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純 i‐じゅんあい‐  作者: 奥野鷹弘
労働と再生
22/30

Live

本番当日、僕は支給されたツアーTシャツを着て緊張に身震いしながら待機室にいる。



――――――――――――――――――――――


静まりかえった会場、色んな人たちの想いを呑みこみ、ライブという命が芽吹く。限られた人だけが観れる、この夢のステージは二度と同じようにして観ることは出来ない。


胸に期待を膨らませながら、チケットを握りしめて入場してくるお客さま。正装したスーツ姿で、「いらっしゃいませっ!」と口にする老若男女は笑顔で溢れて、清々しい。


アリーナに造られた客席たちとスタンド席は、眼を閉じているステージ幕に興奮するかのように…ざわめき始める。


----------------------------------------------


60秒に一回、針がカチッと音をたてながら…色んな人立ちの顔が引きつっていく。時間になったところで、移動コールがかかり歩いていく。中にはもう準備しているツアースタッフがいて、ステージハンドの僕らは合流して最終チェックをした。震える手と足が、舞台に立つアーティストよりも惨めなぐらい思うように動かない。


鼓動が動き出すかように少しビートの掛かったBGMが場内に震動を起させ、お客で埋め尽くされいく。大体呑みこんだところで、警備員の役割を果たす仲間たちが軍隊のようにして持ち場について、観客席を眺め警備にあたる。

気持ちを高まるばかり時間が気になり、何度も時計をみては「よしっ」と活きこむ。



《カチッ》


時計が6時を告げたとき、会場が暗転された。ワァーと歓声と共に静まり返ると、心臓の音の効果音とともに、バンドの生音が鳴り響く。ドクンドクンという音に合わせ、スティックライトが上下に振られ、波のようでキレイだ。


セットリストの限りでは、前奏で五分もある…それを退屈させない興奮と期待と音楽はすごいと思う。ステハン以外の仲間たちは必死に立ちヒザをしながら、客席フェンスを抑える。時々、ずらりと立ち並び興奮あまり、よろけてフェンスまで流れ込むこともあるが…凄い熱狂だ。


終盤を迎えたこと、紅く垂れ落ちた幕がゆっくりと上がっていく…



ボーカルの一人だけがライトアップされ、右拳を上げて叫んだ。


『Welcome to, Liveshow! Stadium tour FINAL 2014~PEACE~』


3メートル離れていても熱いファイヤーボールが、空へと舞い上がり唄い始めた。

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