ブレイヴハーツ戦線 異常あり
もう何ヶ月更新していないのでしょう、本当に
できれば冬休みの間に話を進めたいです・・・
ここはとある地方都市イルネリア、の街外れ。
そこには昔貴族でも住んでいたのではないかと推測される巨大な建造物があった。この建造物はかつて多くの人間たちにとって間違いなく家だった。物質的にも、精神的にも。
しかし現在のそれはそんな時代の頃など見る影もなく、廃屋のような呪いの館のような雰囲気に包まれたまま、崩れることも、解体されることもなくただ立っていた。
なぜならばそこはまだ間違いなく『家』であったのだから。
そこに住まう家主、いや、家主「達」の名は魔道コミュニティー「ブレイヴハーツ」
かつて栄華を極めたこのコミュニティーも今は依頼もなく、ただただ衰退の一歩をたどっていった。だが、彼らは魔道士。ないものは生み出すことができる。コミュニティーと言う生活共同体に所属する彼らは助け合い、自給自足をしながらひっそりと暮らしていた。
そんな中の一人、セナ=クリスタ―は昼寝をしながら自らの過去を思い出していた。あまりいい思い出ではないが、彼の人生に最も影響した出来事でもあるが故に時折夢に出る。まるで何かが彼のしたことを忘れさせまいとするかのように。そんなセナの感傷を吹き飛ばすかのように響いたのは若い女性らしい高い声。
「セナー!どーせいつものところにいるんでしょ!降りて来なさいよ!アルフが呼んでるわよ!みんなもう集まってるんだからさっさと起きてきなさい!」
声の主はアスカ。セナにとってはもう15年の付き合いとなる。幼い頃はまだ可愛げのあった彼女だが、今ではセナにとっての頭痛の種でしかない。10年前のとある事件からブレイヴハーツへ所属するまでの間、は時に守り、時に励まし合っていたものだが。今では立場が逆転したかのような立ち振る舞いである。
「聞こえてるんでしょ!早く降りてきなさいよー!」
こういう時はさっさと行くに限るな、と微かに残る眠気を頭から追い出し、体を起こし
「あ゛ー!!!もう朝っぱらからうっせーな!今行くからちょっと待ってろ!!」
と下に向かって声をかける。それにしてもアルフの話とは一体なんなのだろう。俺個人の呼び出しではなく、みんなを集めるほどの用事とはなんなのだろう、とセナは思う。どうせここにそんな重大な依頼などこないのだから。
そんなことを思っていると下の方からアスカの叫び声が三度飛んできたので、セナは大きくため息をつき、今まで彼が寝そべっていた屋根から、
躊躇なく飛び降りた。
屋根から地上まで10メートルほどはあった。通常の人間なら足首が折れていてもおかしくはない行為だ。しかし飛び降りた本人も、それを見ていたアスカも何も言わない。着地点から避ける様にほんの少し動いただけで涼しい顔だ。
「ほら、早くいくよ」
「はいはい、まったく」
そう言って、さっさと歩きだすアスカ。その後をセナ追いかける。
「で、ジジィはどんな要件なんだ?みんなを集めるような要件なんてここにくんのかよ?」
「あたしに聞かれても知らないわよ、大体集まってるのは主力の魔導士メンバーだし、あたしには関係ない話じゃない?」
「じゃあなんでお前が来てんだよ?嫌がらせか?」
そう適当な調子で聞き返すセナ。だがそんな言葉に反応してしまうのがアスカという人間で・・・。
「ハァ!?なんであたしがあんたにそんなことしなきゃいけないわけ?集会棟から生活棟まで割と距離あるんだからね、アルフに頼まれなきゃわざわざ来ないっての!」
相変わらずめんどくさい奴だ。セナはそう思い、歩く速度を速めた。
「ちょっと聞いてるの!?待ちなさいよ!」
後ろからまるで耳を刺す刃物のような声が聞こえてくるのをさらに無視し、セナはコミュニティーマスターであるアルフが待っているというメインビルディングの扉を押す。
「おせぇぞ、セナ。さっさと行くぞ、ジーサンが待ってんだからよ。」
そう声をかけたのはレン。1年前に加入したメンバーであり、鉄魔導の使い手だ。コミュニティー内では上位の力を持つセナと同レベルの魔導士でもある。追いついてきたアスカとともに彼に連れられ、セナは大広間に到着した。
「おいおい、こいつは中々のメンバーが揃ってんな。」
「おお、セナ。ようやく来たか、まっておt・・・
「いいからさっさと話を始めてよ。こいつのせいで私たちどんだけ待たされたと思ってんのよ?」
「確かに、遅すぎる・・・」
「あのー、一応わしはコミュニティーマスターなんじゃが・・・?お主らもっと年上というか上司に対する敬意とかをだな・・・」
喋ろうとするアルフを遮ってセナを非難するマナとスタル。ともに魔導士だ。そんな調子のメンツを見てセナは笑みを漏らす。
「なんじゃ、セナ、人の顔を見るなり笑いおって。気持ち悪い。」
「気持ち悪いとはなんだよ、それより話って?こっちは昼寝から起こされて割とイラついてるんだよ。」
「俺は大事な大事な食事タイムを邪魔されたんだがな」
「それ言うなら私なんか読んでる小説がちょうどいいところで・・・」
「僕だって・・・」
すぐに五月蠅くなるメンバーを見て、アルフとアスカはため息を漏らす。しかし、アルフが咳払いをするとともに顔をそちらへ向ける4人。
「みな、用事があるようじゃから本題から言うぞ?」
一瞬の間があり、それはアルフの口から告げられた。
「お主らには『魔道闘技大会』に出場し、優勝してもらう!」
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