表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ゆったり立志物語  作者: sawa
ダンジョン攻略篇 ~ラストック~
62/72

第六十話 会計、そして注目!

 結局、何だかんだ言ってかなりの奴隷を落札した。その数二十四人……その内訳は、子供が十二人と半分を占め、残りの半分には七人の高齢者とヴァルターの知り合いが五人である。


 尤も、全員がスラムの住人であり、顔見知りと言えなくも無いらしい。子供たちの親族は殆ど居なかったが――元々孤児である者以外は――実の親に売られた子供もいる。所謂、口減らしと言う奴になるのだろうか……働けない年齢の子が、それであった。


 孤児たちも、オークションでは一般奴隷として出品されていたが、徴税官が小細工をしたらしい。聞いたところによると、少しでも高く売る為に書類を誤魔化したのではないかとの話だが、罪をでっち上げる事が出来るのだから、その辺は自由自在なのだろう。犯罪歴の有無などは役人の管轄なので、奴隷商会としては言われた通りの扱いにするしかない様だった。


 如何に健全な営業を心掛けていようとも、従業員の生活を守る為には長い物に巻かれてでも続ける必要があるのだそうだ。ライバルとなる商会も多く、志が低ければ幾らでも劣悪な環境に出来る商売だからこそ、尚更らしい。発展途上ゆえに、綺麗事だけでは済ませられない厳しさが垣間見える


「これはこれは、リュージ様。お越し頂けると思っておりました。この度は、二十四名も落札して頂きまして、誠に有り難う御座います」


「あぁ、いえ。名前を覚えてるとは思いませんでしたが……その節は、お手間を取らせました。支店長さん、でしたっけ?」


「これはこれは、名乗りもせずに失礼致しました! 支店長のヨハネスと申します。今後とも、ジャコモ奴隷商会をご贔屓頂きたく存じます。お名前に就きましては、こちらもお客様商売ですからね。商売の基本とでも申しましょうか……印象的なお客様は、覚える様にしているのですよ」


 恭しく頭を下げて現れたのは、リアを買い取った時の奴隷商人であった。商会にとって迷惑なお願いにも拘わらず、自己の判断で決断を下した事からも上の立場であると窺えたのだ。鎌を掛けたというよりは、推測したというのが相応しいのだが、やはりと言うべきだろうか。お互いに名乗った記憶は無かったが、商売の巧者からすればどの様な会話であっても耳を傾け、必要な情報は覚えておく物らしい。全く聞いてない風を装ってはいても、商人という存在を前にして油断する事は出来ないという事だろう。


「それでは、入場料の半値をお返し致しますので、総額八百三十六マアク五十ピニとなります。内訳は必要ですか?」


「いや、暗算は出来る。俺の記憶とも合ってるから必要無いよ。――じゃあ、数えてくれ! 余りはチップにしてくれて良いから」


 代金を請求されたリュージは、事前に袋に移して分けておいた百六十八枚の五マアク銀貨を目の前へと押し出す。落札しながら暗算していたので総額は把握していたが、帝国の物以外は銀貨しか所持していないのである。流石に、アイテムBOXからじゃらじゃらと取り出すのは、余りにも下品だと考えたリュージが、小分けにして準備していた物である。


然様さようで御座いますか。それでは、失礼して……そうですね、確認作業と並行して手続きに取り掛からせて頂いても宜しいでしょうか?」


「あぁ、それで頼むよ」


 銀貨の詰まった袋を受け取ったヨハネスは、三名の部下と確認作業に入るが、同時に契約書の作成を行う事を提案する。


 偽造銀貨を調べるのに、それなりに時間が掛かるのだろう――枚数を数えると共に、天秤も使用するという念の入れ様である。技術的な問題も有り、精度に若干の誤差も有る様だが、比重の違いと目視のダブルチェックで、大概は見抜けるらしい。それを二組に分かれて二回行うのだから、時間を惜しむのであれば同時進行も已む無しだろう。何分、人数が多いのだから……。


 その間も、リュージと奴隷の双方で採血が行われ、契約書の作成が進んでいるので、時間を無駄にするストレスは感じないのだが……人数と同じ回数も針を刺される事になった。


 ――浅く針を刺す程度の傷では、直ぐに塞がってしまうのである。これは、前日に起こった鼻血の大量出血が影響していたのだが、【止血】という微妙なスキルを新しく獲得していたという経緯があったりする。この時、クゥーは魔核の中であり、テンもベッドの上だった為にアナウンスは発生せず、リュージも気付いていない。


