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異世界ゆったり立志物語  作者: sawa
第三章 旅立ち篇 ~ラストック~
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第三十八話 探険者ギルドに行こう!

 眠ってしまっている女の子が、間違い無く自分の娘のリアである事を確認したヴァルターは、幾分かは安堵した様だ。不意に頭を叩かれはしたが、スナップが効いていたとしても大して力の入っていない平手では、過度なダメージは無い。


 また、例え殴られたとしても文句を付ける筋合いが無いのも理解している……全ては自分が悪いのだ。感謝こそすれど不満など有る筈も無かった。


「軍曹殿……ありがとうございます」


「……叩かれて礼を言うな、気持ち悪い。見てみろこんなに泣き腫らして……この子にはお前以外に頼る者が居ないのだろう? しっかりしろよ! 父親だろう?」


「はっ、……はいっ!」


 ヴァルターに関してはこれで良いだろう。今は、これで良い……。まずは、精算を済ませなければ始まらないのだから――。


「宜しいでしょうか? この子の代金ですが五マアクとなります。これは、オークションの開始価格となっておりまして、手数料も含まれております。これ以下ですと徴税官様のご納得が得られないかと」


「分かりました。……これで良いですか?」


 静かに待っていた奴隷商人は話が終わったと見ると、透かさず代金の話を持ち掛ける。リュージ自身もあまり長引かせたい事では無いので、さっさと代金を支払うのだが、引き渡しに際して契約書が有る様だった。


「……はい、確かに。こちらが奴隷契約書となりまして、契約者様と奴隷の血を一滴垂らして頂きます。この契約書を破棄出来るのは契約者様のみとなりますので、仮に盗まれても奴隷契約が失効する事は有りませんのでご安心下さいませ」


「その契約は結ばないと不味いのかな?」


「奴隷には幾つかの種類が御座いますが、大別すると一般奴隷と犯罪奴隷に分かれます。一般奴隷であれば、即座に解放しても問題無いでしょうが……犯罪奴隷は罪を償わせる義務が生じますので」


「罪? この子に何を償えと……?」


「仰る事は分かります……ですが、そういう手続きが済んでしまった以上は覆す事は出来ません。私からは、犯罪奴隷のランクが低いのが救いだとしか申し上げられません」


 あまりにも理不尽過ぎる話である。責任能力の無い未成年者にこの仕打ち……腐っているとしか言い様の無い制度に吐き気がする。


 ランクは1から3までの三段階が有るらしいが、何が違うのかといえば解放する為の条件だろうか? ランク1の場合は解放されるかは別として、二年間で犯罪奴隷の立場から無条件で一般奴隷になれる。ランク2は十年、ランク3に至っては解放不可となる。


 しかし、ランクが低かろうと解放される訳では無いのだから、意味が有るのだろうか? いや、奴隷からすれば希望が有るだけ増しなのかもしれないが、断じて納得出来る物では無い。


「この子が起きない様に、お願いします」


「畏まりました。細い針でほんの少し傷付けるだけで大丈夫ですから、目覚める程の痛みは無いでしょう……はい、これで結構です」

 

 浮き出して来た血を契約書に押し付けると、一瞬だけ光りを放ち契約が完了した。予想はしていたが、魔法の掛かった紙の様で制約に対する強制力が働くらしい。


 その強制力により、奴隷は契約者に危害を加える事を封じられる代わりに、過度な虐待から守られる事になる。だが、抜け穴を見付けて悪用する者など何処にでも居るのだ! 自らを守る術を持たない子供が奴隷にされた時、こんな物が何の役に立つというのか。


 一見して冷静な様だが、リュージのはらわたは煮えくり返っていた。魔力を感知出来る者が見たら、腰を抜かす程に高まった魔力は無意識なのだろうか……。後ろで大人しくしているイヴァンジェリンとコリーンの二人は、仲間であるにも拘わらず呼吸も忘れる程に緊張を強いられていた。


「それでは、これで失礼します」


「お買い上げありがとうございました。本日は特別に対応致しましたが、本来は水と土の日が一般営業日で、オークションは闇の日のみとなりますのでご注意下さいませ。またのご来店をお待ち申し上げております」


