僕のステージ
ドームという、冷たいコンクリートの中に…ステージという、夢の舞台が出来上がった。
スタッフがステージで最終チェックしている間に、僕は1人…アーティスト照明合わせの作業としてステージ上に立っている。
白い何本もの光が全身を照した時、自然と声がもれた。「うわっ……」その途端に、太陽と同じぐらいの熱さを感じ息を呑んだ。
『ステージも普段の生活と同じ…生きている。造られたステージだとしても、太陽のような照明、色々なアクシデントがある舞台、観客の生きた歓声、響き渡る命の声』
アップするステージに身を任せながら、上へ行くとそこは1人の人間として生きている事を感じさせるような刹那さ。
一瞬一瞬、何気ない生き様が反映されて行く人生。アーティストや俳優、アイドルに芸人……舞台に立つ人はどれだけの勇気を持って人生を披露してきてるのだろうか。
後ろから照明が反映されて映る、天井のシャボン玉模様。色が変われば華やかな桜の花びら模様。
休憩交替で仲間と変わった後も、全身が熱く、頭がそのことで一杯になり…未来も過去も棄てられる気がした。役者になりたいと夢に描いてた頃の熱い胸と、今が…似ている気もした。
そんな時にふと、彼の声の太さが頭によぎり苦しくなった。彼との夢をみたい、だけど自分の夢を叶えたい、だから仕事やめたい…一つに専念したい、だけど彼の名前だけは知りたい…仕事辞めれない。
どうか今回の撤去で、直ぐ会えますように。自分の欲だけで、彼への欲が汚らわしい欲で満たさないように…しませんように。切なる想いが、僕のステージに緊張を及ぼした。




