冒険者ギルド長室にて!
冒険者ギルドのギルド長室。
コルネリオギルド長と
対面してソファーに座っているのは、ジャンとジャック。
何故か横のソファーには、副ギルド長のネム、ステラ校長、それに商人ギルドのダニエラ、助祭のルイーザがいる。
コルネリオギルド長は、彼女たちに、アリーチェの件に関してジャンから話しを聞けと迫られたのだ。
コルネリオギルド長は、彼女たちの立ち会いの元、ジャンに話しを聞くしかなかった。
彼女たちは、アリーチェをあの様な姿にしたのは、絶対ジャンであると思っていた。
Aランク冒険者だろうと、裁くつもりでいるのだ。
全員にもの凄く睨まれながら座っているジャンとジャック。
「おっお父さん………すごく怖いね、僕たち疑われてるね」
「まあ………状況が状況だからな。だがやましい事はないんだから堂々としてればいいんだぞ」
2人はヒソヒソと小声で話していた。
立ち会いの彼女たちのせいで、ピリピリした雰囲気になっている中、意を決してコルネリオギルド長が話し始めた。
「うおっほんっ、私は冒険者ギルド長のコルネリオだ。え~先ずはAランク冒険者のジャン、ボスコの街へ来てくれた事心より感謝する。我が街は今ワイバーンの群れの脅威に晒されている。東の街道途中に目撃されたワイバーンは7体の群れでより強い個体のリーダーも存在する。この街にはBランク冒険者も少なく、ワイバーンの群れが街を襲ってきたら私やステラ校長先生も戦う事になるが、大惨事になるやもしれん、どうか一緒に戦ってくれ」
ジャンとジャックはお互いに、チラチラと目を合わせながら落ち着きが無かった。
ワイバーンはアリーチェの精霊たちが倒しもう脅威ではない。
ジャンはアリーチェの事をどこまで言っていいのか悩んでいた。
そもそもみんながアリーチェの秘密を知っていれば、Aランク冒険者を呼ぶ必要がない。
つまりここにいるみんなは知らないとジャンは考えた。
(知っていて秘密にしている可能性もあるが、どっちにしろ俺からは言えないな………)
ジャンは秘密を守る為、アリーチェに確認するまでは誤魔化す事に決めた。
勿論、ワイバーンが討伐されている事も言わない。
「え~っと、ワイバーンが飛来した時には、最前線で戦わせてもらいます………以上」
「「「「…………」」」」
「あっありがとう、その言葉を聞けて良かったよ……やっぱり頼もしいな」
そんな話しはいいからと、鋭い視線を彼女たちから向けられるコルネリオギルド長。
「えっ、あぁ………それでだなアリーチェさんの事について聞きたいんだが、何であんな事になったのかな?」
彼女たちの視線が一斉にジャンへ向いた。
ジャンは悩んだ末に答えた。
「さっ…………さぁ…………分かりません」
一緒にいたので、アリーチェか魔力欠乏で気を失ったとは思うが、小鳥を回復しただけだし本当かどうか分からない。
ジャンはアリーチェがあの状態になった理由について分からないのは本当なので分からないとだけ答えたのだ。
だが当然彼女たちの反感を買う。
「「「「はぁあっ?」」」」
立ち会っている彼女たちの雰囲気が更に悪くなって焦るコルネリオギルド長。
「みんさん落ち着いて。街を守るために来てくれたAランク冒険者に失礼のないようにお願いしますよ……」
「「「「…………」」」」
「沈黙は分かって下さったと受け取ります、ご協力ありがとうございます。それではジャンさん、アリーチェとはどうして一緒だったのですか?」
またまたじっくりと考えてから答えるジャン。
「倒れている所を、助けてボスコへ連れて来ました………以上」
色々と言ってない事はあるが、これも嘘じゃない。
ワイバーンとの戦いの場に一緒に居たがそこは言わずに、気を失ってしまったアリーチェを大切にボスコまで連れてきたのは事実なのだ。
「「「「……………」」」」
スッと、ステラが手を挙げる。
無視する訳にもいかないコルネリオギルド長。
「………何でしょう、ステラ校長先生」
ジャンはステラが校長先生だと知り、少し渋い顔をした。
(あ~さっきの………生徒のPTを連れてたのが校長先生だったのか、先生はちと苦手なんだよな………)
ステラはジャンから目を離さずに言った。
「倒れている所を助けたのでしたら、何故アリーチェの名前をご存知なのですか?」
(おっと、細けえな………)
「名前は……本人が言った」
「なる程、意識を失っているアリーチェが名前を名のったと?どうやって?」
「さぁな………嘘はついていないし、嘘発見の魔道具を使ってもらっても構わない。神様にも誓おう」
部屋に居る女性たちは呆れた。
「…………そこまでジャンさんが言うなら本当なのでしょう………ですが全てを話している訳では無いようですね。なぜ隠してらっしゃるのですか?」
(おぉ流石校長先生!その通りだぜ!やっぱとぼけるのは性に合わないな。お嬢ちゃんとの約束を守るのは、魔物と戦うより難しいぜ…………さぁどうする俺っ!)
