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第二十二話 文明開化は〇〇のおかげ?

 放課後、俺と知佳と愛奈萌は、生徒会室で明日の小テストための勉強をしていた。


 もちろん、姉ちゃんに部屋の使用許可は得ている。


「あーもーだめ。全然わかんないー」


 弱音を上げ、気だるそうに机に突っ伏す愛奈萌。


「ほら、頑張って。ここできないと明日の小テスト補習確定だよ」


 知佳が愛奈萌をなんとか励ます。残酷な事実を述べるが、控えめに言って俺も知佳も頭がいい。小テストごときで補習になるわけがないので、実質この勉強会は愛奈萌のために行われている。


 ……まあでも勉強会はとある目的のためのついでのようなもので、真の目的は誰もいない密室に、この三人で集まることにあるのだが。


 男一人と女二人がいて、そこは密室。


 これでエロいことを想像したそこの君、もしかして童貞ですか?


 こんな程度で画面の中でしか見られないあれやこれやを想像するのは、エロ妄想力の化け物である童貞か、俺のエロブラコン姉ちゃんしかいないからね……。


 ちなみに、姉ちゃんに、


《三人で生徒会室を使っていいか?》


 とメールしたときに帰ってきた文章がこれだ。


《オッケー。あ、ちなみになんだけどお~、なにに使うのかな? あ、それはする必要はないか。二人もいるもんね》


 この文章にかんしてはもう触れないことにします。


「くそっ! サインコサインタンジェントなんて大人になったら絶対使わないのに」


 勉強できないやつが開き直るときに使うセリフ第一位を言いながら、机の下にある足をバタバタさせる愛奈萌。


「くそー、なんで数学Bはあるのに、数学Lはないんだよ。歴史みたいにBL塗れだったらちょっとはやる気出るのになぁ」


 ついにそんな変なことまでつぶやき始めた。


「日本を作ってきた偉大な御先祖たちにあらぬ疑いをかけるなよ」

「え? なに言ってんの?」


 愛奈萌はきょとんと首を傾げる。


 おいおい、まるで俺が間違ってるみたいな反応だな!


「あいつらほとんどBLだよ?」

「なわけあるか!」

「じゃあ説明してあげよう」


 人さし指をピンと立てた愛奈萌の目がダイアモンドのように輝き始める。


 あ、やばい。


 生徒会室発、BL惑星行き暴走列車、出発進行! 車掌は渋野愛奈萌!


「えっとねぇ、まずはあの出来事、大化の改新はもうBL界の昼ドラと呼ばれているから、絶対に覚えておくように」

「そんなわけねぇだろ」

「そんなわけあるの。だって蘇我馬子よ! 男なのに! U・MA・KO! これは馬子が受けであることを意味しているの。もうBLでしかないじゃない。中臣鎌足というイケメンを、中大兄皇子と蘇我馬子が争った結果の悲劇が、大化の改新だったのよ!」


 あらやだ奥さん、この子の妄想力ほんとやばいんですけど。


 絶対テストには出ないので覚えないでくださいね。


 私どもは一切責任を負いかねます。


「あと薩長同盟もそうね。西郷隆盛と木戸孝允はあらぬ関係だったと言われているわ。薩摩藩と長州藩。禁断の恋。いつだって会いたい。だから倒幕という名目は彼らにとってベストだった」

「それだと日本の文明開化はBLのおかげだったってことになるぞ!」

「ええそうよ。歴史の教科書の写真を見てごらんなさい。西郷隆盛も木戸孝允も、なんとなくそっち系の雰囲気があるでしょ?」


 確かに……言われてみれば、そんな風に見えなくもない。


「で、ここからが裏話なんだけど、実は西郷隆盛の元カレが大久保利光って言われてるの。そこに坂本龍馬や徳川慶喜も絡んでるっていう噂も」

「もうやめてくれー! 俺の中の偉人像を穢さないでくれー!」


 愛奈萌の話の妙な説得力に、俺は白旗を上げた。この日本はBLによって作られ、BLによって発展を遂げてきた。それでいいじゃないか。


 多様性、大事。


「穢れる? あのね、何度も言ってるけど、BLは神聖なものなのよ」


 ただ、俺の“穢れる”という言葉がまずかったらしく、愛奈萌の眉間にぴくりとしわが寄った。


 それから、愛奈萌の悪意など全くない純然たるBL談義が始まった。

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