第五十六話 約束の報酬!
伝えるべき事は伝え、聞くべき事は聞いた。用件は済んだと、徐に席を立ったリュージは、一礼して部屋を出る。
その際に、妙な視線がリュージに突き刺さるのだが、誰に説明されずともヘルムートの絶叫が原因である事は、疑い様が無い事実である。今は、まだマシな方だが……この先には探検者が居るのだ! この状況で、更なる注目を集める事態を想定した時、光学迷彩の発動を躊躇うリュージでは無かった。ギルド職員には、きちんと守秘義務が存在するので信用するしか無いだろう。人である以上は絶対では無いが、不特定多数の見知らぬ探検者達とギルド職員達なら、後者を選ぶほか無い。
リュージは、自分に視線を送るギルド職員達に、自らの唇の前に人差し指を一本立て“内緒だよ”という事を身振りで示した。全員に伝わったかは不明だが、バッチリ視線が合った数名は大丈夫だろう。ウインクを合図に消えて見せたのだが、意味深なジェスチャーの後でならば、意図に気付いて貰えるという思惑も有った。アイコンタクトの時点でも好意的な印象を受けたので、リュージはそれほど心配は要らないかなと安心もしていた。
(協力的で助かるね……何でなのかは、分からないけど)
『彼等も、ヘルムートの部下(被害者)って事ではないですかニャ?』
(あぁ……納得! 若干の同情する様な視線には困惑したけど、理由が分かってスッキリした)
光学迷彩で姿を消した後に、目を見開いて驚いた者も居た様だが、必要以上に騒ぐ事も無く――寧ろ冷静に努めようと、直ぐに業務に戻っていた。そんなギルド職員達の姿勢を評価しつつ、クゥーとの雑談を楽しんでいたのだが、思わぬ回答に正解を見出だして納得するリュージ。常日頃から、ヘルムートを相手にしているギルド職員達を想像すると、確かに同情の念を禁じ得ないのだった。
一階ホールを抜けて、ギルドを後にしようとした時に掲示板前の人集りが目に入ったリュージは、とある約束事を思い出して、一旦外に出ると――目立たない場所で光学迷彩を解いてから戻って来た。
「すみません。知り合いに、分け前を渡したいんだけど……素材を預かって貰う事は出来るのかな?」
「……いいえ、申し訳御座いませんが、そういったサービスは提供しておりません。素材が傷んでも責任が取れませんし、価値も変動する物ですから」
再度、ギルド内に足を踏み入れたリュージは、受付で用件を述べてみるのだが、当然の困惑顔である。無理も無い――目の前で消えた筈の男が、素知らぬ顔で再入店して来たと思えば、突飛な事を言い出したのだから。
「そうですか……では、三人組の探検者パーティー“勇敢な同志”に連絡を取りたいのですが……何か、良い方法は有りませんか?」
「伝言なら、お預かりしておりますが……ギルドを利用しに来て頂けなければ、お伝えする事が出来ませんので、確実な方法だとは申し上げられません」
リュージが、消える前と同じジェスチャーをしながら質問を続けると、訳有りだと察したのか気にするのを止める職員達。探るのを諦めたというよりは、考えても無駄だと思ったのかもしれないが、ヘルムートによってスルースキルが鍛えられた結果ではないかと、疑いたくなる程の切り替えの早さである。
「ん~、……それではですね、彼等が来たら『分け前を渡したいから中央広場付近に在る“渡り鳥の棲み処亭”っていう宿に連絡をくれ!』と伝えて貰えないでしょうか? 私は、リュージと申します」
「畏まりました。それでは、勇敢な同志のパーティーメンバーが訪れた際には、リュージ様からの伝言として、『分け前を渡したいから中央広場付近に在る“渡り鳥の棲み処亭”という宿に連絡をくれ!』とお伝えさせて頂きます。また、当伝言サービスのご利用には十ピニの費用が発生致しますが、宜しいですか?」
「はい、それでお願いします。――っとこれが代金です」
やけに丁寧な対応に訝しく思いながらも、無事に伝言を残す事に成功したリュージは、さっさと代金を支払って退散する事にした。受付の丁寧過ぎる対応に、幾人かの探検者が注目していたからである。かといって、丁寧な事を注意する訳にも、事情を説明する訳にもいかず……気付かない振りを通す事にしたのだ。彼等の中で勝手に膨らんだ想像が、リュージの立ち位置を何処に決めたのかは、謎である。
『御主人、伝言を残したばかりで恐縮ですが、見付けられるかもしれないですニャン』
(ん? どういう事?)
