クラスメイトとPTを?☆7 結成!
朝の学校の教室で、マルティーナは生徒たちの前に立って結果を伝えた。
「と言う事でお断りします。この結果は皆さんもそうですが、特にコズモが今までしてきた事が原因なので自業自得です」
マルティーナがきっぱりと言った。
聞いていた生徒たちは俯いて教室は静まり返っていた。
ステラがマルティーナを席に帰らせた。
「と言う事で皆さんこれからも頑張って下さい」
静かな教室にステラの声が響く中、コズモが立ち上がった。
「アリーチェさんすいませんでした!」
コズモは躊躇なくアリーチェに頭を下げた。
コズモはマルティーナPTの戦闘を見ていたが、どう考えても自分の方が能力は上だった。
しかしみんな臆することなくタヌッキーに立ち向かい確実に倒していた。
自分ですらタヌッキーはまだ早いと思うし、逃げる相手だ。
人数が集まったからといってLV1が勝てる相手ではない。
コズモは何度もマルティーナPTの戦闘を思い返した時にアリーチェの指示があった事に気がついた。
最初は何当たり前の事をと思っていたが、よくよく考えると違った。
みんな緊張で焦る状況の中でアリーチェは落ち着いていて先を読んだ的確な指示を出していた。
メンバーはアリーチェの声だけは聞いていて、どんな指示でも信じて行っていた。
アリーチェの冷静さ、状況を見る確かさ、判断力、どれも素晴らしかった。
そして個人の力が弱くてもPTの力で強い相手に勝つ。
…………コズモは羨ましかった。
「アリーチェさん!本当にすいませんでした!俺には………いえっ俺たちにはアリーチェさんが必要なんです!」
他のPTリーダーも立った。
「俺もすいませんでした」
「僕もすいませんでした」
コズモの熱意に感化されたのか、他の生徒たちもぞろぞろと立ち上がった。
「「「「すいませんでした!!」」」」
まだコズモは頭を下げたままだった。
「お願いします。アリーチェさん!俺たちを指導して下さい!アリーチェさんが居れば俺たちは強くなる!強くなってどんな敵からも守って見せますから!」
マルティーナPTメンバーはコズモの熱意に驚いていたが、アリーチェは「必要なんです!」「守って見せます!」とみんなの前で言われて恥ずかくて俯いていた。
「わっ………分かりました。無理のない程度ならやります」
ガバッと顔を上げるコズモ。
「あっ……ありがとうございます!アリーチェ先生!」
「いや、先生って呼ばれるのはちょっと……」
「分かりました!アリーチェ師匠!」
「師匠??また師匠??」
「よろしくお願いしますアリーチェ師匠!」
「「「「よろしくお願いします!アリーチェ師匠!」」」」
生徒たちの声が揃った。
ステラ先生がみんなを落ち着かせてから、アリーチェを交えて話し合い、問題が起きないように色々と約束事を決めてくれた。
・アリーチェの貸し出しは週に1回。
・前もって先生に届けを出す事。
・マルティーナPTが優先。
・規則はアリーチェの都合により変更されても従う事。
・アリーチェに絶対服従。
「これでどうかしら?」
さらっとアリーチェに絶対服従とか入れてるステラの心づかいにアリーチェは感謝した。
「はい、アリーチェはこれで大丈夫です」
「みんなもこれでいいわね?」
「「「「はいっ!!」」」」」
今度も生徒たちの声が揃った。
なんだかんだ生徒たちは強くなりたいのだ。
授業の合間の休み時間、アリーチェはPTのリーダーたちにお礼を言われた。
特にコズモは両手でアリーチェに握手をしてきた。
「ありがとう、これからよろしくですアリーチェ師匠」
気まずそうな表情はしていたけれどアリーチェは、強くなりたいと言う自分の目標の為に頭を下げるコズモを見直していた。
「うんよろしくね、みんなで強くなろうね」
「あっ………はい」
コズモは赤くなってドギマギしながら席に戻っていった。
* * * * *
次の授業は一般教養と武術の練習と、午後はウィザードドームでの魔法の練習をした。
南の森に狩り行く課外授業は、1日おきの週3回なので次は明日だ。
