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3/13、3/15 誤字・空白・描写等修正


 城塞都市バルガは、この地域周辺の中心都市で、高さ5mの石の城壁で囲われており、都市の大きさは多少歪んでるらしいが、600ha程の四角形に近い形で、人口は6万人にも達し、クルトメルガ王国西方の大都市らしい。


 この都市がここまで拡大し城壁で囲まれている理由は、やはり魔獣・亜人種と迷宮が理由だ。都市の南北と東に迷宮があり、ここを攻略しようという探索者と、迷宮の魔素に引き寄せられる亜人種・魔獣を狩る冒険者が集まり、さらに彼らと取引する商人が集まり、そして迷宮から溢れた亜人種・魔獣に対処する為に騎士団が駐留するようになり、領主もここへ城を構えてと拡大の一途らしい。


 そして、もしもマイラル村の近くに新しい迷宮が生まれていれば、西にも迷宮が出来たことになり、東西南北を迷宮に囲まれた迷宮都市として、更に発展するだろうとレミさんは言っていた。


 都市へ入る時に何か問題が発生しないかと心配したが、ギルド調査員であるレミさんが城門の門番に身分証らしきものを提示すると、すんなり入ることができ、俺やアシュリーさんは確認されなかった。


 荷馬車に揺られ、バルガのメインストリートらしい広い大きな道を進む。周囲を見渡せば、石造の民家や商家が建ち並んでいる。基本的に石造建築が主のようだ、マイラル村では木造が多かったため、この城塞都市バルガは、俺の知ってるフランスのカルカソンヌのような綺麗な都市だった。


 この都市での目的地、総合ギルドは都市の中央の白い城、領主が住むバルデージュ城と言うらしいが、そこの東側にあるらしい。バルデージュ城を眺めながら、アシュリーさんにこの後の行動を確認する。



「アシュリーさん、俺は、ギルドで、なに、すればいい?」



「はい、シュバルツさんには身分証が必要ですから、まずは冒険者登録をしましょう。探索者登録は、冒険者として一定の評価を上げないと申請が受理されませんので、まずは冒険者登録をし、ゴブリンメイジの討伐証の提示と売却、その後はどうでしょう、しばらくバルガに滞在されてみては? ここなら冒険者として活動するにも、他の商人や職人として生活するにも、多くのチャンスがある都市です。商人や職人はわかりませんが、シュバルツさんならすぐにでも冒険者として、結果を出せるのではないでしょうか」



「アシュリー、私は総合長に報告と申請をしに行くから、その間にシュバルツ君を案内するといい、ギルドは広いからな、たった半日でこれほどしゃべれるようになるとは思わなかったが、宿を取るにも食事をするにも不便だろう。そうか食事か、シュバルツ君、おすすめの宿があるのだがどうだろうか? 飯が美味くて、ギルドからも近い」



「ありがとう、ございます。 アシュリーさん、に、お願いして、案内、してもらいます」



「あぁ、そうするといい、アシュリー頼むぞ。夕食は一緒に食べよう、荷馬車の上で干し肉しか食べてないからな、私も空腹だよ」



「はい、わかりました。丁度到着しましたね、シュバルツさん、ここが総合ギルド、バルガ支部です」



 到着した総合ギルドは、一軒家ではなかった……広い、幾つかの建物が敷地内に建ち並び、訪問目的によって向かう建物が違うようだ。レミさんは荷馬車を操作し、「また後でな」と敷地の裏の方へ向かっていった。たぶん厩か駐車場? でもあるんだろう、俺はアシュリーさんの後に続き、大き目の平屋の建物へ入っていった。



「この建物が、冒険者や探索者向けの総合ギルド本館になります。新規登録や依頼の受注はここで行えます。あそこに新規受付と書かれた窓口が読めますか? あそこで新規冒険者登録をしましょう」



 総合ギルド本館の中は、一言で言えば銀行だった。左右を見渡せば、掲示板のような物が立ち並び、多数の冒険者と思われる集団が、思い思いに依頼を物色している。

 正面には受付カウンター窓口がいくつも並び、カウンターの奥には多くの職員が動いているのが見える。アシュリーが教えてくれた窓口は、並びの端の方にある椅子付きの窓口だった、登録にはある程度時間がかかると言うことだろうか。



