第2話 その頃、裏庭では
「ふぅ……。何とか来れたわね。」
覇月家の敷地内裏手にある小さな庭園に光る球が喋っている。どうやら妖精の様だ。
「本当にこんなでけぇ家に勇者がいんのかよ。俺は信じられねぇな。」
黒服黒ズボンの黒いシルクハットを被った怪しい人物が覇月家の屋敷をキョロキョロと見渡している。
そこに先程の小さな妖精が黒服男の周りを飛び回っている。
「あんたが信じなくても本当なの!覇月 勇って人が私達が住むディエンドティライクに召喚されれば人間に狙われなくて済むのよ!」と黒服男に怒鳴る。
黒服男は、
「まあ、依頼としてはそうだったよな……。セイトンド教会のやる事はよく解らんが報酬は貰うか。」と答える。
「さあ、異世界召喚用パウダーをこの敷地の周りに振りかけていくわよ。サーモルンも手伝いなさいよ。」と妖精は黒服男のサーモルンに言う。
「この屋敷の敷地の周りかよ!?だりぃなぁ……。こんな粉使わずとも喚べるんじゃねえのかよ。」とサーモルンは愚痴を零した。
妖精は、
「そんな事出来るなら私だってやってるわよっ!出来ないから仕方ないじゃない!」と怒る。
サーモルンは、
「わぁーった、わぁーった!そう怒んなよミィディアル。周りに振り撒いときゃ良いんだろ?ほら、少し寄越せ。」と言い、妖精ミィディアルから異世界召喚パウダーを手に持ち敷地の周りに振り撒き始めた。
「ふぅっ……こんなもんでしょ!サーモルンの進捗はどうかなっ……って、はやっ!?
もう1周して来ちゃったの?」と驚く妖精ミィディアルの反応に黒服男のサーモルンは、
「あぁ、早い方が召喚しやすいんだろ?(早く帰って寝てぇんだよ。)」と答える。
妖精ミィディアルは、「そ、そうね。よし!召喚呪文を唱えるわよぉ!」と張り切る。
『万物の生命よ、人成らざる生けとし生命よ、我の願いを聞け。そして叶えよ。我が望むは勇者の召喚。名を覇月……』と詠唱を唱えている最中に誰かが割り込んできてしまう。
「庭から行けばショートカットになるのよねぇ~うふふ♪イサミちゅわぁ〜ん!愛しのまもりんがアナタに逢いに来たわよぉぉ!」と
「まーちゃんあったまいぃ!プリンたべにきたよーしおりねぇねー!」と。
その声が詠唱中に重なった結果、願いは
とんでもない願いを叶える事となる。
「……勇をディエンドティライクへ誘いたまえ!!はぁぁあ!!」
すると、どこからか声が聞こえてきた。
”かの願い聞き届けた。覇月と名の付いたものを全て異なる世界、ディエンドティライクへ誘おう。では、さらばだ。”
大きな魔法陣が現れ、その瞬間に覇月家の屋敷と敷地丸ごとその場から消え去ってしまった。
勿論、妖精ミィディアルと黒服男の
サーモルンと共に……。




