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魔法の授業!


 食堂でひとりぼっちで食事をした後は魔法の授業だ。



 ステラ先生は教室で、まず魔法の基礎的な事を教えてくれた。


 魔法の才能があれば、初級魔法は全属性できる。

 ただ、初級魔法はどれも、攻撃力などがある訳では無く、水を少しだけ出せるとか、生活の役に立つ程度である。

 アリーチェはこの初級しか使えないと思われているのだ。


 中級魔法からは、属性の才能が必要で戦闘の役に立つし出来る事も一段と増える。


 上級魔法は、その属性の才能があった上で、同じ属性の精霊との契約が必要だ。

 精霊と契約するのはかなり苦労をする。

 例えば火属性なら常に火を意識し火と共に生活をして精霊に興味を持ってもらい、気に入られれば契約してもらえるのだ。

 そういった生活を10年して、精霊と契約出来れば良い方である。

 精霊との契約が出来ると、自身の魔力も魔法の威力もあがり、精霊を召喚して戦わせる事も出来る。

 魔力を多く消費するが、精霊と協力して使う精霊魔法は、かなり強力だ。


 神の加護があると上位属性の魔法が使えるようになる。

 上位属性魔法はかなり強力で、魔力量によっては天災クラスの威力の魔法が使える。

 神様の加護を得るには、その属性の神様へ祈りの生活を続ける必要がある。

 しかし30年以上続けても神様の加護が与えられる事は稀なのだ。

 但し教皇だけは例外で、初代教皇の功績や教会職員全ての信仰生活により、教皇に就任した時点で神の加護が与えられる。

 上位属性魔法を行使する為の魔力量は膨大で、加護があっても魔力が足らない教皇も過去にはいたらしい。


 アリーチェは精霊たちに魔法のやり方は教えてもらっていたが、他のことは知らなかったので色々と為になる授業だったのと、精霊と友だちとか神様の加護が色々あるとか、自分自身の異常さが身にしみて分かった。


(ルカパパの反応は当然だわ……エリスママはよくすんなり受け入れてくれたわね、母親って凄いのね)




  *  *  *  *  *




 魔法の実技はドーム型の体育館で行われた。

 ドームの名前はウィザードドームだった。

 魔法に耐えられるように壁には魔法障壁が張られていて、外からも内からも魔法攻撃には強い作りだそうだ。


 ドーム内に入ると、反対側では2年生が授業をやっていた。

 属性ごとに分かれ中級魔法の練習をしていた。

 それぞれの属性のボール型の攻撃魔法で的を狙っている。


(みんなボールの数は1つか………アリーチェは初めての時から、いくつも出てたわよね………これは1個の練習をしとかないと)


 アリーチェの悩みが増えた。


 ステラ先生は、みんなに初級魔法を見せてくれた。


「先ずは、水魔法をやって見せるわね。教室で教えたけど、詠唱の呪文をしっかりと覚えておくように。間違えたら魔法は発動しないくなるからね、ではいきますよ」


 長い机の上にコップが全員分用意されていて、その1つのコップに片手をかざして、詠唱を始めるステラ。


「大いなる者にたまわりしきよきひとしずく、わが意思いしじゅんじて、今ここに具現ぐげんせよ、『ウォーター』!」


 すると、コップ一杯くらいのキラキラした水の玉が現れ、生徒たちから感嘆の声があがる。


 ステラ先生はかざしていた手を、ゆっくりとコップへ降ろしていき、水がコップへおさまると、開いていた手を軽く閉じた。


「はい、こんな感じかしら。ではそれぞれやってみて」



 コップを机に置いてやる者や手に持ってやる者、生徒たちは自由に練習を始めた。


 自分の魔力に集中してから、詠唱を始めないと失敗すると、ステラ先生が言っていたが、かなりの生徒が最初失敗していた。

 アリーチェは失敗した事がないので、何故失敗するのか分からなかった。


(詠唱しても失敗するって………なんで?)


