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ダンク馬具工房④

短編


馬車作成に取り掛かる。


リゼル様が陛下や閣下に我々が作る馬車を見せると言われた。これは国家事業レベルになる可能性が出てきた。この馬車が完成すれば揺れが抑えられ、車輪が効率良く回り速度も向上する。移動速度の向上は流通に革命が起きる。


まして今回はドワーフの里1番の鍛治職人の協力も得られる。最初の一台目はリゼル様の用途に合う完璧な一台を作らなければならない。

私は何度も設計を考え模型を作り検討を繰り返した末に一台目の試作機を作りあげ、実験を繰り返す。最高品質を求めるために、腕の立つ仲の良い車大工、馬車職人を数名引き抜くことにした。勿論、秘密保持が条件だが、彼らはこの計画を知るや否や勤務先を辞めうちの工房に集まってくれた。


そこから人数の増えたダンク馬具工房は広めの倉庫を借り、そこで馬車の作成を開始した。

オーレ様とグロー様がたびたび手伝いにも来てくれて急ピッチで作業が進む。連日連夜遅い時間まで仕事をするが誰も文句を言わない。これが完成した時の素晴らしさを従業員全員が理解しているからだ。


何日も何日も微調整を繰り返し、遂に最初の馬車の車体が完成した。外注していた内装を受け取りに向かう。リゼル様信者の職人に頼んだ見事な内装だ。彼もいずれ工房に迎え入れたい。


時間のかかる外装の塗装を後回しにし、我々は組み立てを急ぐ。


一刻も早くリゼル様に完成品をお見せしたい!

出来上がりの工程が進むにつれて、この気持ちが大きくなっていく。皆も同じ気持ちだ。


作業を開始して数週間。通常ではあり得ない工期の速度で一号車が完成した。


その日の酒は美味かった。


完成したことを屋敷に伝えにいく。

あいにくリゼル様は外出をして会えなかったが執事長の方より完成した馬車に我らダンク馬具工房の印を入れるよう伝えられた。私たちが作った証明になり宣伝効果が増えると言っていた。さらに納品後にリゼル様の御屋敷で慰労会を開くから普段着で良いから出席するようにと。


リゼル様の優しさに私は涙腺が緩みそうになった。工房に戻った私がそのことを伝えると皆も感動していた。そのあと経費で皆に少し豪華な服を買ったのは言うまでもない。


納車当日。

我々は緊張をしながら到着を待った。

リゼル様御一行が工房に到着。


普段一緒に作業をしているグロー様やオーレ様から進展は聞いているとは思うがやはり緊張は解けない。だがダンク馬具工房、自慢の一品だ、必ずリゼル様を満足させるに違いない。

爺さん、従業員たちも固唾を飲んで私の一言を待っている。



「リゼル様どうぞ。こちらが完成品の馬車にございます」




その日の慰労会で飲んだ酒の味は俺は一生忘れないだろう。

ダンク馬具工房シリーズひと段落。

細かい描写を削りまくりで短めにしました。

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