そこで息子のジャックが突然話し出した。
「お父さんは嘘をついていませんし、全てを話して無いのも事実です」
ジャンは息子を厳しい目で見た。
(おいおいまさか、お嬢ちゃんを裏切るのか息子よ!そんな男に育てた憶えはないぞ!)
しかし息子ジャックの目は言っていた。
(任せてよお父さん、アリーチェはもう僕の全てだよ!守って見せるよ!)
見つめ合う2人の口元が少し笑ってから前を向く。
この部屋にいるお姉さんたちは微笑んでいた。
若くて格好いい少年は、純粋にお姉さんの魅力に負けて味方になったのだと全員ご満悦だった。
「「「「フフッ…」」」」
そしてジャックが話し出す。
「全てを話して無いのは事実です、しかしそれは、アリーチェさんから内緒にして欲しいとお願いされたからです。僕は女性が秘密にしたい事を人に話す事はしたくありません!たとえ罪に問われようと、アリーチェさんの意思に従います」
お姉さんたちはえっ?と思いつつも、キュンとしていた。
「女性の秘密を守る事の何がいけないのでしょうか!アリーチェさんとの約束です。それが罪になるのだとしても極刑になるのだとしても、僕はアリーチェさんとの約束を守ります………いっ以上です」
お姉さんたちは、キュンキュンしながらジャックをウルウルした瞳で見つめていた。
完全にお姉さんたちはやられていた………ジャックによって撃沈されていた。
「「「「うんうん」」」」
ステラがコルネリオギルド長の方を向いた。
「と言う事で、いいですよねギルド長!彼を許してくれますよねっ?!」
コルネリオギルド長は寝耳に水だ。
「えっはいっ?…………私のせい?」
他の女性たちからも言われた。
「「「よろしいですよねっ!」」」
コルネリオギルド長は元々そんなつもりは無かったのだから、いいに決まっている。
「あっはい勿論です。ジャンとジャックには感謝しかありませんから。改めてボスコに来てくれた事とアリーチェを助けてくれた事、ありがとう」
お姉さんたちが立ち上がって、ジャンではなくジャックの所に集まる。
「よかったわねジャックちゃん」
「その白いふわふわ可愛いわね」
「お父さんとの旅は大変でしょ、辞めてボスコに住んじゃったら」
「お姉さんと一緒に住む?」
ジャックは、きゃっきゃきゃっきゃと賑やかなお姉さんたちに囲まれながら部屋を後にした。
取り残されたギルド長とジャンは、モヤモヤしながらもホッとため息をついて、椅子に深く埋もれた。
「「フゥ~~ッ…………」」
(お嬢ちゃんとの秘密は守られた。良くやった息子よ。しかしこれからだぞ!女との修羅場は魔物よりも怖い…………これも経験だ頑張れ息子よ!)
静かなギルド長の部屋には、2人の男のため息だけが聞こえていた。
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