 大した痛みでは無いが、結果的に二十四回もの自傷行為をさせられたリュージのテンションは、下降の一途を辿る。自分の身体の事もあり、文句の付け様も無いので尚更である。


「……はいはい、確かに。それでは、契約もお済みの様ですので、こちらをお受け取り下さいませ。これが、それぞれの奴隷証となります」


 支払い確認と契約が完了すると、十九枚のカードを手渡される。

 

「……奴隷証? リアには、無かったけど?」


「はい、これが奴隷の身分証明書となりますが、十二歳未満には発行されませんので……」


 例えば、ギルドカードは探検者を始めとした各ギルド会員の身分を証明するが、奴隷身分の者は主人の所持品扱いになるので、登録不可である。その為、奴隷には奴隷専用の身分証があるらしい。また、十二歳以下の未成年者にはカードは発行されず、主人が保護者としての義務を負うと同時に、身分を証明しなければならない。……と、いうのが建前――遵守されているかは、甚だ疑問――となっている。


 未成年の奴隷は、こういった面倒事と共に経費が嵩む為、安目の開始価格が設定されているのだが、早い段階で一流の使用人としての教育を施す事にメリットを見出だす者も少なくない。そういった事を踏まえて考えると、若年者の需要は決して低くはないのだが……幸いにしてラストックには、余裕のある者が少なかったので、この年齢層の買い占めに成功したのだった。


「そうなんだ……ふ~ん……」


「何か御座いましたか?」


「いや、ギルドに登録すれば身分証明なんか、簡単に誤魔化せそうだなって思っただけだよ」


「あぁ、成る程……その点については問題になりません。そもそも、奴隷が現金を持つ事自体が稀ですし、仮に所持していたとしても登録の際に発覚して即拘束されますので、ご心配には及びません」


 ラストックの様に身分証の確認もしない街が在るのだから、登録料さえ貯める事が出来れば偽名を使って不正にギルドカードを発行して貰い、他国へと逃亡可能ではないか……というのが、リュージの考えである。


 ――しかし、それは浅い考えであったらしい。


 例え偽名を使用しても、採血による魔力の個人認証は誤魔化せないそうだ。科学分野での技術――指紋や血液検査など――は未発達でも、魔法技術はそれなりに発展しているのだろう。魔道具を利用した魔力パターン検出により、正規に登録された奴隷を見逃す事は無いらしい。この情報共有は、正規の奴隷身分に限るとの取り決めがあり、ギルド会員の個人情報の漏洩は無いとの事だが、何処まで信じて良いかは不明である。何れにしても、過信は禁物である事と奴隷に人権が無い事ははっきりしている。


 また、非正規奴隷――行方不明者などが大半を占める為、見付け次第保護の対象になる――は、それ自体が犯罪行為なので自由は与えられず、公の場で見付けるのは事実上有り得ないとの事である。ただし、犯罪組織を検挙した際に保護される事例が僅かだが在るらしい。


「その辺は、思ってたよりは確りしてるんだな……」


「えぇ、農村部は兎も角として今や身分証明が無ければ、まともな職に就く事も儘ならない世の中ですから……偽造なども含めて、こういった魔道具の進歩には特に力を入れているそうですよ」


「へぇ~、興味深いね。魔道具も欲しかったけど、何処にも店が無くてね……詳しく聞いてみたかったなぁ」


 非常に興味の有る話題ではあったが、魔道具職人でもない一介の商人に、専門的な知識が期待出来る訳もなく、世間話の域を出ない。


「……この街も、たった二年の間に寂しくなりました。それはそうとリュージ様、装飾品はどうなさいますか? 各種取り揃えて御座いますが……」


「ん~、装飾品って首輪とかだろ? 態々、奴隷である事を宣伝して歩く意味が分からないから要らないよ。子供にそんなのは論外だしね……リアの時で分かってるだろ?」


 以前、リアを引き取った際にも確認されたのだが、他人と違うという事は子供にとって余りにも大きな比重を占める問題である。ファッションとして、可愛いチョーカーなどを身に付けるなら兎も角、他人から奴隷だと思われる物など不要であるとリュージは考えていた。装飾品と言えば聞こえは良いが、拘束用のゴツい首輪など以っての外である。


