幼馴染に振られた俺は、偶然出会った竜に連れ去られて弟子にされた
「私は勇者であるリュウトについていく事にしたから」
その言葉はまるで鈍器で頭を殴られたような衝撃だった。
綺麗な黒髪を腰まで伸ばし、黒曜石のように輝く瞳、男なら誰もが見惚れるほどの美少女ーー俺の幼馴染で、初恋の相手で、将来を約束した美少女のリリアはそう言った。
余りにも突然の事で俺は反応する事が出来なかった。ようやく絞り出して出せた言葉が
「……ど、どうしてだ?」
だった。自分でも驚くほどか細い声だった。俺は震える足に頑張って力を入れてリリアを見る。
「どうしてって私がリュウトを助けたくなったのよ。突然この世界に呼ばれて、右も左もわからないのに、この世界を守るために戦ってくれる。ちょっとスケベなところはあるけど、私の訓練にもいつも遅くまで付き合ってくれたし、危ない時は身を呈して私を助けてくれた。そのおかげで私は女神の加護を与えて貰った。いつも一緒にいてくれたリュウトを支えてあげたいの。だから一緒になろうって話は無しにして欲しいの」
俺の気持ちなんて考えずに軽い気持ちで話すリリア。俺はそんな彼女に何も言う事が出来なかった。
俺たちが住むアステリア王国は数年前から魔王の脅威に晒されていた。その事がわかったのは5年前の女神様からの天啓を受けてだ。
アステリア王国はその天啓を受けて、魔王に対抗するために古から残る魔法ーー勇者召喚を行なった。その儀式で召喚されたのがリュウトと呼ばれる俺たちと同年代の少年だった。
その召喚がされると同時に再び女神から天啓があったそうで、その勇者に付き従う5人の巫女を集めろというものだった。
アステリア王国の第1王女、女神神殿の僧侶、獣人族の斥候、エルフ族の弓術士、そして槍使いのリリアだった。
勇者であるリュウトと一定の期間共に過ごし絆を深めると女神の加護を貰えると天啓があったため、王国は直ぐ様全員を集めた。
5年前の時はリリアも突然の事で嫌がっていた。その時にはもう俺と将来の話を何度もしていたからだ。特にこれといった夢は無かったけど、俺たちが住む村で一緒に農作業をしてゆっくりと過ごそうと。
だけど、村一番の槍使いであるリリアへの天啓に対して、リリアの両親や村の人たちは諸手を挙げて賛成した。理由は色々とあるが、まあお金だろう。10年近くの税金を免除されると村長が喜んでいたからな。
嫌々ながらもリリアは村のために王都へと向かう事を決めた。あの時最後に話したのは帰ってきたら一緒に住もうと話をして俺は彼女を送った。
リリアが王都についてからは手紙が届くようになった。内容は訓練が厳しいや、同じように選ばれた巫女たちからの当たりが強いや、勇者であるリュウトに体を触られるなと、手紙の最後には早く帰って俺に会いたいと書いてあった。
俺もリリアが安心して帰って来られるようにと手伝いをしながら森で狩りをしたりして過ごした。少しでもお金を稼いで、彼女と過ごせるように。両親が既に他界していない俺には唯一彼女を思う事で今まで働いこられたのだから。
それからしばらく過ごしていると、とある異変に俺は気が付いた。初めは些細な事だった。初めは愚痴ばかりだった手紙の内容が次第にリュウトの話ばかりになっていたったのだ。
リュウトとこういう訓練をした。一緒に貴族のパーティーに参加した。リュウトからプレゼントを貰った。リュウトに助けて貰ったなど。
前まで書かれていた早く帰りたいという文字は次第に無くなっていき、最後の2年ほどになると手紙すら送られて来なくなった。
俺は何度もとてつもない不安に襲われて、その度王都に向かおうとした。だけど、それをして彼女を信じていないと思われるのが嫌だった。そのため、俺は村で待った。
自分の想像以上より長く感じた5年間。ずっと待ち続けたある日、村に1台の馬車が走って来た。そしてその馬車から降りて来たのは、俺が5年間待ち続けた美少女だった。
ただ、その隣には同じような黒髪黒目の男を連れて。手紙で容姿を知っていた俺は直ぐに勇者であるリュウトだとわかった。
リュウトは我が物顔でリリアの家に行き、このまま彼女を旅に連れて行くとリリアの両親や村長へと話していた。村人たちと一緒に外から覗いていた俺はその言葉と、リュウトの格好に驚く事しか出来なかった。
リリアの隣に座るリュウトは、リリアの肩に手を回して抱き寄せていたのだ。それをリリアが嫌そうな顔をしていたら俺は直ぐに家の中に入っただろう。だけど俺の見たリリアの表情は物凄く嬉しそうだったのだ。
今まで見たことの無いような表情。まさに恋する相手へと向ける表情だった。
俺は体が冷えるような感覚に襲われた。もうその光景を見たく無いと思った俺は自分の部屋に篭った。外から勇者たちを歓迎する宴が行われており、村人たちが楽しそうにする声が聞こえてくるが、俺は外には出なかった。
気が付けば日が変わり朝になっていた。俺は一睡も出来ないまま部屋に閉じこもっていた。このままじゃまずいと思った俺は部屋から出て井戸の水で顔を流す。少しスッキリしようと思ったからだ。
今日こそはリリアと話をしないと。そう思いながら顔を洗っていると
