番外編 盗賊の末路!
リュージの裏で行われたイヴァンジェリン、コリーン、ウルバインのお話です。
視点変更ってどんなかな?っていう程度の練習で書いた物であり、稚拙な部分が見受けられると思います。読み飛ばして頂いてもストーリーには一切影響致しません。
―イヴァンジェリン視点―
私も魔力量には自信が有ったんだけど……流石に無限には勝てないわね……。リュージは、この範囲に魔法の効果を及ぼす事の意味を分かっているのかしら? ううん、分かって無いわよね……。
「イヴ先生と師匠はエアステとドリッテを守って、必要ならウルバインのフォローでもしてて下さい」
えっ! 確かにリュージなら一人でも大丈夫でしょうけど、あっちには女性も居るのよね……。
「大丈夫?」
「それを俺に言いますか? 前も見てたじゃないですか……大丈夫ですよ」
そうなんだけど……そうなのかしら? 駄目ね、分からなくなって来た……今に始まった事じゃ無いけど、無限の魔力を持つ魔法使いに常識を求めるのが間違いかしら?
「……殲滅……」
コリーンは、どう思ってるのかしら? 物騒な事を言ってるけど、もう慣れたの? 兎に角、今は向こうのフォローよね! 数は二十人って所かしらね。
―コリーン視点―
むぅ、相変わらず凄い! 何であんな所に壁を造れるのかな? ここから五十メートルくらいかな……リュージを中心に半径五十メートルが効果範囲? 火球や水球を飛ばすのなら分かる……私の岩弾だって飛ばせば百メートルくらい飛ばせる筈だ! でも、精々十メートル以内で作って飛ばすだけだ。リュージならあの位置から撃ち出せる――弟子のくせに……弟子なのに、凄い!
「イヴ先生と師匠はエアステとドリッテを守って、必要ならウルバインのフォローでもしてて下さい」
「大丈夫?」
イヴは心配し過ぎだ……何処に心配する要素が有るのかな? 私の弟子は最強なのだから! でも、イヴの生徒でも有る……いいえ、師弟の絆は私の方が強い筈! 先生より師匠の方が上……の筈だよ!
「それを俺に言いますか? 前も見てたじゃないですか……大丈夫ですよ」
「……殲滅……」
そう、さっさと殲滅して二人で語学の特訓をするんだ! イヴが入って来れない錬金術に次いで、頼って貰える少ない機会なんだから! 邪魔者は排除しなければ!
―ウルバイン視点―
多勢に無勢とはこの事か……盗賊の頭目を含めて二十一人か? さっきより増えたのは、遠巻きに囲んでいた連中がこっちに来たからか……リュージの方に行くのが怖かったのか? いいや、見た目だけなら脅威なのは俺だからだな。この美しい筋肉を怖れたのだろう? だが、貴様等の貧弱な筋肉では俺の鍛え上げられた筋肉に傷ひとつ付けられまい!
「おいおい、随分と余裕が有るじゃね~か! そんなにその筋肉が自慢か? だが、筋肉自慢はおめぇの専売特許じゃね~んだよっ!」
「……」
ほぅ、この私に筋肉勝負を挑むと言うのか? なかなか……敵ながら天晴れな心意気ではないか!
「おいっ! 無視すんじゃねぇー! 俺様の力こぶを見やがれっ! ふてぇ~だろ? おめぇみてぇなハゲは目じゃねぇんだよ!」
「そうだそうだ! お頭の筋肉が一番だ!」
「「「「「「「「「お頭キレてる~!」」」」」」」」」
ふむ、盗賊とはいえ侮れない筋肉だな……だがしかし、リュージに教わった美しく魅せるポージングの数々……今こそ披露する時か!
「ふんっ、まずはフロント・ダブル・バイセップス」
君が右腕の上腕二頭筋を見せ付けるのなら、私は両腕で対抗しようか……見ろっ! 私を正面から見るんだ! 肘を曲げる事で盛り上がる逞しい腕を……私のこの上腕二頭筋を!