 奴隷商会を出た所で気が抜けたのか、魔力を感じ取れる二人がへたり込んだ。


「どうしたんです? 二人共……」


「どうしたじゃ無いでしょう? あんな魔力を垂れ流しておいて!」


「……酷い重圧、緊張した……」


「えっ? あれっ? ……俺がですか? あぁ……すみません、大丈夫ですか?」


 リュージが謝罪している間に落ち着いた二人は、何とか立ち上がる事が出来たので一行は宿に向かって歩き出すのだった。






 宿に着いたリュージは、ヴァルターの部屋を二人部屋に変更したいと申し出て、十泊分の追加料金として五マアク支払おうとしたが、子供料金で二マアクで良いと固辞されてしまった。多目のチップが効いてるのだろうか? 宿としてはそれでも儲けているのだろうが、気持ちとしては悪く無いのも確かである。


「ヴァルター、これからの事だが……リアは最低でも二年は解放出来ないのは聞いたな?」


「はい……」


 宿に戻って寝ているリアをベッドに横たえると、今後の事を話し合う事にした。有耶無耶にしてはいけない大事な事である。


「俺は成り行きで契約者となったが、子供を奴隷として働かせるつもりは無い。そこでだ……代わりにお前が俺に仕えろ。二年だ……二年間で解放してやるから、その間に娘を守れる力をつけるんだな!」


「……役人は良いんですか?」


「……はぁ~、役人に突き出せば死罪だろ? 良くてランク3の犯罪奴隷らしいじゃないか……二度と娘に会えなくなっても良いのか? 安心しろ扱き使ってやるから恩義を感じる必要も無いさ」


「はいっ、軍曹殿! 誠心誠意仕えさせて頂きます!」


 対応としては甘いだろう。甘過ぎるかもしれない事は分かっている……だが、父親を早くに亡くしたリュージには父親が居ない辛さが分かってしまう。全ての子供が親を尊敬する訳では無いだろうが、理由も無い寂しさは亡くした子供にしか分からないだろう……。


「よし! この話はここまでだな……お前は娘に付いていて、目が覚めたら安心させてやれ」


「はっ、お出掛けですか?」


「あぁ、盗賊の首をな――」


「でしたら、探検者ギルドに登録してからギルドに任せるのが良いでしょう……ギルドは国からの支援は受けていますが、独立した組織ですから」


 確かに、この街の役人は信用出来ない。個人よりは組織の力を使った方が利口だろう。リュージならば個人でも負けないだろうが、自重しなければの話であり、万が一にも追っ手が掛かれば隠れ里が発見されてしまう。喧嘩をしないで済ませる自信が無いリュージは、素直にアドバイスに従っておこうと思うのだった。


「そうか……ギルドの場所って分かるか?」


「中央広場の西側の大きな建物です。洞窟に剣を突き立てた紋章が目印です」


「おぉ~、了解。んじゃあな」


 こうして宿を出たリュージは探険者ギルドを目指すのだが……当然の様に付いて来る者達が居るのは言うまでも無いのだろうか?


「何でわざわざ付いて来るんです?」


「リュージだけだと問題を起こしそうだから?」


「……暇潰し? ……」


「そうですか……信用無いんですね。師匠、ギルドまでデートしましょうか! 師匠が居るので大丈夫ですから、イヴ先生は宿でゆっくりしてても良いですよ?」


 不本意な理由を上げられたリュージは、素直に暇を持て余している事を打ち明けたコリーンを誘って出掛ける事を申し出るのだが、イヴァンジェリンも正直な意見を述べただけなのだろう。半分は建て前だったが、素直になれないとこういう時に損をするのだろうか。


「駄目! 絶対に駄目なんだから、私も付いて行きますからね!」


「……はい」


 あまりにも迫力が有るので、断れない事を悟ったリュージは素直に返事をするしか無かった。素直になれなくても意外と力業は有効らしい。


 そんな三人は、特にトラブルに見舞われる事も無く無事に探検者ギルド前に到着する。ウルバインはヴァルター達の護衛兼見張りとして残っていたりするのだが、念の為である。


 探検者ギルドの外観は石造りであった。小型の砦を思わせるその佇まいは一言で言って威風堂々、かなりの規模だが中には何が有るのだろうか。


 両開きの扉を開けて中に入ると、そのイメージは銀行と職業安定所ハローワークを足して二で割った感じが近いだろうか? カウンターの受付には女性だけでは無く男性職員の姿も有り、掲示板には何やら情報が書かれた物が貼ってある。静かにするのが当たり前なのか、騒ぐ者は見当たらない……意外である。


