精霊ウィスプに魔法を教わる!☆3 やっぱりSだった!!
今朝もラダック村には雪が降っていた。
雪が降り積もりって隣の家へ行くのも苦労するようになってきた。
朝起きるとリビングでは………もうイフリートが筋トレをしていて部屋は暖かかった。
エリスとアリーチェは、気にしない事にした。
朝食後はウィスプと社会科の勉強だ。
ここベルトランド大陸は、中央に君臨する9,000㍍超えのデル・ディーオ山脈を囲むように4つの国がある。
東にヴェスパジアーナ共和国、
南にクリストフィオーレ皇国、
西にガンドルフ帝国、
北にアッシャムス魔国だ。
アリーチェの住むラダック村は山脈の南側、クリストフィオーレ皇国領内にあった。
教会を守る事を第一と考える国だ。
森と平野が広がり農業が盛んで、南側には海ががあり海の幸も豊かな国であった。
山脈の東側、ヴェスパジアーナ共和国は、商業・貿易が盛んな国である。
ヴェスパジアーナの国土は狭いが、東側の海を超えた先にある幾つかの国との貿易により、その拠点として栄えていた。
山脈の西側、ガンドルフ帝国は、荒れた土地だが鉱山が多く、鍛冶の盛んな国である。
強さこそ正義と考える獣人国家である。
山脈の北側、極寒の地にあるのは、アッシャムス魔国。
魔族の国である。
アッシャムス魔国とガンドルフ帝国は隣接しており、昔から小競り合いが絶えなかった。
だがここ100年近くは平和な状態が続いていた。
午前中の勉強が終わった。
「ふぅ~~!座っての勉強久しぶり過ぎて疲れた~~」
「ではアリーチェ様、昼食後は魔法の練習を行いましょう」
「は~い!」
* * * * *
そして午後。
座禅を組んでの精神集中。
魔力操作の練習をしてから、新しい魔法の練習だ。
「本日は防御魔法です」
アリーチェは少しだけウィスプが怖く感じていた。
「………はい」
「防御魔法『シールド』のイメージは、光の盾です。直接攻撃は勿論ですが魔法攻撃も防ぐイメージが大切です。魔力を通さないイメージです。では私とアリーチェ様の間にやってみて下さい」
(いきなり2人のあいだに?)
疑問に思いながらも怖いのでアリーチェは頷いた。
「はい……」
(光の盾か………盾だと小さいから少し大きめの壁くらいがいいかな。アリーチェの今の身長からすると1㍍×1㍍くらいかな。普通の攻撃を防ぐには堅ければいいと思うし、壁の向こうは見えた方がいいからやっぱ防弾ガラスよね。魔法も通さないって………盾は魔力で作るんだからきっと通さないわよね。じゃあイメージは光の防弾ガラスでいこう!)
集中するアリーチェ。
そして、
「『シールド』」
見たところ2人の間には何も見えないが、ウィスプが杖を差し出すと、トンと何かにぶつかった。
「一応シールドはありますね」
杖でアリスの目の前のシールドを叩く…
トントン。
ドンドン!
しだいに強く叩くウィスプ。
ドンッ! ガンッ!
ウィスプが杖を振りかぶった。
ドガンッ! ドガンッ!
ウィスプの行動が怖くなるアリーチェ。
(盾が無かったらアリーチェにあたってるんじゃないかしら………)
何故か不満そうな表情のウィスプ。
「まぁ………なかなかの様ですね。では攻撃魔法を試しましょう」
ウィスプが、三歩下がって手を前にかざす。
光の矢が5本現れてアリーチェに向かっていった。
慌てるアリーチェ。
「うあぁっ!!」
ガキンッ!ガキキキンッ!
矢は全て無事に盾で弾かれた………
「チッ、………初めてで出来るとは………やはりアリーチェ様には才能がお有りの様ですね」
怖くて泣きそうなアリーチェ。
「いっ今のって?」
平然とした表情のウィスプ
「盾を試す為の魔法です。聖属性にも攻撃魔法はありますので」
「いやいや攻撃魔法って、もしも盾が弱かったらと思うと………」
「えっ?何がでしょうか?」
怖くて聞きづらいアリーチェ。
「いゃあの、攻撃魔法が当たったら怪我したかな~なんて思ってね」
平然としたウィスプ。
「怪我しても私が治しますから大丈夫ですよ。あっ!御自分で治されるのも、練習になりましたね、残念!シールドが成功してしまいましたね」
ウィスプをじっと睨むアリーチェ。
(ウィスプってきちんとしてそうで、かなり危ないタイプだわ。性格は完全にSだわ。攻撃魔法の時も口元がニヤついてたし、矢は1本でいいのに5本とか………それに、『シールド』が成功した時に舌打ちしてたし………早く違う先生に交代してくれないかしら)
「では本日の魔法教室は終了します、お疲れ様でした」
終わってホッとするアリーチェ。
「………ふぅ~~良かった」
少しずつ魔法を使えるようになってまいりました!
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