「ようこそ、クルトメルガ王国総合ギルド、バルガ支部へ、本日は冒険者登録ですか?」



 窓口に行くと、そこには細身で色白な美人の受付嬢が座っていた。髪は銀髪で碧眼、ストレートヘアから飛び出る小さくて長い耳……エルフ族の女性だ。



「こんにちは、ミリマリア。彼はシュバルツさん、新規冒険者登録へ来たのよ」



 どうやらアシュリーの知り合いのようだ。そりゃアシュリーだってギルド調査員……見習い、と言っていたか、同じギルドで働く者同士、知り合いであっても不思議ではないか。



「あら、アシュリー帰ってきたのね、おかえりなさい。彼はあなたの良い人? 登録に付き添ってくるなんて、珍しいじゃない」



「そ、そういう関係ではないわ! か、彼には調査で向かった先で出会ったの、その縁でここまで一緒に来たのよ」



 アシュリーさんは少し頬を染めながら、ミリマリアというエルフにからかわれていた。ミリマリアさんはアシュリーさんの反応が面白いのか、ニコニコと微笑んでいる。

 エルフといえば長寿な設定が多い、この異世界でのエルフの寿命がどの程度なのかわからないが、もしかすると見た目以上に結構なお歳なのかもしれない。お姉さん的な態度で、アシュリーさんを弄っている……早く登録したいんだが……。



「そ、それより早く登録進めてよ! これから討伐証の提出や、宿を取ったりするんだから!」



「はいはい、ではシュバルツさん? こちらの用紙に記入をお願いします。文字は書けますか? 代筆も行ないますよ。それと、全てを記入する必要はありませんが、初期の記入項目は後から変更できません、お間違いのないようにお願いします」



 そう言って出された紙には、幾つかの記入事項があった。名前、年齢、出身地、主な使用武器、主な使用魔法属性、習得してる主なスキル、習得してる主な技能、これまでの納税証明書の有無、と全8項目である。



「……代筆をお願いします」



 一度は筆を持って書こうとしたが、この筆ペンと言うか、羽ペンのような筆記用具の使い方が判らなかったのと、万が一書き間違えると面倒だと思ったからだ。



「なら私が書きます、お名前は『シュバルツ』のみでよろしいですか?」


 

 横にいたアシュリーさんが、羽ペンを受け取り書いてくれるらしい、非常に助かるのだが、”のみ”という所に何か引っかかりを感じる。偽名だと疑われているのだろうか? そういえばアシュリーさんは、アシュリー・ゼパーネルと最初に名乗った。他の今まで名前を知った人たちは、全て名だけだった、名だけの人と姓名がある人……貴族か、それに類似する普通の人以上のお家の生まれと言うことか。 

 つまり、俺も貴族か何かではないかと疑われていると言うことか。



「え、ええ、『シュバルツ』で、おねがいします」



「はい、では年齢と出身地は?」



「年齢、は、24歳。出身地、は、未記入で」



「24歳ですか、私より年上だったのですね。 主な使用武器と使用魔法属性は?」



「両方、とも、未記入、で」



「……はい。ではスキルと技能はどうしますか?」



 スキルと技能ってなんだよ! あれか? 鑑定とか剣術とかそういう奴か? VMBにはそういうのないし、今の俺が持っているのかも知らないし……。



「そ、そこも、未記入、で」



「…………はい。では最後に、以前暮らされていた所の納税証明書はお持ちですか?」



「あ、ありません」



 結局、代筆してもらったのは名と年齢だけ、今の俺が提示できる情報はこれだけしかない。しかし、納税証明書がないって言うのはもしかしたら不味いかもしれない。

 俺とアシュリーのやり取りを聞いていたミリマリアの目が、少し鋭くなっている、明らかに俺に不審を持っている目だ。



「失礼ですが、シュバルツさん。これまで納税されたご経験はないのですか? クルトメルガ王国では、15歳の成人より納税の義務が発生しております。20歳までは年に30銀貨、30,000オルですが、21歳以上は年に1金貨、100,000オルの納税が必要です。出身地もしくはご実家を出られる時に、ご両親は納税記録に関して何もおっしゃっていませんでしたか?」



 バルガに到着するまでの荷馬車の中でさり気なく確認したこの世界の貨幣は



オルの価値

1石貨:1オル

1銅貨=10石貨:10オル

10銅貨:100オル

100銅貨=1銀貨:1,000オル

10銀貨:10,000オル

100銀貨=1金貨:100,000オル

10金貨:1,000,000オル

100金貨=白金貨:10,000,000オル



 このような貨幣価値だそうだ。しかしまいったぞ……異世界に落ちてきた俺が納税なんてしてるわけがないだろ……




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― 新着の感想 ―
[一言] 簡単にしゃべれるようになるのなら、最初に言葉が通じない設定はいらないと思います。 荷物に絵本があったことや揺れる馬車の上で文字が読めるのかなども不自然ではありますが、設定を削れば解消できます…
[気になる点] 会話文に読点が多くて読みづらく、読点ではなく句点でいいところもちらほらあるから気になりました。 会話の内容はRPGのキャラクターの会話みたいにひとことが長いため、リアルさを薄めているよ…
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