たそがれの秋
ようやく彼と話すことができた、僕。
彼は意外にも好きなものや、興味などが似ていた気がする。だけど女性の話になった途端、彼の様子が変わった。始めから理解していたこと。
どうしてこんなに秋は切ない?
でも、彼のことは…
「スキ……、好きなんだ。」
誰が好きとか…男だとか女だとか、そんなの関係ない。
この先は明るいとか、暗いだとか…誰にも本当のところは決められない。
『愛している』とか『不倫された』とか…結局、自分のことで考えが終わっているだけ。教育は黙って机に座ってペンを取り出して学べば良いってもんじゃない。学級崩壊しているからこそ、時代の道徳、背景によって左右する音楽、傷ついた皮膚の科学反応、罵声の響くクラスの国語、緻密に計算されてきた頭脳で考える数学。そして真っ向に教育させようとする体育、ひとつの個性を褒め尊重する美術……こんな世界で上手くいくなんて、絶対ありえない。ありえるのなら…ただひとつ、『僕ら人間は擦れ違うことでまるくなり、光にあたり輝きだす』ような気がする。
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仕事がない日は、晩ご飯を作る。独特な考えでご飯を作るためか…素直に美味しいと言われたことがない…そんな過ちを正せば『美味しい』と言われるかも知れない。だけどいくらレシピ料理の通りに作っても考え込んで作っても…家族全員が揃って『美味しい』と口にすることはない。好き嫌いがあるために…
給料を貰う度に四苦八苦する、誰かのためにお金を使いたくなってしまうから。
でも今は違う…知らず知らずキレイとカッコよくなるために色々と手を出してしまう。あんなにバイト始める前は『こんな僕なんかお洒落しても…ムダなだけ』と、言い張っていたのに…値段を気にしながらでも、流行を取り入れながら試着して似合う服だけを買っている。
彼という存在が…僕を変わらした。彼という存在が…僕の存在意味を変えた。彼と居たいという片想いが…僕の生きていく、独りでいる辛さを教えてくれた。
彼の事ばかり考えて、ご飯がマズくなったとしても…彼が居る事で、前が見えなくて電柱にぶつかったとしても…僕は、誓って生きたい。
『彼が幸せなら、それでいい』
まだ仕事がある日まで、休みはあるけれど…秋の落葉みたいにはなりたくない。古文の「ナントカは塵におなじ」には…なりたくない。
これは僕の新しい人生だから。