 暫くすると、両手をかざしてやってる生徒たちから成功し始めた。


 半分以上の生徒が成功して来て、まだ出来てない生徒には、ステラがアドバイスをしたり、耳元で詠唱呪文を教えてあげたりしていた。


 デキてない生徒が残り数人となった所で、そろそろ大丈夫だろうと思い、アリーチェは昨日の夜に練習したとおりに、しっかりと詠唱をしてコップを水でいっぱいにした。


 すると後ろから声がした。


「あらっ出来たじゃない」


 振り向くと領主の娘マルティーナが立っていた。


「えっ?ええ、何とか出来て良かったわ」


 アリーチェは慌てて返事をした。


 マルティーナは少しぎこちなく話しかけてきた。


「そっそうね……あなた自己紹介で属性は特に無いって言ってたけど………無いの?」


 そう、生徒会役員決めの後に、自己紹介も兼ねてみんな名前と属性とかを言う事になったのだ。


「ん~そうみたいなのよ。教会の儀式で司祭様がそう言ってたわ」


「なんか他人事みたいに言うのね………大丈夫?」


「うん、魔法の事よりも、授業で知らない事を学ぶのが面白いし、学校は楽しいから」


「ふ~ん、私は水ってだけでショックだったけど、まあそっか、平民としては恵まれてるのよね。ところで私に投票してもらったのに、期待に応えられなくて悪かったわ………」


 マルティーナはそれだけ言うと、少し気まずそうにしながら背を向けて離れて行った。


(もしかして、今のを言いたかったのかしら……)



 全員がコップに水を出せる様になり、それぞれ何回かやるとみんな額に汗をかいていた。


 ステラ先生が、みんなをしゃがんで休ませながら話をした。


「身体がとても怠く感じると思うけど、それが魔力が少なくなって来た状態よ。もっと減るともっと辛くなるの。精神力を鍛えれば、その状態でも身体を動かせるけど、魔物との戦闘中は危険すぎるから、自分の魔力残量には気を配る事を忘れないようにね」


 ここで今日の魔法の練習は終わりになった。


 貴族に絡まれる事も無く学校は無事に終了した。




  *  *  *  *  *




 アパートに帰ってから、ルカに生徒会役員決めの事を話し、属性に対するみんなの認識を聞いてみた。


「なる程、それは領主の娘さんはこれからも大変かもね」


 ルカが説明してくれた。


 ダントツ1番人気が聖属性。

 回復魔法と防御魔法。

 必ず教会職員に迎えられる。

 将来は聖職者となり出世できれば教皇にもなれる。

 教皇には何処の国王も逆らわないのだ。


 2番目が火属性。

 もっとも攻撃力があり、戦闘には欠かせない属性。


 3番目が土属性。

 防御用の塀を作ったり、攻撃にも役立つ。

 魔力量次第で街の外塀や城壁を作り出せる。

 領主にはこの属性が望まれる。


 4番目が氷属性。

 戦闘における防御と攻撃に役立つ。


 5.6番目が風と闇属性

 風はスピードアップ。

 空を飛ぶ事も出来るが、制御が難しいのと魔力を多く消費するのであまり使う者はいない。

 闇は戦闘での敵の弱体化が主な役目。


 最後が水属性。

 攻撃力は低く防御も出来ない。水を出すだけなら初級魔法で出来る。少しだけ回復魔法があるが、聖属性の方が優れているらしい。


(月・雷・それと闇属性上位のもう1個の時空は知られて無いんだったわね…………でもそっか、マルティーナの水属性って人気ないのか、水属性の良いところもあるのに)


 アリーチェはエリスにかける

回復魔法を、日によって聖と水を変えていた時の事を思い出していた。その時部屋に、ウィスプが居るかディーネが居るかの違いだけなのだが。

 妊娠中で辛そうにしている時で、エリスが「なんか水属性の方が気持ちいいわね」と呟いた。

 さっそく確認してみると、どうも水属性の方が肌つやが良くなっている事に気が付いた。

 そして色々と試した結果、意識を肌の水分補給に集中すればより肌つやが良くなり、髪の毛のキューティクルに集中すれば髪つやが良くなったのだ。


(アリーチェは詠唱無しでやっているから、詠唱するとどうなるかは検証する必要があるのか)


 アリーチェは女性の為に水属性の良さを広めたかった。


 ルカは、属性の才能の遺伝についても教えてくれた。


 親の属性が高い確率で子供に遺伝するので、親の仕事を継ぐのがほとんどである。

 子供に恵まれなかったり、子供の属性が望まない物だった貴族は、養子を迎えるのが一般的だそうだ。

 なので教会の儀式で魔法の属性が明らかになった子供は、属性によってはより階級の高い貴族に養子になるのが親も子供も幸せな道だと考えられている。

 修行を積み、優秀な魔法使いに成長すれば、王族に迎えられる事もあるのだそうだ。


 魔法の属性で人生が決まる世界なのだ。




 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆


 読んで頂き有難う御座います。


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