ギルドを出た所で、不意にクゥーが切り出した言葉は、リュージの興味をそそるのに十分な威力を発揮した。リュージは、続きを促す。
『クゥーが、ゲームシステムを元に情報共有化設定を駆使して、マーカーを視覚化しましたニャ? その時のスキルは、電脳、心眼、鷹の目の三つでしたが、その内の二つが進化してますニャン』
(超電脳と浄天眼になってるな)
『――ですニャ。そこで注目なのが、浄天眼なのですニャン! 遠方の出来事を見通す事が可能なら、マップ表示やナビゲーション機能も実現可能かと思いますニャ!』
(ほぅ、それは良いかもな……でも、道を覚えなくなるんだよな~)
クゥーの話は、情報共有化設定で運用しているオリジナルの能力も、スキルの進化に伴って拡充させるという物だが、能力の強化というよりは……やはり、進化というのが相応しい。ステータスに直接の影響を及ぼさないとはいえ、侮れない利便性を有するのだが、更に汎用性が増しそうである。
超電脳に、進化する事によって齎された更なる処理能力向上は素より、鷹の目その他のスキルが、統合と最適化をする事で浄天眼へと進化した。これにより、今までは視界の範囲でしか表れなかったマーカーが、マップも共有化する事でレーダーの役割も果たせそうである。マップが埋まれば、最短距離を計算してナビゲートさせる事も出来るだろう。想像力次第では、利用価値も無限大となる。
『在っても損はしませんのニャ。――ですが、問題も一つ……レベルが足りないみたいですニャン』
(……)
『……』
(……そうだな、魔素ポイントもあるけど、思い付いた事も有るから、レベル上げに行くか!)
少し前のリュージであれば、「じゃあ、どうして言ったんだ?」と聞き返していたかもしれないが、流石に慣れて来たのか言葉を飲み込む事に成功した。恐らくは、言いたくなったからというだけで、深い意味は無いのだから聞くだけ無駄である。尤も、複雑そうな表情は隠せなかったが……。
暫しの沈黙を介して、気を取り直したリュージは、この時に浮かんだある思い付きを、ついでとばかりに実行する事にしたのだ。
『ダンジョンですかニャ?』
(そうとも言うが、正確には男爵の所かな? まだ、ダンジョンに居てくれると良いけどな)
『レベル上げにダンジョンも良いのですが、今なら安全ですニャン! 取り敢えず、魔素ポイントで一つずつ様子を見ながら上げてみては如何ですかニャ?』
(そうだな……そうしてみるか)
今の浄天眼では、遠方の物を見るといっても、鷹の目スキルに毛が生えた程度でしか無い。また、その範囲内の全てを透過して見れる訳でも無いので、思い付いた事を実行するにはレベルを上げる必要があった。魔素ポイントによる強制レベルアップは、著しく感覚を狂わす事が分かった為に、戦闘が避けられない環境では控えるべきだと判断したが、今なら問題無いだろう。
リュージは、浄天眼へと魔素ポイントを割り振る――必要ポイントは、八十ポイント。これで一つレベルが上がったのだが、まだ大丈夫そうだと更に八十ポイントを消費して、レベル3にしてみるリュージ。
(うわっ……やばい! 見え過ぎて、気持ち悪い。キ、キャンセル!)
