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クラスメイトとPTを?☆2


 マルティーナのPTメンバーの話しあいで、アリーチェが荷物持ちになる事が決まったであろう所に、生徒達を回っていたステラが訪れた。



「さて、マルティーナさんのPTはどんな感じかしら?」


 1人を荷物持ちに決めた負い目があるのか、みんなの表情は強張っていて視線はマルティーナに集まっていた。


「あらっ?どうしちゃったのみんな、んっ?なになに?先生まだ来ちゃマズかった?」


 気を落ち着けるマルティーナ。


「いえっ大丈夫です。おおまかな役割は決まったのですが、具体的な動きと言いますか、どう戦うかが決まってませんので、このまま話し合いを続けてもよろしいですか」


「なんだそうだったの。勿論いいわよ、続けてちょうだい」


「ありがとうございます、それでは続けます。私は水魔法での回復でいいかしら?」


 ブルーノは自分の出来る事を考えた。


「俺か敵の攻撃を頑張って受け止めればいいんだよな」


 テレーサは自分の出来る事もよく分かって無いが、なんとなく参加した。


「わっ私は、風魔法で後ろから攻撃すればいいのかしら………ね?」


 ロジータもテレーサと同様だ。


「えっと、私はその…………闇魔法で攻撃………よね?」



 みんなまだ、自分の属性で何が出来るのか分かっていなかった。

 聖属性や火属性は人気があるが、それでも中級魔法で何が出来るとか、細かな所まではその属性の魔法使いしか知らないのが普通なのだ。


 マルティーナは、あとは属性ごとの先生に教えてもらえばいいかと思い、話し合いを終わりにしようとした。

 そこにたまたまアリーチェの声が重なった、


「じゃあ今日の所は………」

「こうしてみてはどう………」


 アリーチェは、みんなが迷っているのかと思って、自分の考えを伝えようとしたのだ。


「「あっごめんなさい」」

 マルティーナとアリーチェが、お互いに視線を合わせて謝っていた。


 マルティーナは微笑んでいた。


「フフッ、アリーチェさんがまだだったものね、どうぞ話して」


 アリーチェも少し微笑んでから続けた。


「ありがとう、みんな迷ってるみたいだから少しだけ話しますね。まずブルーノが剣とアイスアローで最初に攻撃してヘイトを稼いでターゲットをある程度安定させたら、あとは盾やアイスウォールでみんなを守れると思うわ。戦闘が始まって暫く経つまでマルティーナさんはヒールウォーターやキュアウォーターなど回復魔法は控えた方がいいわ、ヘイトが高いから。あと攻撃参加もしない方がいいわね。マルティーナさんがヘイトを集め過ぎてしまうから。テレーサさんはウィンドアローでの攻撃と、ウィンドフォローで自身のスピードを上げて、剣や短剣でのヒット&ウェイかな。位置取りはブルーノさんの後ろで、攻撃したらブルーノさんの後ろに戻ってね。ロジータさんも位置取りはブルーノの後ろね。そしてブルーノの攻撃が当たってから、相手にポイズンをかける。次にブルーノが攻撃をするのを待ってから、次の魔法をかける、かける魔法はブラインドかパラライズかな…闇魔法は弱体化魔法が多いけど、レベルが近い相手でもかかりづらいから、同じ魔法を何度かチャレンジする必要があるわ」



「「「「…………………」」」」


 みんな呆気にとられていた。


「あれっ?なんか間違ってたかな?」


 ステラは感心しつつも不審者を見る目だった。


「アリーチェちゃん魔法に詳しいのね………それぞれの属性で詳しい知り合いでもいるの?」


(あれっ、なんかみんな変ね、いやっ変だったのはきっとアリーチェか。………魔法に詳しいのは変なのか……………)


 全属性の精霊が知り合いのアリーチェは焦りまくった。


「えっ?あっ、いえっ!いませんっ!あっ、いますんっ!いますっ!ピエロとか………あっ、冒険者に知り合いがいますっ!」


 あきらかにきょどっているアリーチェを、なんか胡散臭いものでも見る感じのステラ。


「ふぅ~ん、そう、冒険者や魔法使いは、自分の子供とか弟子以外には、細かな事は教えないと思ってたけど………ふぅ~ん、そっかそっかぁ。両親ではなく冒険者ねぇ…………ふぅ~ん、そっかそっかぁ」


 焦って何か言ってもぼろが出るだけなので、話すのを辞めてジッと黙って立ったままのアリーチェ。


「………まぁいいわ、PTでの役割としての立ち回りは、アリーチェさんの言った通りよ、強いて言うなら魔力残量の事ぐらいかしら。みんなはまだLV1だから、数回魔法を使ったら魔力が無くなると思うから気をつけてね。冒険者も魔力を節約してるし、魔力回復薬を持ち歩いてるのよ、授業での狩りには学校側が用意するわ」


 魔力の節約など考えた事の無いアリーチェは、知らなかった。

 今もラダック村の実家には、精霊を数人召喚したままだし、虫除け魔法も常時かけ続けているのだ。


(そっか、一般的にはそうなのか。魔力の節約は大切っと!)