「久し振りね、アイン」
俺の名前を呼ぶ声が後ろから聞こえて来た。俺の心臓は跳ね上がり慌てて振り向くとそこには、俺の好きな女性が立っていた。
何を話そうか迷ったけど、取り敢えず無事に帰ってきてくれた事を伝えようとして口を開こうとしたけど、その言葉を伝える事は出来なかった。
彼女が俺が口を開く前に言葉を発したからだ。それが初めの言葉になる。
「それじゃあ。もう会う事は無いと思うけど、元気でね」
リリアはそれだけ言うと自分の家へと戻って行く。俺はまだ何も伝えていない。そう思って彼女を追ったのだけど、そこで俺はとある姿を見て動けなくなった。
それは、リリアとリュウトが抱き合っている姿だった。嬉しそうにリュウトに擦り寄るリリア。その姿を俺は見ていられなかった。
俺はリリアから離れるように反対側へと走っていた。村を飛び出して一心不乱に。涙が止めどなく溢れて前は見えなかったけど、それでも俺はずっと走り続けた。
どれだけ走ったかわからない。疲れ果てて気が付いた時は既に日は暮れており見覚えのない山へと入っていた。俺は基本村の近くの森にしか行かなかったからこんな山の事なんて知らない。
帰り道もわからないまま呆然と立ち尽くしてしまう。だけど、このままここで死ぬのも良いのかもしれない。あの村に戻ってもリリアの事を思い出して辛い思いをするだけだ。両親がいない俺にはもう戻る意味も無い。
俺はそのままぼーっと山の中を歩く。時折魔物の声が聞こえてくるが、俺は気にすることなく進んだ。ただ闇雲に山の中を歩いた。
何も考えずにただただ真っ直ぐに進んだ。どれくらい歩いたかはわからない。森の中は暗いままだったのでそこまで経っていないのかもしれないし、気が付かないまま日が変わっていたかもしれない。
ただ適当に歩いていると湖に辿り着いた。ここがどの辺りかわからないけど俺が来られる範囲内だと結構近いのだろう。こんなところに湖があるなんて。
綺麗な湖だ。しばらくぼーっと眺めていると、湖に変化が現れた。突然湖の中心が浮き上がってきたのだ。これは……何か出てくる!?
俺が湖から離れようとした瞬間、バシャン! と湖から勢い良く出て来た。打ち上げられた水は雨のように降り注ぐ。だけど、そんな事が気にならないくらい俺はその現れたものから目が離せなかった。
現れたのは、生まれて初めて、いや昔話などでしか聞いた事が無かった……竜だった。
俺なんか一口で食われるほど大きな顎。月の光に照らされて輝く蒼色の鱗。スマートな姿は見惚れるほど美しかった。
『あら、どうしてこんなところに人間がいるのかしら? 私を狩りにきたの?』
その竜は俺に気が付くとそんな事を尋ねてくる。だけど、俺は答える事が出来ずに見ている事しか出来なかった。
それを不審に思った竜は俺に顔を近づけてくる。鱗に負けないほどとても綺麗な青色の瞳で俺を見てくる。この竜になら……
「……あなたになら殺されてもいい」
俺は思わずそんな事を呟いてしまった。これは女神様が最後に俺に与えてくれた機会なのだろう。魔物に食われるくらいなら、ただ寂しく死ぬくらいなら、この綺麗な竜に食われた方が良い。だけど
『はぁ? なんであんたを殺さないといけないのよ。人間は誤解しているけど、私たちは別に人間を好き好んで殺しているわけじゃないわ。あなたたちが向かってくるから仕方なく追い払っているだけなんだから。失礼しちゃうわ』
……なぜか怒られてしまった。だけど、思ったよりも竜って話が出来るんだな。物語じゃないけど、人間を見ると直ぐに襲いかかってくるものかと
『だから、それは人間が攻めてくるからよ。後は本能のまま暴れる下級竜ぐらいね。意思のある私たちはそんな事はしないわ。それよりも、どうしてそんな死に急ぐのよ。まだ生まれたてのあなたが』
生まれたてか。長い年月を生きる竜からしたらまだ15年しか生きていない僕は赤子と同じなのだろう。かなり年上だと思ったら気が付いたら自分の話をしていた。竜は俺の話を黙って聞いてくれる。
『ふーん、竜は恋愛とかは特に無くて強者に従うって感じだからよくわからないけど、あなたも苦労したのね』
「ははっ、俺なんて何もしてないさ。ただ、フラれただけ。それで落ち込んでこんなところまで来た女々しい野郎さ」
竜は湖から首だけ出して、首の部分は地面に横たわらせて落ち着いた雰囲気で俺の話を聞いてくれた。寝そべっても俺よりでかい。俺もその場に座って自分に起きた事を全て話したら少しスッキリした。なんだか竜の雰囲気が穏やかで物凄く話しやすかったからかな。
『その勇者や女に見返そうとか思わないわけ?』
「俺にそんな力があったらな。だけど、俺はただの村民だ。精々狩りが出来るくらいだよ」
ははっ、自分で言っていて情けなくなって来た。から笑いしか出ない。
『ふーん、確かあなた死にたがっていたわよね』
「……それがどうした? 殺してくれるのか?」
俺が自嘲気味に聞いて見ると、竜はニヤリと笑った……ように見えた。竜は俺に顔を近づけると俺の服の襟元を咥えて、そしてポイっと空中に放り上げられた。
俺は叫ぶ暇もなく竜の背に乗せられた……えっ? え?