「くっ、なかなかやるじゃね~か! ならば、これならどうだ!」
「「「「「「「「「お頭イカす~!」」」」」」」」」
うん、サイド・チェストか。……胸の厚みと共に腕の太さ、背、脚、身体の厚み、肩の大きさ……申し分無いな、予想以上の好敵手ではないか!
「はっ、バック・ライト・スプレッド」
「うお~、スゲー背中してやがる!」
「おいっ、あっちを誉めてどうすんだよ!」
「ガタガタうるせーぞ! 見とけ、俺様が負ける訳がねーだろが!」
バック・ダブル・バイセップスで対抗して来たか……広背筋だけでは無く脚も魅せて来たか! ふふふ、これほどに血が滾るのはいつぶりだろうか……。
「アブドミナル・アンド・サイ!」
「なっ、なかなか絞られた良い腹筋の割れ具合じゃね~か……脚も厚みが有りやがるな」
「おっ、お頭の腹筋だって負けてねーぞ!」
「魅せ付けてやって下さいよ、お頭~!」
「……ねぇ、何なのこの状況?」
「……気持ち悪い……」
むぅ、筋肉の祭典に無粋な闖入者が来てしまったか……。気持ち悪いとは失敬な、相変わらず美という物を理解しない妹だな。
―イヴァンジェリン視点―
あれは何をしてるのかしら? ……ウルバインと盗賊の親玉が変なポーズを競い合ってる? 元々、謎な人だと思っていたけど、ますます分からないわね……これがコリーンの実の兄なのよね。
「……ねぇ、何なのこの状況?」
「……気持ち悪い……」
そうよね、私でも実の兄があんなだったら嫌だと思うもの。筋肉とかよく分からないし……でも、リュージも何だか教えていたのよね。リュージも、あんな風になるのかしら? 走り方も変だし……。
「おいおい、お嬢ちゃん達よ~! 気持ち悪いとは聞き捨てならね~事言ってくれんじゃね~か!」
「お頭の筋肉の何処に気持ち悪い所が有るってんだ!」
「お頭の筋肉が分からね~お子ちゃまは、あっちにでも行ってやがれってんだ!」
「「「「「「「「そうだ! そうだー!」」」」」」」」
あちゃ~、禁句が出ちゃったわね。閉じ籠る家も無いのに……物騒な事も言ってたし御愁傷様って感じかしら?
「……盗賊風情が失礼だ! ……」
「盗賊風情だと? 何様のつもりだ、おチビちゃん? 隣に居るママのおっぱいでも飲んでおねんねしてましょ~ね~」
「ぎゃははは、おめぇ~なかなかおもしれ~な!」
隣のママ? 私の事かしら……そうなの? 私がそんな年に見えるって言うのかしら。ふふふ、本当に面白い冗談ね……命は要らないのかしら?
「ママって言うのは、私の事を言っているのかしら? そんな年に見えるの?」
「何だお嬢ちゃん、誘ってんのか? 良いぜ、美人のお誘いなら大歓迎だ! もうちょい若い方が好みなんだが誘われちゃ~な!」
「よくゆ~ぜ! ぎゃははっ、ひっ~、くっ、くるし~」
そう、ここまで馬鹿にされたのは初めてかしら……意外と冷静になる物なのね……。死にゆく者に怒っても仕方無いものね!
「幾千万の氷柱よ、天を摩する墓標となりて、彼の者共を安らかなる死へと誘え……アイスベルク!」
逃げるなんて許さないんだから……リュージみたいに周りを囲ってから一気に成長させる。海も無いから数十人規模なら楽な物ね。
―コリーン視点―
馬鹿兄がまた変な事をしてる! あんなだから自警団でも副団長になれないんだ! オリアスなんかよりも全然強いのに。
「……ねぇ、何なのこの状況?」
「……気持ち悪い……」
恥ずかしい! これと兄妹だと知られたのは失敗だったかもしれない。リュージも吃驚してたし……嫌われてはいないよね?
