表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

現実世界恋愛系

雪空の下、先輩を待つ私 〜イルミネーションに照らされて〜

 夜空の下、イルミネーションで彩られた街が輝いている。

 白や青の光がまるで雪のようだ。幻想的な風景の中を私は一人で立ち尽くしていた。


 雪がちらちらと降り出した。気温はおそらく氷点下なのではないだろうかというほどに寒く、全身がガタガタと震える。

 何時間こうして待っているのだろう。もう凍えてしまいそうだった。


「……はぁ」


 街を歩く恋人たちを恨めしい思いで睨みつけながら、私は呟いた。

 せっかくの美しいイルミネーションも、私の心を照らすことはできない。


 私はここで待ち合わせをしていた。

 彼は私の高校の先輩で、ずっとずっと私に優しくしてくれた人。

 今日ここに来てくれたら告白するって決めていた。イルミネーションの前で、写真を撮って一生の思い出にしようって思っていた。

 でも全然彼は来なくて、それでも私は待っていた。

 ……だけど。


『ごめん』


 今更になって、遅過ぎるメールが一通、私のスマートフォンを鳴らして、私の夢は砕かれた。



※※※



「やっぱりダメだったみたい」


 散々恋して期待して、結果はこのザマだなんて……。

 私にとって彼は特別だったけど、彼にとっての私は何でもなかった。それがわかってしまって目から涙がこぼれ落ちる。

 輝かしいイルミネーションに涙を見せたくなくて顔を背ける。そのままポロポロと泣いた。


 ああ、みっともないな。

 せっかくここまで来たのに。ただ待ちぼうけしただけだった。


 失恋したと認めたくなくてしばらく立ち尽くしていたが、それで何が変わるものでもない。

 どうせならこのまま雪に埋もれてしまいたい。そんな風に思って、座り込む。


 今日はクリスマスイブだ。

 こんなところに来るんじゃなくて、友達とのクリスマスパーティーにでも出た方が何倍もマシだった。告白するからと決めて、わざわざ友達に頭を下げてまで断ったのに。


 虚しさが胸に込み上げ、悲しさと苦しさに嗚咽を漏らしてしまう。

 背後の道を歩くカップルたちがこちらを変な目で見ているのがわかった。


「見るなら見ればいい。いつかあなたたちだってどうせ裏切られるんだわ」


 呪いのような言葉をぶつけて、また泣く。

 その時、パシャッと写真を撮るような音がした。


 見てくるだけじゃなくて写真まで撮り始めたらしい。

 惨め。惨めだ。イルミネーションの灯りのせいで私の姿は誰からも丸見え。モミの木の下でうずくまっている赤いコートの哀れな女が。


「なんだ、つまんないな。もっと驚くと思ったのに」


「それくらいで驚かないわよ。……!?」


 シャッター音には驚かなかったが、振り返った先に立っていた男を見て私は驚きに目を見開いた。

 ニヤニヤと笑って立っている少年。それはここにいないはずの人だったから。



※※※



「おっちょこちょいだなぁ、お前は。『ごめん』だけでフラれたって決めつけるってどれだけドジなんだよ」


「勘違いするでしょう、普通! 先輩は意地悪なんです!」


 電車が混んでいてここに来るのが遅れただけというだけの先輩。

 『ごめん』が『遅れる。ごめん』という意味だったなんて、思いもよらなかった。というかあのタイミングでフラれたと考えない方がおかしいと思う。責任を取ってほしい。


 泣き顔を先輩の胸に押し付けて泣いて、先輩に苦笑されて。

 勘違いして泣きまくった馬鹿な自分が恥ずかしい。恥ずかしいけど、嬉しかった。


「先輩、好きです。ずっと前から……とってもとっても好きでした」


「知ってた」


「お願いします。私と、付き合ってください」


 返事はなかった。

 ただ、その代わりに再びパシャッという撮影の音がし、先輩のスマホの画面に目が真っ赤な私とその横に立つ先輩の自撮り写真が浮かんだ。


 雪がちらちら舞っている。

 私たちを照らすイルミネーションはどこまでも綺麗だった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冬のキラキラ恋彩企画概要 ←クリック♪↓検索 恋彩 冬企画・正月企画概要割烹 ←クリック!↓検索 冬は○○○!! バナー作成/七海糸


雪のアオハル企画概要 ←クリック♪↓検索 雪のアオハル企画
イラスト:アホリアSS様
― 新着の感想 ―
[良い点] とても素敵な作品でした。 ありがとうございました。
[一言] 先輩、言葉足りなさすぎです……! 「好きでした」「知ってた」のやりとりがすごくいいですね。彼女からそれを言わせてしかも大切な日に泣かせてしまった分は、これからたくさんたくさん彼女をしあわせに…
[良い点] >『ごめん』 これは誤解してしまいますよね……! ハッピーエンドで本当に良かったです(*´꒳`*) キラキラ素敵なお話をありがとうございました♪
2023/01/06 17:55 退会済み
管理
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