『それならあなたの命貰うわよ!』
竜はそれだけ言うと湖の中へと潜り始めた。や、やばい! 俺泳げないのに! なんとか逃げようとするけど、竜が湖に潜る方が速かった。
ややや、やばいやばいやばい! い、息が出来ないっ!
『あっ、ほい』
ぐ……ぐるじい……あれ? 苦しくなくなった。それに、勢い良く泳ぐ竜の背中に乗っているのに、揺れを感じない。
『私の魔法で保護したわ。少しの間周りでも見てなさい』
竜はそれだけ言うと速度を上げて泳ぐ。凄え。物凄い速さで景色が変わっていく。湖の中には空洞があって竜はその中を泳いで行く。
……凄い。初めて見る湖だったけど、物凄い量の魚たちが泳いでいる。こんなの見ていると、俺の悩みなんてちっぽけに見えてくるな。
『出るわよ』
「え?」
そんな風に湖の中を眺めていたら竜がそんな事を言ってくる。突然の事で反応出来ずにいると、ザバァン! と勢いよく水の中から飛び出した。そして俺は振り落とされた。
「う、うわぁぁぁぁぁ!」
突然過ぎて何が起きているのかわからないけど、叫ばずにはいられなかった。俺が落ちた事に気が付いた竜は直ぐに方向を変えて俺の元へと飛んで来てくれた。スーと俺を再び背に乗せる……こ、怖かった。
『悪いわね。私がかけた魔法は水の中でしか効果が無いのよ』
だから水から出た瞬間俺は振り落とされたのか。水の中にいた時は何もせずとも背に乗れたもんな。俺はドキドキする心臓をなんとか押さえようとして周りを見て見ると、固まってしまった。
竜が飛び出した湖に、火が吹く山、真っ黒な雲と光がせめぎ合い、嵐が吹き荒れる。地面が時折隆起して新たな土地を作る。な、なんだここ?
『ここは霊峰よ。あなたも名前ぐらい聞いた事があるでしょ?』
……まじかよ。霊峰って大陸の最果てにある伝説の場所じゃないか。
「ど、どうやってここに来たんだ? 俺がいた場所からだとかなり遠いはずなんだが……」
『それは私の力のおかげよ。私のような竜の中でも精竜に属する竜は、自分の司る属性での空間転移は簡単に出来るのよ。水精竜の私なら水の中へ潜るだけでね』
……凄え。おれはもう驚き過ぎて声なんて出せなかった。こんな天変地異が平気で起きているところに来る事が出来るなんて。
竜はそのままこの異常気象しか起きていない所の中心にある山へと飛んでいく。
地上をチラッと見ると、見たことのない魔物同士が争っていた。片方は腕が左右に4本ずつあるカマキリと、目が4つもあってとても鋭い牙を持つ虎が争っていた。うわっ、虎の奴切り刻まれたぞ。
地上や空中にいる見た事の無い魔物たちを眺めていると竜が中心の山へと降りていく。
『ほら、降りなさい』
山の頂上辺りに降りた竜はそんな事を言ってくる。逆らう訳にもいかないので竜の背から降りる。降りた俺を見ると竜は少し離れるように言ってきた。何をするのだろうか? わからずに見ていると
『ガァアアアアァァァァ!!!』
天高く轟く咆哮を放った。あまりの衝撃に俺は吹き飛ばされ気を失ってしまった。
◇◇◇
「はっ!」
『やっと起きたわね』
俺は慌てて体を起こすと、竜が俺を覗き込んでいた。俺は驚いて声を出しそうになったが、竜に連れて来てもらった事を思い出して我慢をする。
「俺は……」
『……悪かったわね。私が鳴いたらあなた耐え切れずに気を失っちゃったのよ』
恥ずかしそうにそっぽを向く竜。綺麗な竜がそんな仕草をしたら思わず可愛いと思ってしまった。そんな竜を見ていたら
『てめえが死にたがりの人間か、あぁん?』
蒼色の竜の後ろからにゅっと赤黒い鱗を持つ竜が姿を現した。そして俺を睨んでくる。俺はその視線に震えが止まらず、言葉も発する事も出来ない。すると
『やめんかい、この馬鹿たれが!』
地面が盛り上がったと思ったら前足が2頭の竜の倍ぐらいの太さのある土色の竜が姿を現して、赤黒い鱗を持った竜の頭を殴りつける。
『痛っ! 何しやがるくそじじい!』
『ふん、お前が考え無しに威嚇するからじゃ』
突然現れた2頭の竜はそのまま喧嘩をし始めた。や、やばい、2頭が殴り合う度に地面が揺れる。
『あはははっ! 殴り合ってる! あはははっ!!』
そんな2頭を指? 指しながら大笑いする翡翠色の鱗を持った竜。他の竜たちに比べて一回り小さい。その竜は空を回りながら笑っていた……って危な! 2頭が暴れる余波で岩が飛んでくる。こ、このままじゃ、し、死ぬ!