『御主人、キャンセル不可ですニャン』
(知ってる……言ってみただけ! 集中すると少しは増しになるな)
リュージは、急激に鋭敏となった視覚に堪えられずに膝を付いた。視野が安定せず――激しい目眩がリュージを襲う。目を閉じて集中する事で、幾分かは楽になる様だが……。
『御主人、大丈夫ですかニャ?』
(あ、あぁ……テレビのチャンネルが、高速で切り替わるのを強制的に見せられてる様な……兎に角、目が回る)
『……チャンネルを固定――例えば男爵の居場所に、意識を集中させてみては如何ですかニャ?』
(ふぅ~。やってみる……)
リュージは、記憶に残る男爵の顔を思い浮かべてみる……それは異常に対する防衛本能の成せる業か、はたまた浄天眼の効力か――両目に魔力が集まり瞳が金色に輝き始める。
――男爵は、まだ帰っていない! ここでは無い何処かを見つめるリュージの両目は、確かに男爵の行方を捉えていた。虚空を見つめる金色の瞳は、やがて元の色へと戻ってゆく。
(あ~、山は越えた感じがするけど……頭痛が痛い)
『頭痛と痛いは同じ事ですニャン?』
(ん~? 知ってるよー。何て言うか、ニュアンスの問題かな? 更に痛いとか、凄く痛いみたいな……あまり深く考えないでくれ! それより――)
一度、コントロールに成功した事で安定して来たのか、リュージは立ち上がると歩き始めた。
男爵は、何らかの成果が出るまで居るつもりなのか……未だにテントの中に居る様であった。男爵の居場所を突き止めたリュージは、急ぎダンジョンへと向かい走り出すのだった。
――結局、男爵は報告を待っていた。一日で結果が出るとは思っていないが、待ちに待った野望の第一歩である。計画を早めたとはいえ、失敗はしていないのだ! 己が栄華を極める姿を夢想しながら、部下達の報告を待ち侘びていた。
――そろそろ、伝令から途中経過の報告が有る筈の時刻であった。
男爵は、一度にダンジョンに潜るのは、二個中隊までとしており、中隊を四個の小隊に分けて突入させると、ダンジョン内ではさらに分隊に分けて送り出していた。今、ダンジョン内では三十二個の分隊――凡そ三百六十名が活動中であり、中には伝令を担当する分隊も存在する。
伝令を任務とする分隊の十一名からなる隊員が、ダンジョンから続々と出て来ると、新たな分隊が交代で潜ってゆく。戻った分隊から一名がテントに走る――恐らく、分隊長が報告に走っているのだろう。
そんな様子を尻目に、隠れて意識を集中する者が居る――言わずと知れたリュージである。光学迷彩を駆使して物陰に潜み、何をしているのかといえば、ダンジョン内の様子を探っているのである。
ダンジョンのマップを思い浮かべ、浄天眼で覗く……リュージが探しているのは、探検者である。だが、生きている探検者の姿は発見出来ない。追い出されたのか、殺されたのか……魔物に殺られたのか、男爵の私兵か……。
今となっては分からないが、これから行う事を躊躇う理由は無くなった! リュージは、思い付いた事を実行するのに、探検者の回収を考えていたが、余計な手間が省けたのは好都合である。
「悪いんだが、王都から戻るまでの時間稼ぎに付き合って貰おうか……嶂壁!」
それは、誰かに聞かせる為の言葉では無く……その場には、聞き咎める者も居なかった。
リュージが魔法名を唱えると、例の如く山の様な壁が現れる。ダンジョンの入口一帯を取り囲む壁は、男爵の私兵が駐留する野営地に逃げ場の無い谷間を作り上げる。
(これで、男爵達は俺が王都から戻るまで足止めかな……かなりの補給物資が在ったから大丈夫だろ?)
