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作業療法編

たった今。


野に放たれた。


一人の男が。


Tシャツ短パンのラフな格好で。


野に放たれたというのは、許された空間に身を置いたという事だ。


「作業療法」という、リハビリを行う空間に。


たった今自分は身をおいたのである。


認可がおりるまで、2,3週間かかっただろうか。


入院した内容が内容だけあって、少し時間を要したようだ。


ここはある程度の自由が許される空間であり、やりたい作業を自由にやってよい作業療法室。


野に放たれた俺が何をするのか?


それを俺の中の妄想で予想している人がいる。


それはミスター赤ヘル山本浩二であったり、学生時代の友達であったり、やくみつるであったり、俺の兄貴であったりという面々。


一同が俺の行動予想し、妄想の中で声をあげる。


ミスター山本が、


「まぁ、この子は書道はやるでしょ」


兄貴。


「そうですね。祐樹は書道は絶対やる」


やくみつる。


「書道は避けられないな」


学生時代の男友達。


「書道は間違いない」


学生時代の女子。


「え、書道なんて地味なことやらなくなーい?」


そんな声が聞こえる中。


俺は。


まず最初に。


作業療法士の先生が。


「パズルやんなパズル」


あれ。


俺の任意意思は、まさしく書道だったが、しぶしぶパズルをやることにした。


これがまた難しい。


おそらく俺の苦手な分野の一つであろう。


形あるもの、定められたものを、定めに合わせて、見定め組み合わせていく。


このルールの中での、取り合わせが全くうまくできなかった。


もちろん病気の影響もあるし、性格の問題もある。


なぜかそこで、また妄想で、自分が嵐の大野くんになった感覚になり、メレンゲの気持ちでに出演して、めちゃくちゃ爆笑トークをしまくっている自分を想像して。


妄想の中で、久本マチャミが言う。


「こいつが何で、こんな面白い事ばかり言えるかわかるー?」


そんな事を言い。


「こいつがサルだからよー!」


そんな事を発言する。


マチャミ曰く、自分の本能だけを追い求め、自由気ままに生きてきた人間は、サルのようにオナニーばっかりして生きてきた。


だから基本的にサル顔になり、サルはモノマネがうまく、自分の引き出しの中から、面白いと思えることを瞬時に判断し、それを取り出すことに長けているという事をマチャミ氏は話す。


しかし、残念ながら案の定そう。


多くの著名人、面白い芸人、大御所。


みんなサル顔ではないだろうか。


明石家さんまなんて特に、まんまサルじゃないかと。


そして、妄想の中でその明石家さんまは言う。


「いや、サル顔の男はモテるでぇ!」


そこで、俺は近くにあった鏡で自分の顔を見る。


人類元々サルだったと言われるが。


たった今鏡に映る自分。


どうみたって。


どうみたって。


サル。


まんまサルではないか?


鏡に映るサルの自分を見て。


ちょうど頭が痒くなってくる。


痒くなる箇所を掻いてみる。


そこで、掻き方がまさにモンキーのような頭の掻き方で。


そこで俺はふと思う。


どうして今自分は、まっすぐに素直に痒い箇所を直線的に手を伸ばして掻かないのか?


いや、これは仕方ないことなんだと勝手に解釈する。


今自分は、もうサルなんだ。


だから、筋肉の使い方、収縮の仕方、構造。


それらが本能的に、サルのようなモードで動いているからこそ、手を遠回しするようなモンキーチックな頭の掻き方をするんだ。


そうに違いないという。


そこで、またメレンゲの気持ちに出演している大野くんである自分を妄想し。


マチャミが言う。


「こんな面白いやつが、一つ苦手なことがあってーーーー!」


大野くんである、俺が言う。


「ああ、だめ! 言わないで」


マチャミが。


「こいつは……パズルが出来ないのよ……自分の頭から取り出すことは出来ても、用意された制限されたものを組み合わせることは出来ないの!!」


そう楽しそうに暴露されてしまう。


マチャミはしかしフォローを入れる。


「まぁ、芸能界なんてサルの集まりなんだけどねー!」


と笑いながら言う。


会場内の観客は大爆笑。


でも、嵐である妄想大野ワトソンは、自分の短所を暴露された事で。


放心状態になって、何もかも失ったような、諦めた顔と口調で。


「そうだよ……俺が出来ないのは……パズルだよ……」


そう自暴自棄な脱力した声色で大野ワトソンは言うのであった。


そこでマチャミが。


「じゃ、パズルやろーねっ!」


ここで、我に返る。


自分は、目の前のパズルと相対する。


どんなパズルかはわからない。


とういうか覚えていない。


しかし、相対したパズルが相当難しかったことを俺は覚えている。


難しい。


どうすればいいのか?


向きはこれであっているのか?


このハメ方であっているのか?


目の前のものがなんなのか。


全くわからなくなる。


すると、妄想で頭の中で学生時代の女子たちが。


「ああ、そこ違う!」


「そこ違うって!」


「なんでそうなんの!」


そうツッコミを入れてきて。


苦戦する自分に、俺は思った。


こういう制限のあることから自分は逃げてきた。


自由に自由なことをしてきた身だ。


だからこそ、俺はこの簡単なパズルで苦戦している。


嵐の大野くんも同じであるというのか?


あれだけモテる男が。


そう思った途端。


学生時代ヤリ珍と思わしき、モテる男の一人が、ひょいひょいと俺の目の前のパズルを簡単に組み合わせてくる妄想をする。


なんでこいつこんな簡単に。


そうか。


ヤリチンはパズルがうまいは。


自由な気持ちで、快楽を求め、女子を追っているが、女子との制限のついた関わり方を心得ている。


完全な自由ではない。


男女の制約のついた関わりを心得ているからこそ。


このヤリ珍モテモテ野郎は、パズルを素早く完成させることが出来て。


俺が苦労するのは、童貞だからこれだけパズルに苦労するんだ。


そこでアイスの名前の人妻が。


「ワトソンくんパズルちゃんと出来るようになってね!」


という声を妄想してしまう。


俺は、その声に答えるかのように頑張ってみるが。


でも、出来なかった。


ヤリチンのように、素早く的確に完成させることが。


俺は、パズルのモノが悪いんだと思い。


パズルそのものを変えた。


今度は、都道府県パズルを手にした。


都道府県パズルでは社会の地理の知識を駆使してなんとか完成させることが出来た。


そのあと俺は、なぜか。


ゴミで岡山県を作り。


最終的にその岡山県は球体となっていく妄想をするのであった。

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