俺は動けない体をどうにかして動かそうとした時、一際大きな岩が飛んで来た。俺は空を眺めている事しか出来ずにそのまま……岩は消えた。えっ? どうなったんだ? 訳もわからずに呆然としていると
『…………やめろ』
物凄く無口な竜が現れた。全身が漆黒に染まった鱗をしており、他の竜と違って尻尾が3本ある。だけど、無口な竜の声は2頭には届いておらず、更に喧嘩は激しくなるばかり。
このままじゃここやばいんじゃ無いのか? そう思わせるほどの争いを見ていると、突然2頭の上が光り輝く。そして
『やめるのです、あなたたち』
全身が白金で光り輝く竜が2頭の頭を押さえつけたのだ。当然2頭は頭を地面に減り込ませる。新しく現れた竜は蒼色の竜にすこし姿が似ている。多分雌なのだろう。
その白金の竜はそのまま俺を見てくる。
『初めまして、シリーネが連れて来ました人間よ。私の名前は光精竜ジャンヌ。よろしくお願いしますね』
「あ、は、はい、お、俺の名前はアインです。よ、よろしくお願いします」
『はい、よろしくお願いします、アイン。それでは早速ですが、シリーネにここに連れて来られた理由は知ってしますか?』
俺は目の前の竜、光精竜ジャンヌの言葉に首を横に振る。そういえば俺って何でここに連れて来られたんだ?
『まあ、正直に話しますとシリーネがあなたをここに連れて来たのは偶々です。シリーネが絆されたのもありますが、誰でも良かったのです』
『べべ、別にほ、絆されてなんか無いんだから! ちょっと可哀想とか可愛いとか思ってないんだから!』
……聞かなかった事にしよう、うん。俺はそのままジャンヌの方を見る。
『関係者が近くにいるあなたは既に知っていると思いますが、この世界に魔王が生まれました。魔王というのは周期で誕生するので仕方ないのですがね。そしてその魔王を倒すために女神様がいつも通り勇者と巫女を選びました。これは今まで通りなのですが……ここからが違いました』
ジャンヌは言葉を続ける前にはぁとため息を吐く。な、何かあったのか?
『勇者を選んでから数年後に私たちの元に女神様が現れたのです。いつも私ばかり忙しいから、あなたたちも手伝えと。端的に言えば魔王を討伐するのに力を貸すように言ってきたのです。イラっとしたのでブレスで吹き飛ばしてやろうかと思いましたが、一応あんなのでも女神、この世界が歪んでしまうのでやりませんでしたが』
……何気に物凄く恐ろしい事を言っているぞ、この竜。女神様を吹き飛ばすとか怖すぎるだろ! 俺が密かに震えているのを余所にジャンヌは更に話を進めて行く。
『仕方なく、本当に仕方なくですが我々も魔王討伐に参加する事になったのですが、我々は基本中立です。世界の崩壊などが無い限り参加する事はしません』
「魔王のせいで世界の崩壊になったりしないのか?」
『魔王がそういう考えを起こせば我々は参加しますが、基本は大陸の統一や強者を求めてなどが多いので、現時点では不干渉です。なのでどのように参加するかを考えたのですが、女神様と同じ事をする事に決まりました』
「それって……」
『予想はついていると思いますが、我々の加護を与えようと思います。ただ、それには1つ問題があり、女神の加護のように優しいものではありません。与えられた8割は耐え切れずに体が爆発するでしょう』
ば、爆発って……。さっきからこの竜、物凄く怖い事しか言ってないぞ。
『ただ、我々の加護を与えるのもタダではありません。かなりの力を使います。なので、失敗するわけにはいかないのです』
それはそうだよな。女神の加護を得たリリアたちだってその力を得たら大人以上の力を手に入れたと聞くし、勇者なんてそれ以上だとも聞く。そんな力を与えようと思ったら、与える方もかなりの力が必要になるだろう。
『なので、これから耐えられる器を作ります』
ジャンヌはそう言いながらじりじりと寄ってきた。他の竜たちもだ。俺は慌ててこの中で1番慣れているシリーネの方を見るが
『ごめんね、アイン。頑張って』
と、言われた……まじかよ。
この日から地獄が始まった。6頭の竜が順番に俺を鍛えて来るのだ。俺が幾ら拒否しようが問答無用に。
火精竜イグニスは
『おらっ! 避けてんじゃねえよ! 雄は真正面から殴り合うんだよ!』
真っ向から殴り合いをさせられた。俺が避けると物凄くキレてくるんだよ、こいつ。ただの村民である俺なんかが当然竜の1撃に耐えられるわけもなく、イグニスが加減した1発でも全身の骨が砕けた。