『少なくとも、後二日は動けませんからニャー』
幹部達が、混乱する兵士に怒声を上げて調査を命じる傍らで、護衛に守られる男爵は不快感を露にしていた。
――何が起きているのか……男爵には、分からない。だが、逃げ場が無いという現実が目の前に存在しており、調査の結果も芳しく無い。
結果として判明したのは、恐ろしい迄の魔力を用いて作り出された魔法である事。これを打ち破れる魔力を持つ魔法使いが部下には存在しない事。地道に壊すにしても、壁の全容が知れず……何れだけ掛かるか分からない事。
絶望的ですらある。だが、食料はたっぷりと在り、敵となる者の攻撃も無い。目的が足止めである事は想像に難くないのだが、理由が分からなかった。これだけの魔力が有れば、この場で全滅させる事すら容易いだろうに、それをしないのだ。男爵は、これからの数日間を只々苛々しながら過ごす事になる。
(血管ブチ切れそうな顔しちゃって……精々、ストレス溜めなさいな。さて、帰るか)
リュージは、“嶂壁”の上から男爵の顔を浄天眼を通して見ていた。慣れては来たが、かなりの集中力が要るので歩きながらは難しい。その為、安全地帯からじっと見ていたのだが、右往左往する兵士達にも満足したので踵を返して飛び降りる。
『これで、“勇敢な同志”の連中は見付かりそうですかニャ?』
(あぁ、忘れてた……ん? クロードの武器屋に居るみたいだな。寄ってみるか?)
『もう、完全に使い熟してるんですニャー』
(いや、そんなに簡単では無いけど……頭痛は治まったかな)
走り出したリュージは、一路ラストックの在る南へと向かう。何だかんだで時刻は十六時半を回っており、クロードの武器屋に着く頃には十七時になるだろうか。夏も近く日が長いとはいえ、いつまでも店が開いてる訳でも無く、ロベルト達“勇敢な同志”の面々も暇では無いだろう事から、少々急ぐ事にした。
予定を短縮し、何気に自己新記録を打ち立てたリュージは、クロードの武器屋に足を踏み入れると、目当ての連中を探して声を掛けた。
「お疲れさん! 無事で何よりだな、ロベルト」
「おぉ、リュージか! 奇遇だな、って随分と早かったんだな? もう、何日か潜るかと思ったが――」
「リュージじゃないか……いつ、出て来たんだ?」
一番近くに居たので、背後から軽く挨拶すると、ロベルトも直ぐに気が付いた様だ。たった三日、されど三日……気付いて貰えなかったらどうしようなどと考えるのは、リュージが基本的には人見知りだからだろうか? ロベルトが疑問を述べていると、横からやって来たハワードが片手を挙げながら質問を被せて来る。
「おぅ、ハワード! お疲れ~。今日の昼間だよ」
ロベルトの疑問も似たり寄ったりなので、挨拶序でにハワードに答えるリュージ。マックスは、向こうで店主のおやじと会話中である。
「やっぱりあれか? 男爵か?」
「いや? 攻略したから、出てきた!」
「……はぁ? 攻略って……あれから三日しか経ってないぞ!」
リュージが、何処まで進んだのか知らないロベルトは、自分達がダンジョンの外に出た時には既に物資の搬入等が始まっており、ギルド内の噂でも男爵の私兵に追い出された者が居るという話を聞いていたので、てっきりそうなんだろうと考えていたのだが、攻略と聞いて素っ頓狂な声を出して驚いた。
「おう! まぁ、何とかな」
「何とかって……十分過ぎるだろ……」
「最後は、どんな奴だったんだ?」
「魔法使いの亡霊? みたいな奴だったよ。滅亡したベルゼビュート王国の宮廷魔術師とか何とか」
ダンジョン攻略という偉業――それも、三日という前人未到の大記録を、言うに事を欠いて「何とか」で済ませるリュージに、何を思ったのかウンウンと唸り出したロベルトは置いておいて、ラスボスに興味を示すハワード。別に相手が名乗った訳でも無いので、しらを切っても良かったのだが、リュージは鑑定で見た事実をまるで聞いたかの様に明かすのだった。
「そいつはまた、や――」
「――それよりも、これからどうするかだろ!」
