田舎のギルド
駆け出しで金欠だった僕達は馬車など使う余裕もなく、歩いてギルドを目指した。
数日かけて、逃げるようにしてそのギルドに辿り着くと何もかもが違った。
負傷した冒険者、あくせくと働く職員、助けを求める住民。
あちこちにバリケードが張り巡らされ、ゴーストタウンのようなものもいくつか見受けられた。
「冒険者登録をしたいのですが、何かあったのですか?」と聞くと、「スライムの大群です。」と返された。「別にスライムくらい…」と言った瞬間にものすごい剣幕で「人喰いスライムですよ?物理攻撃が効かないんですよ?とても手に負えませんよ!」と言われてしまった。(もちろん冒険者登録はしてくれたが)
職員の人は鬱なのではないかと思うくらい情緒が不安定だったが、僕はそこまで心配していなかった。
確かにこんな辺鄙…と言っては失礼だが、田舎でスライムに見舞われたら、ろくに魔法使いもおらず甚大な被害を被るだろう。だが、パーティーにはゼイレンがいる。おそらく大丈夫なはずだ。
ロイド「いけそうかな、ゼイレン?」
ゼイレン「スライムくらいなら多分。」
ロイド「あの、僕達を討伐に行かせてください。」
ギルドが静まり返った。
受付嬢「ごめんね、スライムは基本的にBランク。
登録直後はCランクなので討伐許可は…え?Bランク?」
受付嬢「問題ありません。くれぐれもお気をつけて。」
指定された場所に向かって進んでいく。
ロイド「なんでBランクなんだろう?」
ソニア「細かいことは気にすんな、さっさと行こうぜ。」
ゼイレン「その前にひとつ教えておきたいことがある。
魔法は誰でも使える。」
ケレミー「でも、魔法は…」
ゼイレン「わかってる。才能で決まると言うのも事実だ。でも、それが全てじゃない。僕みたいに、魔力に当てられて使えるようになった者もいる。」
そう言うと、彼は魔力を僕達に浴びせた。
自分が自分じゃないような、そんな感じがした。