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第36話 反撃開始!

「おいチェシャ、見たか今の」

 俺の右腕が一瞬、鏡の中に入って行った。まるで白銀さんの「鏡の国」みたいに。

「にゃああ。これはまた、とんでもない魔法が目覚めてしまったようだにゃ」

 チェシャ猫は嬉しそうに笑っている。

 

「俺にも『鏡の国』が使えるのか?」

「にゃはは。そうだけどそうじゃないにゃ。Sランク魔法『罪深き右腕』。魔法発動時に術者に右手で触れていると、その魔法を自らのものにできるにゃ。ただしストックは1つの魔法のみだがにゃ」

「凄い魔法じゃないか」

「今ストックされているのは『鏡の国』にゃ。そう言えば登校のために鏡をくぐるとき、いつも二人は手をつないでいたからにゃあ」

「……たしかに」

 

 とにもかくにも、これで光明は見えた。俺も「鏡の国」を使えるのであれば、白銀さんが今いる場所を探す時間が、大幅に短縮される。

 

 俺は、チェシャと一緒に「鏡の国」を使いまくった。

 白銀さんと俺が一緒に飛んだ場所、白銀さんとチェシャが一緒に飛んだ場所、それらをしらみつぶしに調べて行ったのだ。

 

 そしてついに、「鏡の国」が弾かれる場所に行きついた。

 どんなにはっきりとイメージしても、「鏡の国」で入ろうとすると弾かれてしまうのだ。

 つまり、行き先の鏡が魔法結界の中に入っていることを示している。

 

 魔法結界の中にあるその場所は……俺が井の頭公園に行く前に白銀さんと一緒に着替えた、吉祥寺の高層マンションの一室だった。

 

「にゃははは。あとは現場に向かって踏み込むだけだにゃあ」

 チェシャはやる気満々という顔をしている。

 チェシャがどういう能力を持っているのかはわからないが、狩猟能力の高い猫科の動物、しかも魔力を持っているのだ。心強い戦力になるだろう。

 

「ああ。……だが、どう思う? 俺とチェシャだけで行くべきか? それとも北条兄弟にも助力を仰ぐべきだろうか」

「……そなた、なぜ悩む?」

「え……」

「それが剣であれ盾であれ、多い方がよいに決まっているではにゃいか?」

 

 ……チェシャの言う通りだった。

 戦力は多い方がいい。

 二人を危険に巻き込んでしまう。ケガをさせてしまうかもしれない。命さえも危険にさらしてしまうかもしれない。それでも。今は白銀さんを助けるために全力を尽くすべきだ。

 

 今の時間は14時45分。6時間目の授業が終わる5分前だ。

 俺は北条姉弟、それぞれにメールを送った。至急話したいことがあるので、生徒会長室に来てほしいと。

 それから、チェシャとともに「鏡の国」で生徒会長室に飛ぶ。

 北条姉弟は、すぐにやってきてくれた。

 

 俺は、これまでの出来事、そしてこれからやることを二人に伝える。

 それから、二人に頭を下げる。

「これから向かう場所は、とても危険なところだ。あの白銀さんが、少なくとも連絡を取れなくされているくらいだから。でもどうか、二人にも力を貸してほしい。もちろん敵には俺が先頭で向かっていく。二人とチェシャには、俺に何かあったら、俺の代わりに白銀さんを助けてあげて欲しいんだ」

 

「爽太くんはさあ、もうゆめちゃんと付き合ってるの?」生徒会長が言う。

 この人はこんな緊迫した場面で何を言ってるんだ?

「いや、まさか」

「だったら、私や芳介と立場は変わらないじゃない」

「……」

「私たちは生徒会よ。わが校の生徒に何かあったら、助けるのが当然でしょ?」

 生徒会長はそう言って、ウィンクをする(たぶん。実際は片目は閉じて片目は半開きの不細工な表情になっていたが)

 おお、あの生徒会長が本当に生徒会長っぽいことを言っている。

 

「たしかに姉さんは連れて行った方がいい」芳介が言葉を重ねる。「高層マンションに侵入したいなら、姉さんの洗脳能力が必要だ。管理人か、住人か、警備員か、いずれにせよ、姉さんの能力がないと中に入れないはずだ」

 なるほど。その視点はなかった。

「そしてもちろん……」芳介が続ける。「僕も行くよ。僕の『観察能力超補正』を白銀さんに使っていれば、こういう事態になる前に止められたはずだからね。そこですでに後悔をしている。だからせめて、ここからの自分の行動に悔いは残したくないんだ」

 

「二人とも……ありがとう」

「だから、謝られる筋合いはないんだって。みんな思いは同じよ」

 生徒会長が微笑んでくれる。なんだよ、普通にめっちゃいい人じゃないか。

 

 白銀さんがこの二人を仲間に引き込んだのは、大正解だった。これほど心強い味方はいない。

 俺たちは急ぎ吉祥寺に向かうことにする。中野駅から中央線に乗って、ほんの3駅。何らかの修羅場が、俺たちを待っているはずだ。

 

「……頼む、白銀さん。無事でいてくれよ」

 

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