HとH2とH2O
ある想いを抱いている。
命を棄てたはずの僕が、寿命が来た僕が、病院に緊急搬送されたとき、病室で目を覚まして…好きなヒトが傍にいてほしいだなんて考えている。冷たくなりかけた僕の身体を、強く揺さぶって欲しいから…。
そして、
『お前、何やっていんだよ!俺を、見棄てるなよ!忘れんなよ!』て、涙は覆い隠せているんだけど、肝心な鼻水は垂らして心配する彼が見たい。そんな時にしか弱さを見せない彼を見たい。それで、死ぬ決意したことに後悔をしながら、寿命きたことに歯がゆさを感じたい。弱さを見せてくれた彼に笑って、人生は明るいってこと認識したい。
だから、僕はそれまで死なない。変な話、そんな彼氏がいるなかで、馬鹿げて死ぬのが一番良いと思っている。誰も「ありがとう。」と、囁いてくれないなら…
だけど…そんな彼が出来るはずがないって、思っている。
だって、僕は男だ。男の僕が、男に恋するのはおかしくないか?
いや、おかしくない。おかしくないんだ。誰にだって『好き』という感情がある、異性にも同姓にも通用する感情。そのなかには『憧れ』という感情もあって、そこから愛という感情が芽生えることだってある。
たまたま意気投合しただけで惹かれてしまうときがあると思う。僕もそんな時がある。それが同性だった場合、ドキッとする『気持ち悪い』とかじゃない。『このヒトのこういう所が好きなんだ。』という気持ちの癇癪。純粋に『好き』という、気持ち。
同性を好きなるのがおかしいって云うけど、ある化学の話を持ち出すよ?それは『H2=水素』だ。同じ原子『H』なのに、意気投合してる。化学結合していやがる。『H』という性は『H』という性に惹かれて、化学合成し『H2』になってしまった。もっと厄介なのが同性どころか、異性の『O』まで手につけて『H2O=水』になるということだ。
きっと『H』は、寂しかったんだろう…宇宙にはじめて生まれた原子だから尚更。やっと同じ仲間を見つけたんだけど、嬉しすぎてすぐ起爆してしまったり、まわりより浮いてしまうことがあるけれど…「出逢わなければ良かった。」なんて思ったことはないんだろう。今ではもう、原子のナンバーワン。そこに親戚の『O』とも仲良こよし。いい話じゃないか…。
でも、人間の場合は違う。生物の論理をこよなく知っている人間が、「生理上、おかしい」「物質の変異」などと口にする、話を盛り上げる。なおさら、その人たちは表ざたにならなくなり、裏で生きることをしいでられたり可哀想。なのに、そんな人は見たことないと公言してくれる、当たり前だ…お前らが追いやったんだ。
僕は思う。
君たちは今、自然に笑って日々を送っている幸せな生き物だと思う。でも、『H2』のような存在が認められたとき、どんな顔をしてくれるのだろうか。
だからこそ僕は、あえて彼氏を作りたい…そう、僕は同性愛だ。
だけど、異性も好きだ。要するに、ただ純粋に馬鹿げた君たちが好きな人間。ただ、ただ、それだけ。
でも今はまだ、時代に流されようか。でも、まだ自殺未遂を起こしたばかりで傷が癒えてないから、もう少し時間をおいてからしようか。
だけど、そんなんじゃ…今が満たされない…僕はすごく淋しがり性格だから…尚更。