詩
海から吹く風は冷たく湿っている
月がその姿を海へと落とす
海に写るは銀の道
銀の道を行くは一陣の風
風よ
風よ
伝えておくれ
私の腐った身体の代わりに伝えておくれ
私の好きな人たちに
私の身体が崩れたと
銀の道を走る風
海は高らかに歌を歌う
力強く
高らかに
風の旅路の無事を
祈るように高らかに
私の心は折れて朽ちた
波よ
海よ
唄っておくれ
心へ響くその唄を
母よ
兄よ
我が友よ
風の便りは届いたか?
朽ちた心と腐ったからだ
それが今の私のすべて
悲しいけれどもこれが全て
かつて私が見た風景は
今も昔のままですか?
貴方が見た風景は
今も昔のままですか?
風よ
海よ
答えておくれ
今私が見ている風景は
かつて私が見た風景と同じなのか