ハワードが、どんな感想を抱いたのか……先程まで店主と話していた筈のマックスが、言葉を遮る様に割り込んで来たので分からない。だが、珍しく真面目な顔をしているので、文句を言えない雰囲気になってしまう。そこに――
「まぁ、待て。久し振りだな……また、来てくれて嬉しいぜ! 途中から話は聞かせて貰ったが、にーちゃんがダンジョンを解放してくれたんだって? ……ありがとうよ」
「ん? あぁ……ここで買った剣のお陰で助かったし、ダンジョンも攻略出来ましたよ! だけど、解放って言っても魔物はまだ残ってるし、完全って訳じゃ無いですよ?」
「……そうか。だが、核を壊したのなら時間の問題じゃねーか。今まで、誰も出来なかった事だ! ダンジョン……いや、地下墓所の解放は、この街の存在意義であり悲願だったんだしよ。せめて、礼くらいは言わせてくれや!」
店主であるクロードが、話を引き継ぐ様に間に入る。どうやら、マックスが落ち着く為の時間を作ろうとしているのだろうが、ラストックで生まれ育った者として、本当に嬉しいらしい。眩しいくらいの満面の笑みと、感謝の言葉が照れ臭かった。
「いえいえ、好きでやった事に礼なんて要らないですよ。それより、明明後日にギルドマスターと王都に行く事になっているんですが、不当な税金の件で男爵の事を告発しようかと思ってます」
「本当か! それは、是非とも頼む」
「まぁ、そっちは任せて下さいよ。俺もムカついてますからね! それより……マックスは、どうしちゃったんですか?」
ここでリュージは、王都に行く事と告発を考えている事を明かして、暗に成功を約束する。ラストックの街を代表する様に頭を下げる店主に、自分の事でも有るのだと安心させる様に請け負ったのだが、気になるのはマックスである。悲壮感の漂う顔で割り込んで来たのだが、何かを訴え掛ける様な必死さだった……。
「さっきまで、向こうで武器の手入れについて話してたんだがな……にーちゃんの話が聞こえて来てから様子が変わって……で、あれだ!」
「気に障る事でも言いましたかね?」
「いや? そんな感じでは無かったが……大方、稼ぎが無くなる事に危機感でも覚えたんだろ」
「あぁ~、成る程……それなら、俺が下手な事を言わない方が良いですね」
「そうだな、あいつ等自身の事だからな……相談されれば別だが、任せとけば良いだろ。あいつ等も長い付き合いだからな、上手く収めるだろう」
リュージが、店主であるクロードとそんな遣り取りをしている傍ら――“勇敢な同志”の面々も今後の事を相談していた。
「なぁなぁ、俺達はどうするんだ? この街が良くなるってんなら、感謝もするけどよ……生活は別じゃんか」
「そうさなぁ、探検者として別の街に行くか……引退して別の道を探すか」
「おいおいおい、待ってくれよ! 別の道って何だよ……この街で探検者以外の仕事なんて、生きて行ける自信ねーよ……」
特にマックスの様子は顕著で、ロベルトが引退の二文字を口にすると、将来への不安なのか新たな職業に就く事を心配していた。確かに、ロベルトやハワードなら何とかなりそうだが、苦手意識を持つマックスには難しいかもしれない。馴れ馴れしい程に人見知りも無く、人当たりも良いので最低限の礼儀が身に付けば、接客業に向いていそうではあるのだが……。
「話の途中で悪いんだが……取り敢えず、難しい話は後にしてこいつを受け取ってくれないか?」
相談が終わるのをいつまでも待っていられないリュージは、会話が一段落して途切れた拍子に報酬の件を持ち出す事にした。
「あぁっ! そうか、それが有った!」
「あぁ、助かるよ……本当に良いのか?」
「約束した正当な報酬だからな。言い出した手前、受け取って貰わないと困るよ」
「……じゃあ、遠慮無く」
深刻な雰囲気で話していた三人に、約束した報酬を取り出して渡そうとするリュージ。それを見たマックスが飛び付く中、ロベルトは遠慮がちに確認して来るのだが、約束は守らせて欲しいとまで言われては、断る理由は無いのだろう。聞いていたハワードも、納得して受け取っていた。