それで諦めてくれるかと思ったけど、まさかのジャンヌとシリーネが俺の怪我を治してくるのだ。殴られては治されて、殴られては治されてとそれを毎日続けた。
土精竜グラーンは
『ほれ、耐えんかい! あの火小僧に舐められるぞ!』
防御力を上げるためにグラーンに一方的に殴られていた。当然イグニスの時と同じで殴られては治されて、殴られては治されて……
風精竜ゲイラルは
『ほらほら、遅い遅い! あんまり遅いとかぶりつくよ!』
速さを上げるために後ろから追い回された。当然、すぐに追いつかれて、その度に頭突きをされた。そして治されて……
水精竜シリーネは
『ほら、避けなさい! 雄たちみたいな野蛮な戦い方じゃなくて、優雅に舞うように!』
永遠と相手の攻撃を避ける訓練をさせられた。当然治さ(以下略)
闇精竜スレイブは
『……感じろ』
と、それだけ言って四方八方から魔法を放ってきた。俺は目隠しされた状態で。なんでも魔法を目だけでなく五感で感じる訓練だそうだ。当然(以下略)
最後の光精竜ジャンヌは
『魔法が使えるようにあなたの魔力回路をこじ開けます。痛いですが我慢して下さい』
光精竜の膨大な魔力を無理矢理体に流された。ジャンヌ曰く生き物は誰しもが魔力回路を持っているそうだ。ただ、その回路が壊れていたり詰まったりしているせいで、魔法が使えないらしい。
俺の体も同じように詰まっているらしく、それをジャンヌは魔力を流す事で無理矢理こじ開けやがった。そのせいで全身が引き千切られるかのような痛みが全身に襲う。
俺が何度泣いて懇願しようが、何故か逆にジャンヌは嬉しそうに魔力を流してくるのだ。発狂しかける度に魔法で治療されるし。
まあ、その都度シリーネが慰めてくれたおかげで俺も頑張れたのだが。
俺をこんなところに連れて来た負い目があるのか毎日話しかけてくれる。初めはシリーネの事を恨んだりもしたけど、日が経つに連れて彼女と一緒にいる事が楽しくなって来た。
シリーネは昔の話を色々としてくれて、俺はお礼にと撫でたり体を磨いてあげたりした。何故かその事でシリーネとジャンヌが喧嘩する事もあったけど。シリーネが言うには
『アインは撫でるのとか磨いたりするのが上手なのよね。その事をジャンヌに自慢してやったのよ。すると怒ったのよ』
との事。まあ、それで喜んでもらえるのなら良いけど。
そんな痛くて苦しくて死にかけて、何度も命乞いをしたけど許してくれなくて、初めは仕方なく嫌々で、途中からは体が慣れて来てやり甲斐が出て来て、ここに連れて来られたから3年の月日が経った。
最近では普通に竜たちの相手が出来るぐらいまでに俺はなった。それでも勝てないのでそこまで強くはなってないのだろうけど。慣れって怖いよな。
今日も訓練か、と思っていると、ジャンヌに呼ばれたため、俺がここに来て初めに連れて来られた場所へとやって来た。
この霊峰も何とか俺1人で走り回れるようにはなった。昔は何度死にかけた事か。まず気候に耐えられなかったからな。
いきなり肌を焼くような暑さになったと思ったら、水が一瞬で凍る寒さになり、氷柱は降るわ、石飛礫は降るわで散々だった。魔物は魔物で物凄く強いし。散々なところではあったけど、今では良い思い出だ。
そんな事を考えながら目的の場所へと辿り着くと、ジャンヌたちは全員集まっていた。
『来ましたね、アイン』
「ああ。ここに呼んだってことは……」
『ええ。あなたに加護を与える時が来ました』
……ついにか。今まで生きるのに必死であまり考えて来なかったけど、今日のために頑張って来たんだよな。
『正直に言うと直ぐに死ぬと思っていました』
……人が懐かしんでいる時に物凄く酷い事を言うじゃないか、おい。
『確かに私たちが無理矢理やらせた部分もありましたが、それでも耐え切れずに死ぬと思っていました。しかし、あなたはそれに耐え切りました。賞賛に値します』
そ、そんな真面目に言うなよ。思わず涙が出そうになったぞ、今。それに気づいたシリーネは笑っているし。
『今のあなたなら私たちの加護にも耐えられるでしょう。これが光精竜の加護です。受け取って下さい』
そう言うジャンヌの体から光り輝く球体が現れる。その球体はスーっと俺の体に入って来た。うおっ! 自分の中の魔力の巡りが多くなって速くなった。前までの俺の何十倍じゃないか!