「はい、存じ上げております。しかし、商売でもありますから、失礼は承知でも確認は必要なのですよ。奴隷にもお優しいリュージ様なら問題は無いのでしょうが、一般的なお客様は奴隷の着衣にまでお金を掛ける様な事はしないのです。残念では御座いますが……分かり易く奴隷であると示すのは、有る意味で奴隷を守る事にも繋がるのです」


 例えは悪いかもしれないが、薄汚れた服装の不審者と同じく薄汚れた服装の奴隷なら、責任の所在がはっきりする奴隷の方が若干だが有利になるらしい。何かが有っても、保証人が居ると分かる分だけ安心感があるという事だろう。不審者扱いで要らぬ攻撃をされるよりは、奴隷扱いの方が増しであると考えたなら、分かり易く首輪を薦めるのもヨハネスなりの優しさなのかもしれない。


「……リアの時には、そんな事は言わなかったけど?」


「ふふふ、商売とは申しましたが、これでもその方の人となりを見てから判断しているつもりです。必要であるならば、お客様を煽ってでもご購入頂く場合も御座いますが、この度は半数以上が成人している奴隷なので確認したに過ぎません。しかしながら、リュージ様は奴隷の事情に暗い様に見受けられましたので、差し出口を叩かせて頂きました」


「……ふむ、成る程ね。角度を変えれば見え方も変わるという事か……良かれと思って自由にする事が、必ずしも奴隷の幸せでは無いって? 耳が痛いね……奴隷制度の是非は兎も角、勉強になったよ。ありがとう」


 結局、不要なオプションを固辞したリュージは、ヨハネスの言葉に耳を傾けた後に、こう言って感謝の意を表した。――だが、これは社交辞令でもある。心構えとしては理解出来るが、奴隷扱いをする気は端から無い。いうなれば、会社の上司と部下くらいの感覚だろうか? 衣食住の面倒まで見る事から関係はより深いのだが、接し方まで変える必要は感じない。変えても、部下を扱う以上に上手くやれる自信は無かった。


「いえいえ、滅相も御座いません。リュージ様の様な方ばかりでしたら、どんなに良い事であるか! またのお越しを、心よりお待ち申し上げております」


「うん、また寄らせて貰うよ。解放する時も、商会で手続きすれば良いんでしょ?」


「はいはい、営業日でしたらいつでも承って御座います」


 深々と一礼するヨハネスに、確実に訪れる解放――リアは、二年後に解放すると約束している――の事を確認する様に訊ねると、にっこりと笑みを溢しながら再度丁寧な一礼をするのだった。そんなヨハネスに見送られながら、三十人が列をなして歩く。


 子供が多いとはいえ、八畳間くらいの一室に三十人以上は流石に狭い。商会の従業員は兎も角として、入り切れずに廊下で待機していた奴隷の事を考えると、のんびりと自己紹介している場合でも無いだろうと、簡単な挨拶のみで会場を後にしたのが、つい先程の事である。


 ……目立つ。兎に角、目立つ! 目立ちたくなくても、注目を集める。


 午前中の雨は、いつの間にやら止んでおり、雨上がりの街には週末らしく歩行者の群れで溢れていた。雲間から覗く日差しが、まるで祝福してくれているかの様だ! ――などと、感じたのは最初だけ……今では、スポットライトの様に自分たちを目立たせる忌々しい舞台装置に感じられる。望んで舞台に立つなら、注目されるのは良い事だが、今はそうじゃない。興味本意の視線に只で晒される事ほど、不快な事はなかった。


 列を作って歩くだけでも目立つのに、それを構成する人員の八割が見窄みすぼらしい身なりであり、残りの二割との対比が著しいのだから当たり前とも言える。しかし、チラ見する程度ならいざ知らず……ガン見するのは遣り過ぎではないだろうか? 


「なぁ、ヴァルター……」


 後ろを歩くヴァルターに、こっそり声を掛けるリュージ。


「……はい、何でしょう?」


 その仕種を訝しく思いながらも、応えるヴァルター。


「俺は、先に人数分の部屋を取ってやらなくちゃいけないから、こいつらの事は任せるわ……服屋にでも行って着替えさせろ。替えの服と下着も忘れない様に!」


「はっ? ……それなら自分が――」


「あ゛ぁ!?」


「――いえ、何でもありません! お気を付けて!」


 急遽、適当な理由をでっち上げて逃げようとするリュージに、雑事は自分がと言い掛けて口を閉ざすヴァルター。本気では無いにしても、リュージに威圧されて逆らえるほどの胆力は無い。即座に前言を撤回し、送り出す事にするが何に気を付けろと言うのか……テンパって咄嗟に出た言葉だが、本人にも意味が分からなかった……。


「よしっ! じゃあ、これな? 足りると思うけど無駄遣いするなよ? 必要な物は遠慮しなくて良いから! んじゃあ、任せた」


 そう言って握らせた袋には、五百枚の銀貨。五マアク銀貨なので、二千五百マアクも入っていた。一人あたり百マアクちょっとになるが、服を始めとした身の回りの生活雑貨を買う為の軍資金としては、十分過ぎる金額である。


(テン、連絡用に残ってくれ!)