「なぁ! 早速、売りに行こうぜ!」
「お前、防具を作るって言ってなかったか?」
「この先、稼げる保証なんてねーから金が要るし……大体がなぁ、立派な防具を作っても使い途が無くなるかもしれねーんだろ?」
「まぁ、落ち着け。判断するのは、査定してからでも遅くは無いさ! ――って訳で、俺達はギルドに向かう事にするよ」
受け取った巨大千足の素材を、早速ギルドへ売りに行く事を提案するマックスに、突っ込みを入れるロベルト。どうやら、防具を新調する予定だった様だが、今後を考えて現金化する事にしたらしい。そんな二人の様子を見て、ハワードは査定後に決めれば良いと諭すと、リュージに断りを入れて来る。リーダーはロベルトだが、ハワードの方がそれらしいのではないだろうか。
「そっか……また、落ち着いた頃に声でも掛けるよ。報酬の受け渡しは終わったから、ギルドの伝言は気にするな」
「あぁ、わざわざ済まないな」
「話に割り込んで悪かったな……ちょっと頭に血が昇っちまってよぉ。それじゃあ、またな!」
「落ち着いたら飯でも食おう」
「あぁ、楽しみにしておくよ」
ギルドに伝言を残してある事を伝えて、気にするなと言うリュージに、気を遣わせた事を謝罪するロベルト。その後、マックスも謝罪しつつ挨拶を交わすと、ハワードとも食事に行く約束を交わしたのだった。
三人がギルドに向かった後、何も買わずに出るのは気が引けるので、剣の手入れを頼んだのだが――
「にーちゃんよぉ……何したら、こんなんになるんだ? うちで買った剣だよな? つまり、俺が打った剣って事だろ?」
「まぁ、何というか……魔力を通したら、そうなった……としか、ねぇ?」
「ねぇ、じゃねーよ! ……まぁ、良いや。けど、そのうち教えて貰うからな!」
「はは……で、いくら?」
「うちの剣でダンジョンを攻略したってんなら、サービスしねー訳に行くかよ! タダだ、タダ!」
「おー! ありがとう」
見映えの変わった剣を前にした途端、固まる店主に苦笑するしか無いリュージ。代金にしても、却って気を遣わせてしまったらしい事に気付くが、素直に厚意を受ける事にした。
そんなこんなで、それなりの時間をクロードの武器屋で過ごしたリュージは、宿までの帰路を急ぐ。
――時刻は、十八時三分前……図らずも夕食の為に、全員が集まっているだろうか。リュージは、久し振りに会う皆の顔を思い浮かべながら、渡り鳥の棲み処亭の扉を潜るのだった。
現在のステータスです。
《ステータス》
名前 鈴木立志
性別 男
年齢 42
職業 放浪者
所属 隠れ里
種族 異世界人
レベル 23
生命力 3100/3100
魔力 ∞
力 2457
体力 2279
知力 6714 20↑
素早さ 3568 20↑
器用さ 2056
運 2102 120↑
魔素ポイント 99968288 160↓
所持金 62521マアク25ピニ
《スキル》
[超電脳Lv2] [魔導の心得Lv4]
[心眼LvMAX] [浄天眼Lv3] 2↑
[剣術LvMAX] [斧術Lv1]
[投擲Lv3] [光学迷彩Lv4]
[錬金術Lv1] [槍術Lv1]
[忍歩LvMAX] [遊芸Lv1]
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
木工Lv3 盾Lv1 登山Lv1 伐採Lv4 音波感知Lv3
石工Lv1 海中遊泳Lv3 交渉術Lv3 調理Lv1 蹴撃LvMAX
《称号》
スキルマニア 殺戮者 無慈悲なる者 テクニシャン
イジメっ子 笑う切り裂き魔 三助 温泉伝道師
大蛇殺し 海洋生物 盗賊殺し トレジャーハンター
子供の味方 賞金稼ぎ 巨蟲殺し 開発者
史上初の快挙を成した者(変化) 勇者 new
ダンジョン攻略者 から、 史上初の快挙を成した者へと変化したのは、ギルドマスターのせいですね! 勇者なんて称号も……。