もらった加護に驚いていると、入れ替わるようにイグニスが前にやって来た。
『ふん、まあ、なんだ。認めてやるよ。てめぇは俺たちの力を手に入れたいわば弟子だからよ!』
イグニスはフンと言いながらも荒々しく燃える炎の球体を出して俺にくれる。
『うむ、お主はよう頑張ったわい。誇ると良い』
グラーンは孫を見るかのような視線を俺に向けて、金属を固めたかのような球体をくれた。
『まあ、僕よりは遅いけど、前に比べたら速くはなったかな。でもそこで諦めちゃダメだよ。もっと速くならなくちゃ!』
ゲイラルは上から目線だけど、風が回転して出来た球体をくれる。
『……良くやった』
スレイブはいつも通りほとんど話さないけど、俺の事を褒めてくれているのがわかる。そして真っ黒な球体をくれた。
最後に
『初めは気まぐれだったわ。でも今は違うわ。あなたを選んで良かったと思っている』
「……シリーネ」
『ふふ、あなたを振った女をしっかりと見返すのよ!』
シリーネは優しく微笑みながら水の球体をくれた。俺はそこで我慢出来ずに泣いてしまった。
『なな、なんで泣くなよ!』
「……ごめん。ついあの時の事を思い出してさ。あの時、一緒になろうと誓った相手に振られて、悔しくて悲しくて、もう死のうと自暴自棄になっていた。でも、そこでシリーネに会えて、無理矢理だったけどここに連れて来られて、鍛えられて。初めは嫌だったけど、次第にみんなと一緒にいるのが嬉しくて。
確かに初めは偶然だったんだと思う。だけど、あの時、シリーネに会えて良かった! 3年間、俺を鍛えてくれてありがとうございました!!」
俺がみんなに向かって頭を下げると、まるで門出を祝うかのように6頭全員が天まで轟く咆哮を放った。大気が揺れて、咆哮以外は全く聞こえなくなるが、俺にとってはとても心地いい声だった。
『それではシリーネ』
『ええ。ほらアイン。私の背に乗って』
「え? ……もうお別れか?」
『いいえ、これは旅立ちです。先ほどの咆哮は今から魔王へと戦いに向かうアインへの激励です』
『魔王が勇者のいるお主の国に攻めたようじゃからなわ、さっさと倒してくるのじゃ』
『はっ、魔王程度に負けるんじゃねえぞ?』
「……わかった。俺行ってくるよ」
俺はそう行ってシリーネの背に乗る。シリーネは翼を大きく広げて飛び立つ。
『しっかりと捕まりなさいよ!』
「ああ!」
◇◇◇
「があぁっ!」
「ふん、勇者とはこの程度か」
私たちの前で倒れる勇者リュウト様もいい。その巫女として選ばれた姉上たちも同じように倒れている。
「メルティア殿下、さ、下がってください!」
「馬鹿者! 勇者たちが倒れているのだぞ! 見過ごせる訳がないだろう!」
巫女に選ばれなかった第2王女の私では勇者どころか、巫女にも力は及ばない。だが、希望である勇者たちを見捨てて逃げる訳にはいかない!
「はぁっ!」
「やれ」
私は剣を構えて魔王へと突き進む。魔王は当然私には興味が無いようで部下に任せるが、それでも私は進む。少しでも興味を逸らすために!