『はっ、畏まりました』


 指示を出されて即座に了承したテンは、リュージの腕から飛び立つ。風を操って飛べる様にはなったが、勢いをつけて貰った方が楽なのも事実である。


「リュージ……もしかして、逃げるつもり?」


「何を仰るやら……宿にだって準備は必要でしょう? イヴ先生と師匠は、可愛い服を選んであげて下さいね~」


 最後尾で、こそこそしているリュージに気付いたイヴァンジェリンが、逃げようとしているのだろうと追及するが、断り辛い役目を押し付けた上に、走り去ってしまう。


「――こらー! 逃げるなー! リュージの馬鹿ーーーっ!!」


 遠ざかるリュージの背中へと咄嗟に浮かんだ罵倒を浴びせるが、その姿を視認出来たのはほんの僅かな間だけ……。雑踏に溶け込む様にして紛れた人間を目で追う事は難しく、標的を見失った叫び声だけが週末のラストックにこだまする。


「……何だか狡い、騙された気がする」


「えぇ、そうね……」


 非常に分かり辛いが、静かに怒っているのが分かる。引き篭もり気味のコリーンにとって、この視線は特に苦痛なのではないだろうか……。隣で愚痴る幼馴染みを横目に見て、背筋に冷たい物を感じたイヴァンジェリンは、自分の怒りも忘れて大人しく同意するのが精一杯になるのだった。






 そんなコリーンの怒りを知る由もないリュージは、一路南へと向かっていた。途中、定宿じょうやどにしている“渡り鳥の棲み処亭”に立ち寄り、部屋の準備もお願いしてある。流石に相部屋にはなるが、子供たちには丁度良いのではなかろうか。久し振りに満室になったと、オーナーのジョルジュは大喜びである。


 ほぼ貸し切り状態だったので心配はしていなかったが、無事に宿を確保出来た事に安堵したリュージは、次の用事を済ませようと移動する。


 一体、何処に向かうと言うのか……。そう、南に在る職人広場から延びる区画が目的地である。


 ここは、“アドルフ革工房”――五日前に注文した馬具の受取日は今日なのだが、相変わらず店を開けてはいないらしい。前回、案内してくれたエイダさんと同じ様に、勝手に入って行く事にする。


「こんにちはー! 馬具の受け取りに来ましたよーー!」


「はーい! 聞こえてるから、ちょっと待って……出来上がった鞍は、そこに置いてあるよ」


 聞こえる様にと、少し大きめの声でリュージが呼び掛けると、店の奥の方から返事が来る。然程、時間を置かずに現れたジェナはすこぶる機嫌が良さそうであった。


「あぁ、これですか……良さそうですね!」


「あったり前だろう? 私の最高傑作だからね! これでも、腕には自信があるんだから!」


「成る程、お見逸れしました。それでは、これが約束の残金……八マアクになります」


 上機嫌なのは、納得が行く作品が出来上がったかららしい。実に職人っぽい理由ではあるが、ニコニコと笑顔が絶えない女性は、それだけでも魅力的に映るだろう。仕事を遣り遂げて、自信に満ち溢れるジェナに感心しながら、リュージは残りの代金を支払う。


「毎度あり~。久々に遣り甲斐のある仕事で楽しかったよ! 簡単に壊れる様な作りはしてないけど、何か有ったらいつでも来なよ!」


「えぇ、その時は是非!」


 ヒラヒラと手を振るジェナに見送られて店を出たリュージは、深呼吸と共に宿へと向かって歩き出す。やはり、鞣し剤の匂いが籠る店内は厳しいのだろう。


(やっぱり、クラクラする匂いだよな……)


『換気もしてないみたいですニャ。本人は、慣れ過ぎて気にならないのかもしれないですニャン』


(だよなぁ……そういえば、大蛇も鞣さないと使えないよなぁ。財布にでもするか?)