「おいおい、お嬢ちゃん達よ~! 気持ち悪いとは聞き捨てならね~事言ってくれんじゃね~か!」
「お頭の筋肉の何処に気持ち悪い所が有るってんだ!」
「お頭の筋肉が分からね~お子ちゃまは、あっちにでも行ってやがれってんだ!」
「「「「「「「「そうだ! そうだー!」」」」」」」」
聞き捨てならないのはこちらだと思う……私は子供じゃ無いんだ! 凄く失礼な人達だ……私だって怒るんだぞ。
「……盗賊風情が失礼だ! ……」
「盗賊風情だと? 何様のつもりだ、おチビちゃん? 隣に居るママのおっぱいでも飲んでおねんねしてましょ~ね~」
「ぎゃははは、おめぇ~なかなかおもしれ~な!」
あっ! 不味い……イヴの逆鱗に触れるかもしれないな……でも、チビって言ったし知~らない! 失礼な人達には天誅が下るのだ。殺っておしまいなさい?
「ママって言うのは、私の事を言っているのかしら?そんな年に見えるの?」
「何だお嬢ちゃん、誘ってんのか? 良いぜ、美人のお誘いなら大歓迎だ! もうちょい若い方が好みなんだが誘われちゃ~な!」
「よくゆ~ぜ! ぎゃははっ、ひっ~、くっ、くるし~」
「幾千万の氷柱よ、天を摩する墓標となりて、彼の者共を安らかなる死へと誘え……アイスベルク!」
あぁ、やっぱり! イヴを怒らせちゃ駄目なのに……空気の読めない人は駄目だね。リュージだって本当に不味い所までは踏み込まないんだよ? そう考えると優秀な弟子は空気も読めるのか……。師匠が良いからだね!
―ウルバイン視点―
リュージは来てないみたいだな……まぁ、人数も少ないしな。馬を狙われたら庇い切れないから判断としては間違い無いのだが、タイミングという物を考えるべきだ。いいや、これはリュージでは無く出来の悪い妹が悪いのだな! まったく、これだから空気の読めない人種は困る……。
「おいおい、お嬢ちゃん達よ~! 気持ち悪いとは聞き捨てならね~事言ってくれんじゃね~か!」
「お頭の筋肉の何処に気持ち悪い所が有るってんだ!」
「お頭の筋肉が分からね~お子ちゃまは、あっちにでも行ってやがれってんだ!」
「「「「「「「「そうだ!そうだー!」」」」」」」」
そうだな……その点は私も同意見だが、少々下品過ぎやしないかね? 美という物は筋肉は勿論だが、それだけでは無いのだよ? どうやら、君達は心構えがなって無い様だね。
「……盗賊風情が失礼だ! ……」
「盗賊風情だと? 何様のつもりだ、おチビちゃん? 隣に居るママのおっぱいでも飲んでおねんねしてましょ~ね~」
「ぎゃははは、おめぇ~なかなかおもしれ~な!」
やはり、下品過ぎるな……筋肉美を通じて改心してくれるかと思ったのだが、盗賊は盗賊という事か……良い所までは行っていたかと思ったが残念だ。
「ママって言うのは、私の事を言っているのかしら?そんな年に見えるの?」
「何だお嬢ちゃん、誘ってんのか? 良いぜ、美人のお誘いなら大歓迎だ! もうちょい若い方が好みなんだが誘われちゃ~な!」
「よくゆ~ぜ! ぎゃははっ、ひっ~、くっ、くるし~」
「幾千万の氷柱よ、天を摩する墓標となりて、彼の者共を安らかなる死へと誘え……アイスベルク!」
あぁ、哀れな事だ。素晴らしい筋肉だったのに、今では見る影も無いではないか! 恐ろしい魔法だ、あんな姿を晒す事になるなど、とても堪えられないな――有る意味死より辛い末路ではなかろうか……。
やれやれ、馬達も怯えてしまっているな……見よ! もう、大丈夫だぞ。私の筋肉美を見て落ち着くが良い!
同じ描写の繰り返しで、くどかったかとは思いますが、好きなネタなのでこのまま置かせて下さい。m(__)m