私は魔王の配下であるミノタウロスへと切りかかるが、ミノタウロスは苦もなく私の剣を掴んで、私を投げ飛ばした。
私は体勢を立て直して魔法を放つが、ミノタウロスの硬い皮膚には通用せず、真っ直ぐと突っ込んでくる。しかし、私は倒す事が目的では無い。
「やぁっ!」
その理由として巫女の1人であるリリア殿がミノタウロスの脇腹に槍を突き刺した。他の巫女たちも起き上がり、勇者リュウト様も立ち上がった。
リリア殿はミノタウロスから槍を抜き、そのまま刃先を振り上げる。ミノタウロスの顎を切り裂き、体を回転して石突きで横に振り払った。
ミノタウロスの体はくの字に曲がり吹き飛ばされて行く。悔しいが、さすが巫女だ。私なんかよりかなり強い。
「くそっ、さっきは少し油断しただけだ。ぶっ倒してやる、魔王!」
リュウト様は輝く聖剣を振り上げ、魔王へと切りかかった。私の目で追えないほどの速さ。何者も一刀両断するほどの一撃は、魔王を切り裂く……事は出来ずに聖剣を片手で掴まれ、リュウト様の喉を掴んで地面へと叩きつけた。
その衝撃に肺の空気と一緒に血を吐くリュウト様。魔王はそれから何度もリュウト様を地面へと叩きつける。
姉上やリリア殿、私もリュウト様を助けようとするが、配下の魔物たちに押される一方。そして、私たちも捕まってしまった。
「……い……いた……いよぉ……ままぁ……たすげでぇ……」
「はっはっはっ! 聞いたかお前たち! 勇者が母親に命乞いしたぞ! ままぁ、だと! おい勇者よ。お前に選ばせてやる。この国を見捨てるか、自分が犠牲になるか。どちらかを選べ!」
「た、助けてください! く、国なんて捨てるから助けてください!」
私たちはリュウト様の言葉に呼吸を忘れてしまうほどの衝撃を受けた。世界の希望である勇者が国を売ったのだ……いや、これは仕方がないのかもしれない。元々は異世界の人間。こちらの都合で戦わせていたのだから。
だけど、私のように考える者は少ない。現に巫女である姉上や他の巫女たちは放心状態だ。それもそうだろう。中にはリュウト様と夜を過ごした者もいるはずだ。
しかし、今はそれどころじゃない。兵士たちも呆然としている今、何とかして立て直さないと。だが、そう思った時にはもう遅かった。魔王の号令で一気に攻めてくる魔物たち。私の目の前にも斧を持ったミノタウロスが迫る。私は動く事が出来ずにそのまま……
「竜拳!」
諦めたその時、空から何かが降ってきた。そして、私の目の前にいたミノタウロスを押し潰してしまった。砂煙が立ち込め視界が悪いが、吹いた風によって直ぐに砂煙は消え去った。
私の目の前には、身長が180前ぐらいの金髪の男が立っていた。みすぼらしい格好で普通なら見る事がないだろうけど、目の前に立つ男は、とてつもない存在感を放っていた。私はこの男から目が離せなかった。
他の者たちも突然現れた男を見る。ただ、魔物たちは男から一気に離れた。まるで怯えるかのように。見知らぬ男の乱入で当たりが静けさに覆われていると
「な、なんであなたがいるのよ、アイン」
と、女の声が聞こえて来た。声の方を見ると、そこには座り込んでいたリリア殿が驚きの表情を浮かべていた。
男は一瞬だけリリア殿の方を見たが、直ぐに魔王の方を見る。その事にリリア殿が何か喚いているが……そんな事よりもこの男の名前はアインと言うのか。
「……貴様、何者だ。只者では無いな?」
「俺は……竜の弟子だよ!」
アインはそう言うと、次の瞬間には魔王の懐に入り込み右腕で殴っていた。アインの右腕は魔王の腹部へとめり込み、魔王は吹き飛ばされる。
……う、うそ。勇者であるリュウト様ですら傷1つ付けられなかったのに。
魔王は直ぐに立ち上がり、闇属性の魔法を放つが、アインは両手に光属性の魔力を集めて、全て弾いてしまった。
「……中々やるようだな。私も本気を出すとしよう!」
「アイン!」
魔王がそう言った瞬間、魔力が膨れ上がった。さ、さっきまでは本気じゃなかったのか!? そして気が付けば魔王はアインの目の前にいた。魔王の拳が真っ直ぐとアインの頬へと向かう。アインは反応出来ずに魔王に殴られた。
その瞬間、衝撃が走り、近くにいた兵士たちが吹き飛ばされてしまった。私も腰を低くしなければ同じようになっていただろう。
つい、名前を叫んでしまったが、魔王のあんな一撃をくらったら……
「お前の本気ってこの程度かよ? これならまだイグニスの方が断然強いな」
「なっ……がぁっ!?」
死んだ、と思ったが、次の瞬間吹き飛ばされたのはまたしても魔王だった。殴られたアインは全くの無傷だった。ど、どうなっているのだ?