アリーチェは、明日の課外授業の為にみんなに伝えたい事があったので、授業が終わったところでみんなに話させてもらった。
「え~、みんなはLV1なのでHPやMPをプラスするアクセサリーはとても重要です。盾役はHP+、その他の人はMP+のアクセサリーがいいと思います。家にあったらしてきて下さいね、それだけで戦いに余裕ができますから」
アリーチェはちょこんとお辞儀をして席に戻った。
* * * * *
学校帰りの並木道、昨日と同じ芝生に集まって座るマルティーナたち。
「ではこれから、PTの名前を決めたいと思います」
早速ブルーノが手を上げる。
「まずは俺からいこう、俺が考えたのは、フリーズ・シールドだ!どうだ格好いいだろ?いや~っ思いついた時は震えたぜ!もう決まりでいいんじゃないか?」
話しにならないと言う感じのロジータ。
「私のいくわね、キューティー・リボンよ!いや~っ可愛くてどうしましょっ!もう決まりでいいわよね?」
二人の意見など気にせずにテレーサが言う。
「私は、ビューティフル・レインボーよ。おしゃれで美しい響きだわ~!決まりね!」
言いたくてうずうずしていた
マルティーナ。
「みんな聞いて驚け~、フォレスト・ボスコ!これよっ!この街にピッタリの名前だわ!決まったわね!」
みんな自分が考えた名前の良さをアピールするばかりで中々決まらなかった。
でもアリーチェはみんなの楽しそうな顔をみて嬉しそうにしていた。
「アリーチェはどんな名前を考えてきたの?」
突然マルティーナに聞かれた。
「えっ?アリーチェは特に考えつかなかったから、みんなの考えた中から選ぼうと思って」
「「「「なに!!!」」」」
みんなが一斉に振り返る。
今の膠着状態はアリーチェの一票で決まる!そう判断したみんなの売り込み合戦が始まった。
「俺のが1番格好いいよな?」
「私のが1番可愛いわよね?」
「私のが1番おしゃれよね?」
「私のが1番相応しいわよね?」
「えっ?えっ?」
みんながアリーチェをガン見していた。
(どっどうしよう………責任重大な気がしてきた)
「え~っと…」
ズイッ!っとみんなの顔が近づく。
「私がいいなと思ったのは……」
ズィズィッ!!っとまたみんなが近づく。
みんなの顔が目の前にある中で、アリーチェは発表する。
「いいなと思ったのは…………ぜっ全部です!」
「うお~~っ!俺のフリーズ・シールドじゃなくぜんぶですって名前かぁ~!…………んっ?ぜんぶですって誰の考えた名前?」
ブルーノが落ち着いた所でアリーチェが謝りながら言い訳をする。
「本当にすいません、どれも良くて決められなくて。それならいっそ全部の名前を入れてみたらと思いまして…………はい」
アリーチェはペコペコと謝りながら説明した。
「全部ねぇ、まぁアリーチェの1票で決める雰囲気だったし………じゃあ全部入れたのを考えてみましょうか」
そしてみんなで試行錯誤した結果。
「これだな………まぁ格好いいんじゃないか?」
「可愛さも感じられるわね……」
「おしゃれな気もする……」
「いっ良いんじゃないかしらね………じゃあこの名前をみんなで言ってみましょう!せーのっ!」
「「「「キューティ・レインボー・フォレスト・シールド!」」」」
「「「「……………」」」」
何か閃いたアリーチェ。
「大丈夫よみんな!キューティー・レインボー・フォレスト・シールド!略してC・R・F・S!4人でこうやって文字を身体で表現すればポーズも決められるわ」
くねくねと身体でC・R・F・Sをやって見せるアリーチェ。
微妙だったみんなの表情はまんざらでも無い雰囲気に変わっていった。
「まぁ……いいんじゃないか」
「まぁ……そうね」
「いい……かしらね」
「………ええ」
とりあえず自分の考えた名前は入っているのだからと、全員納得した。
こうして…
キューティー・レインボー・フォレスト・シールド
C・R・F・Sは結成された。
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