはなったと思う」
レラが言い終わるとメフィストはレコーダーのスイッチを押し、録音を止めた。
「なるほど! 興味深い!」
メフィストはモニター群の前へと座り、キーボードで何やら入力し始めた。
レラの復讐に関するリポートのまとめか?
メフィストの趣味。
このためにレラを手伝ったのだから、当然とは言えた。
レラはメフィストの背後に立ち、そっと、その肩に右手を置いた。
「これでオッケーだ! 君の復讐データが、これで完成した! 完璧だよ!」
メフィストが振り返り、レラに微笑みかけた。
まるで子供だ。
「メフィスト、あたしたち」
「ああ! そうだ!」
メフィストが大声を出した。