 無言のアリーチェ。


「…………」


 アリーチェをジッと見つめるステラ。


「………まぁ、このPTはアリーチェさんがいれば大丈夫そうね、話し合い頑張ってね」


 そう言ってステラ先生は、次の生徒たちの所に歩いていった。


 取り残された感じのアリーチェに、PTメンバーみんなの視線が痛かった。



(荷物持ち………がんばろ)



 冒険者の授業は、PTでの役割にあった好みの武器に決めて、分かれての練習になった。

 盾役は勿論盾と片手剣、攻撃役は片手剣・双剣・短剣のどれかだった、大剣・斧・ナックルなどもあったが、2年生になってからと却下されていた…確かに8才児には重そうだ。


 わがPTメンバーの、マルティーナは小さめの盾とワンド、ワンドとは片手装備用の杖である。

 ブルーノは盾と片手剣。

 テレーサは片手剣よりは軽くて短い双剣だった。

 ロジータは小さめの盾とワンドだ。

 アリーチェは無難に盾と短剣にしていた………荷物持ちだからね。



 午後の魔法の授業は、それぞれの属性の特徴や、精霊と契約する為にやるべき事、神の加護を得る為の生活など、一通り常識の勉強をした。


 その後、属性ごとに分かれて中級魔法の勉強だ。

 みんな自分がLV1で使える魔法を、属性の先生に教えてもらっていた。

 それとPTの戦闘時の事も聞いていた。


 中級魔法は、本人の魔力量さえ足りるのでありば、集中して詠唱すれば使えるそうだ。


 魔力量はだいたい年齢とレベルで決まり、女性の方が高い。

 修練していけば、MPは少しずつ上がっていく。

 MPは女性の方が高いが、HPは男性の方が高い。


 アリーチェは、こっそりマルティーナたちのHP・MPをサーチ魔法で確認した。


マルティーナ・ベリザリオ

HP 19 MP 21


ブルーノ・フランチェスコ

HP 23 MP 13


テレーサ・テオドール

HP 19 MP 21


ロジータ・ルクレツィオ

HP 19 MP 21


 1人だと、スライムにすらやられそうなステータスだった。

 改めて気を引き締めるアリーチェ。


(森に行く時に引率の先生はいるだろうけど、気をつけよう)





 マルティーナのPTメンバーは、渋々ではあるがアリーチェの考え通りの魔法を練習していた。


 マルティーナは、ヒールウォーターとキュアウォーターを練習していた。

 アリーチェがサーチ魔法でMPの減る様子を確認したら、どちらも消費MPは5だった。


 テレーサの、ウィンドアローもエアフォローも消費MP5。


 ロジータのポイズン・パラライズ・ブラインドもみんな消費MP5。


 3人ともMP21だから、魔法4回でMP切れだ。


 ブルーノはMP13、アイスアローはMP5、その後のアイスウォールは、残りMP8では発動しなかったからそれ以上って事だ……


(ブルーノは、アイスアロー2回使うとMP切れって低すぎじゃない………あっこれが普通か。引率の先生はいるけどレベルが低い内は他の魔物に気をつけないと)



 学校が終わってから、アリーチェは商人ギルドのダニエラさんに相談に来ていた。


「MPを増やす物ですか?」


「そうなの、少しでいいんだけど………」


「魔力回復薬は、MP回復率の1番低い商品で2000ターナです。小瓶に入ったドリンクですが、全て飲むとMPかある程度回復しますので、LV1でも少しずつ小分けに飲めば宜しいかと」


「回復薬は学校側が用意するから大丈夫なの。みんなMPが低すぎて1度の戦闘で、あまり魔法を発動出来ないみたいなのよ」


「でしたら、MPを増やすアクセサリーがあります。高価な物は値がつかない程の物もありますが、MPを少し増やす物ならレベルが上がると使いませんので、かけ出し冒険者用として安価な物が出回っております。アリーチェ様少々お待ち下さい」


 そう言ってダニエラは一旦部屋を出て、少ししたら5つの指輪が乗ったトレーを持って戻ってきた。

 銀色のリングで、飾り気の無いシンプルな物だった。


「これはMPを少し増やすアクセサリーです。得に売り物でもありませんし、商人としては物を捨てる事が出来なくて、処分に困っていた物ですので、アリーチェ様に差し上げます」


「いいの?ありがとうダニエラさん!」


「ええ大丈夫です、こちらこそ助かります。事務所の引き出しにずっと入ってた物で、申し訳ないくらいです」


「いえいえ、今度お礼をするからね」


「それには及びません。アリーチェ様が自由にして頂くだけで、商人ギルドは収益がありますから、これもこちらからのお礼の1つとお考え下さい」


「そうなの?まぁとにかく助かったわ、ありがとうダニエラさん」



 アリーチェは、これで少しは何とかなると安心したのか、シドの手を取って、嬉しそうにスキップしながら家に帰っていった。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆


 読んで頂き有難う御座います。


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