「次は俺から行くぞ、魔王」
私の疑問など関係無く、魔王へと向かうアイン。魔王は近づいたアインに咄嗟に殴りかかるが、右手で払い左足で回し蹴りを放つ。再び吹き飛ぶ魔王に瞬時に追い付き、連撃を加える。
魔王もアインへと攻撃するが、殆どが避けられて、当たったとしてもほぼ無傷だった。
「こ、このぉ、下等生物ガァァァ!!」
魔王は怒りに叫び、アインを殺そうとするが、その当人は
「知るかよ」
平然としていた。膨れ上がる魔力を両手に集めて迫る魔王を、平然と迎え撃つ構えを取るアイン。
「死ネエ!」
「死んでたまるかよ! 全てを貫く爪! 火竜爪!」
独特の構えで、魔王の攻撃に真っ向からぶつかったアイン。魔王の腕とアインの左腕がぶつかった瞬間、ボッと魔王の腕は引火して消し飛んだ。魔王は動かずに、そのままアインの右腕が魔王の顔へと入る。そして腕と同じようにボッと音がした瞬間、魔王の全身が燃え上がった。
私たちはそのまま魔王の体が燃え尽きるまで動く事が出来なかった。しかし、しばらくして実感したのか、一気に湧き上がる歓声。私も周りを気にせずに叫んでしまった。
魔王の配下の魔物たちは魔王がいなくなった事で散り散り逃げて行くが、このままにはしておけない。直ぐに歓喜する兵士へと指示を出し後を追わせる。
私は呆然として動けない姉上の代わりに、アインの元へむかおうとすると
「アイン! ありがとう! 私を助けに来てくれたのよね!」
と、アインに抱き着くリリア殿の姿があった。私はその姿を見てイラッとしてしまった……イラッと? なぜイラっとしたのかはわからないが、そのままにはしておけない。直ぐにでもアインから離れさせようとしたが、その前に上から何か降って来た。
それは初めに降って来たアインとは比べ物にならないぐらい危険なものだった。それは
『ガァァアアアッ! なにアインに近寄ってんのよ、この雌豚が!』
太陽の光で蒼く輝く綺麗な竜だった。ただ、その竜から放たれる殺気に私たちは動く事が出来なかったが。こ、この殺気、魔王以上だぞ。
その殺気を直接当てられたリリアは、気を失いそうになって、殺気のせいで再び目を覚ますというのを繰り返していた。
顔は涙や鼻水でぐちゃぐちゃ、下は小やら大やらでぐちゃぐちゃ。槍巫女などと男たちから見惚られていたが、この姿を見てしまったら……
「や、やめろ、シリーネ。周りにも被害が出ている」
『……』
アインの言葉で殺気を放つのをやめる竜。竜を見てガクガクと震えているリリアに近づくアイン。
「ア、アイン、わ、私ね……」
「俺は祝福を言いに来たんだ」
「え?」
「ほら、3年前、勇者について行くって言っただろ? 支えてあげたいとも。だから魔王を倒したら結婚するんだろ? だからお祝いを言いに来たんだ。おめでとう、リリア。俺は今幸せだから!」
物凄くいい笑顔で言い放ったアイン。一類の希望だったアインの言葉が決めてなり、自分が出した排泄物の上で気を失うリリア。あれには近寄りたくはないな。
そんなリリアを見ていると、竜の背に乗って去ろうとするアイン。あっ、ま、まだ、お礼を言っていないのに!
しかし、私の願いは届かずに、アインは竜の背に乗って飛び立ってしまった。くぅっ、少しでも話がしたかったのに。だけど、この名前は絶対に忘れない。それにリリア殿が知っているようだったから、話を聞いて必ず探してやる! 待っていてくれ、私の王子様!
◇◇◇
『……良かったの? あれで?』
「ん? 何が?」
魔王を倒して、シリーネの背に乗って飛び立ってから少し、シリーネがどこか心配そうに尋ねてくる。何の事を聞いているのかわからなくて尋ねてみると、シリーネは聞きづらいそうに『あの女の事よ』と言ってくる。ああ、リリアの事か。
「ああ、もういいんだよ。もうあれから3年経った。もう区切れば付いているんだ」
『そ、そう』
「そんな事よりさ、シリーネ」
『なに?』
「俺と一緒に世界を周らないか?」
『え?』
俺の突然の告白に驚くシリーネ。驚きのあまり、少し揺れるが、少ししたら落ち着いた。
「俺はもっとシリーネの事が知りたい。シリーネと一緒にいたい。シリーネにとってはほんの少しの時間、ただの人間かもしれないけど、俺はシリーネともっと一緒にいたいんだ。ダメかな?」
俺が一世一代の大告白をすると、シリーネは黙ってしまった。その沈黙のまましばらく空を飛ぶ。うぅっ、これは駄目だったか? 俺が少し諦めかけていると
『……じゃ……わよ』
と、ポツリと呟くシリーネ。あまりにも小さな声で聞こえなかったため、聞き直すと
『駄目じゃないって言っているでしょ! 良いわよ! 私が何処へでも連れて行ってあげるわよ! だけど、覚悟しなさい、アイン! 私って嫉妬深いんだからぁぁ!』
最後はやけくそ気味に叫ぶシリーネ。そんな照れ隠しの姿も可愛い。
シリーネと出会ってからの3年間はあっという間だったけど、これからもシリーネと一緒にいられる。そう思うだけで、俺は何十体でも魔王が倒せそうだ!
空に輝くシリーネの背を見ながら俺はそう思うのだった。
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