「すみません、初めてなんですが……登録にはどうすれば良いですか?」


「はい、新規のご登録ですね。三名様で宜しいですか?」


「えっ?」


 リュージはちょうど手の空いた男性職員に声を掛けたのだが、予想外の質問に面食らってしまう。振り向くとピッタリと付いて来た二人が居り頷いていた。


「あ~、そうらしいです」


「分かりました。あちらに記載台が有りますので、こちらの書類に必要事項を書いてお持ち下さい。その後、審査をして問題が無ければ登録完了ですが、登録料として一人につき一マアクとなります」


「分かりました」


 記載台の前に来たものの、書き方の見本の様な物は影も形も無かった。日本であれば普通の事だが、そんな常識はこちらでは通用しないらしい。自力で書くにも読むのと書くのでは訳が違う……魔道具でも書いた文字までは変換出来ないのだ。


「え~と、手が空いたら代筆をお願い出来ますか?」


「あっ、私が書いてあげるわよ! え~と、名前と年齢、性別は良いけど……職業と武器はどうするの?」


「武器は槍と剣……斧も使えますけど……いや、槍と剣にしておいて下さい。職業は、書かなきゃ駄目なんですかね?」


「さぁ~、無記入にしておく? 魔法使いで良いんじゃないかしら」


 確かに間違いでは無いのだが、魔法名を決めるのにも四苦八苦しているのに魔法使いを名乗るのは如何な物かと考えるリュージ……そこに声を掛けるのは、やはり――


『御主人、何を迷っているのですニャ? 魔法使いや戦士に抵抗が有るなら、さむらいでも武士『もののふ)でも傾奇者かぶきものでも忍者にんじゃでも好きにすれば良いですニャン! どうせ分からないニャ。それとも温泉伝道師とか三助にしますかニャン?』


「(うん、無理!)……無記入で!」


 クゥーの前半の提案は非常に魅力的ではあるが、刀が無いので抵抗が有る……槍と忍歩は有るが中途半端でしか無いのだ、後半は絶対に勘弁して欲しかったので駄目元で無記入にしてもらうリュージであった。


 書き終わった書類を持って、先程の男性職員の所に行こうとしたのだが接客対応中なので、空いてる場所に向かうリュージ達。受付の女性は十分に綺麗な部類に入る筈なのに物足りなさを感じてしまうのは、隠れ里の女性達を見慣れてしまった為だろうか。大都会の街中で擦れ違う女性を見た後で地元の女性を見た様な……例えは悪いが、残念な気分になるのは否めない事実であった。


「これ、お願いします」


「はい、三名様ですね。それでは、こちらに手を置いて下さい。順番はリュージさん、イヴァンジェリンさん、コリーンさんの順ですね。血を採取するので少しだけチクッとしますからね? ……はい、ありがとうございます。それでは審査に入りますので、名前をお呼びするまで椅子に掛けてお待ち下さい」


 奴隷商会で似た様な道具を使ったが、ポピュラーな物なのだろうか。審査に何れくらい時間が掛かるか分からないが、何を審査するのだろうか? 血は魔法関連なのが予想される。また、契約書かもしれない。そんな事を考えながら大人しく待つリュージ達であった。

 現在のステータスです。


 《ステータス》

 名前   鈴木立志すずきりゅうじ

 性別   男

 年齢   42

 職業   放浪者

 所属   隠れ里

 種族   異世界人


 レベル      8

 生命力   1303/1303

 魔力       ∞

 力       915

 体力      932

 知力      4305  (5upニャン↑)

 素早さ     1985

 器用さ     613

 運       387  (5upニャン↑)

 魔素ポイント 99968458

 所持金    63354マアク25ピニ


 《スキル》

[電脳Lv4]      [電化Lv3]

[心眼Lv4]      [鷹の目LvMAX]

[魔術の心得Lv3]   [剣Lv4]

[錬金Lv4]      [槍術Lv1]

[夜目LvMAX]     [調理Lv1]

[忍歩Lv2]      [交渉術Lv2]  1↑

 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄

木工Lv3 盾Lv1 登山Lv1 投擲Lv1 伐採Lv4 斧Lv1

蹴撃Lv3 石工Lv1 音波感知Lv1 海中遊泳Lv3

発見Lv1


 《称号》

スキルコレクター 殺戮者 無慈悲なる者 テクニシャン

イジメっ子 笑う切り裂き魔 三助 温泉伝道師

大蛇殺し 海洋生物 盗賊殺し トレジャーハンター

子供の味方 new

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