『その前に、解体が必要ですニャ!』


(まぁ、一段落してからだけどな)


 街を歩く際、クゥーとのたわいもない会話は、丁度良い気分転換であった。それと言うのも、ラストックを覆う寂寥せきりょう感のせいである。


 午前中の雨も手伝ってか、店という店が軒並み閉まっていて、街としての雰囲気が全体的に暗いのだ。職人が集まる工業地域であれば、何かしら騒音が有って然るべきだろう。にも拘わらず、火が消えたかの様に静まり返る工房があちらこちらに散見される。


 夕飯の買い出しに出掛ける主婦であったり、水溜まりを覗き込む子供、何処かに急ぐ探検者風の男や、如何にも商人といった装いの男。様々な人々が歩いているのに、誰もが悲愴感を漂わせ活気という活気が感じられない。


 こういった雰囲気は、父を亡くして索漠さくばくたる思いを抱えていた子供時代を思い出させる。秘めた思いは違っても、当時の自分を思い起こすのだろう。今更、泣きたくなる訳でもないが、不意に胸を締め付ける様な郷愁は、どうしようもなかった。――だからこそ、そんな街角を直視せずにいられるのは、リュージにとって非常に助かるのだった。


 そうして、過去の自分を振り返らない様に誤魔化しながら歩く事暫し、中央広場まで戻って来たリュージは、行き交う歩行者の中に顔見知りを見付けて声を掛けた。


「おっ、ロベルトじゃないか! ハワードとマックスは、一緒じゃないのか?」


 そこには、三人組の探検者パーティーである“勇敢な同志タップファーカメラート”のリーダー、ロベルトがキョロキョロしながら歩いていたのだ。


「あぁ、良かった! お前さんを探してたんだよ……あいつらも、たぶんそこらに居るだろう」


 どうやら、向こうからしてみれば、偶然の出会いという訳ではなかったらしい。詳しく聞きたいところだが、その前に――


「ん? 宿の場所は教えてあったろ? 分からなかったか?」


「いや、行ってみたけど不在だって言うんでな……」


 既に、ジョルジュとは話をしたらしく、不在を告げられたので広場で帰りを待っていたそうだ。見逃す事も考えて分散したらしいが、ご苦労な事だ。


「そうか、貸し切りみたいなもんだから、食堂で待ってれば良かったのに……律儀だな」


「あ、あぁ……まぁな、いつになるかも分からなかったからな。もう、戻るんだろう? あいつらも連れて行くから、先に行っててくれるか」

 

 ジョルジュからも、お茶を飲んで待つ様に勧められたそうだが……それを固辞して出て来たらしい。急ぎの用事でも有るのだろうか? 何とも歯切れが悪い感じが気になるリュージであったが……。


「う~ん、それで良いなら……宿で待ってるよ」


 色々と疑問を抱きつつも、宿で話すなら焦らなくても良いかと先に向かう事を同意する。リュージにしても、仕事を頼むつもりでいたので好都合であり、どう話を持って行くかを考えながら宿までの道を歩くのであった。

 現在のステータスです。


 《ステータス》

 名前   鈴木立志すずきりゅうじ

 性別   男

 年齢   42

 職業   放浪者

 所属   隠れ里

 種族   異世界人

 

 レベル      23

 生命力   3100/3100

 魔力       ∞

 力       2457

 体力      2279

 知力      6714   

 素早さ     3568   

 器用さ     2056

 運       2102   

 魔素ポイント 99938288  

 所持金    59134マアク75ピニ 3386マアク50ピニ↓


 《スキル》

[超電脳Lv2]     [魔導の心得Lv4]

[心眼LvMAX]    [浄天眼Lv3]  

[剣術LvMAX]    [斧術Lv1]

[投擲Lv3]      [光学迷彩Lv4]

[錬金術Lv1]     [槍術Lv1]   

[忍歩LvMAX]    [遊芸Lv1]   

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

木工Lv3 盾Lv1 登山Lv1 伐採Lv4 音波感知Lv3

石工Lv1 海中遊泳Lv3 交渉術Lv3 調理Lv1 蹴撃LvMAX 止血Lv1 new


 《称号》

スキルマニア 殺戮者 無慈悲なる者 テクニシャン

イジメっ子 笑う切り裂き魔 三助 温泉伝道師

大蛇殺し 海洋生物 盗賊殺し トレジャーハンター

子供の味方 賞金稼ぎ 巨蟲殺し 開発者

史上初の快挙を成した者 勇者 見えざる暗躍者 new

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