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求めるは日常  作者: アール
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プロローグ

春が訪れ、人々の気分も陽気になってきた今日、俺、西野優はこれから3年間通う青坂高校に向かっていた。通学路は満開の桜が咲き乱れ、散っていく花びらもこの入学式を祝福してくれているような気分だった。


学校について時間を確かめると午前8時30分だった。入学式は午前9時からなので少し早いが早すぎるというほどでもないだろう。そう考えた俺は入学式の会場である体育館まで歩いて行った。


体育館に入ると思っていたよりも人がいて、全体の8割程度はすでに埋まっていた。適当な席を探して座り、5分程何もせずにぼーっとしていると隣から話しかけられた。


「すみません。隣いいですか?」

「あ、はい」


反射的に返事した後、話しかけられた方を見ると、女子生徒が2人こちらを見ていた。2人とも容姿端麗で恐らく道端で見かけたらほとんどの男が振り向いてしまうだろうと思う。そんなことを考えていたら、2人が話しかけてきた。


「おはようございます。あの、私、佐藤まなみって言います。これからよろしくお願いします」

「私は真田カナ。よろしくね!」


改めて見ると対照的な2人だった。佐藤さんは黒髪ロングで大人しげな女の子で、真田さんは茶髪を肩ぐらいで切り揃えた活発な少女だ。あまり長い間黙っていても変なので2人に返答する。


「おはよう。俺は西野優。これからよろしくな」


そこから3人でしばらく雑談をしていると、入学式が始まった。


「えー、本日は栄えある青坂高校の入学式です。本日は皆さんの入学を祝福するかのような晴天で…」


校長の挨拶を聞き流しつつも流石に話しているわけにもいかないと思って黙っていると、突然周囲がざわめき始めた。


「どうしたんだ?」


疑問に思った俺は隣の2人に聞くことにした。


「生徒会長挨拶だって」


するとまなみが小声で教えてくれた。ちなみにまなみは先程話している時に同級生に敬語は可笑しいと言うと、敬語をやめてくれた。

それにしても生徒会長挨拶、か…。それならまあ、騒ぐのも無理はないかもしれない。この学校の生徒会長は美人だって噂だからな。ま、俺には関係ないが。


そう思って聞き流していると、ふと、何かの単語が耳に入ってきた気がした。そこで生徒会長の話だろうと思って聞いていると、やはり考えていた通りの言葉が聞こえてきた。


「…。なので、皆さんもかの勇者様のような…」


何故生徒会長がそんな言葉を言っているか。何故周りはそれを指摘しないのか。そして俺がその言葉に反応したのか。

この世界の名は地球。この国の名は日本。言語も表記も日本語。だけど、確かにこの世界は俺が前世で生きていた世界から見れば異世界で、そして俺は確かに元『勇者・・』であるからだ。

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