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07 食事
空腹を我慢しながら、男が起きるのを待つ。
時々テントを覗いてみるが赤子のような寝顔を見せて、熟睡している。
本当、何なんだろうこの人。
女だからと舐めているのか、それとも全く他人に興味が無いのか。
何でこの状況でここまで熟睡できるかな。
空腹が警戒心を食べ尽くそうとするほどに待ち、
夕方、ようやく目を覚ました男を力一杯睨みつけた。
「何でまだいるのさ」
開口一番、これである。
男の超然とした様子に毒気を抜かれた私。
怒りや空腹感を差し置いて、なぜか興味が湧いた。
「本当に助けてはくれないの?」
返事も返さず、男は淡々と食事の準備を始めた。
テントの中から持ってきた食料をふたり分に分けて、
ひとつは座り込んでにらんでいる私の前へ、
自分の分を持ってテントへと向かう男。
あまりにも無関心なその態度に、
今まで押さえつけてきた感情が押し寄せてくるのを感じる。
「話も聞いてくれないのね」
何となく、男の表情が変わった気がした。
「事情、どうぞ」
食べながら、話を聞いてもらった。