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魔物狩りはいい感じ!


 マウロPT魔物狩り2日目。


 朝練が終わって朝食を摂り、みんなで冒険者ギルドに向かっている。


 今日からジョバンニは居らず、シドとアリーチェだけが同行している。


 マウロのPTは、昨日と同じ狩り場に行ってやる事は決まっているのだが、冒険者として振る舞いたいマウロは、張り出されている依頼書を確認していた。


 冒険者ギルドを出て昨日の森にきたマウロたちは、森の奥に進むのでは無く、安全の為に森の端に沿って横に移動しながら魔物を探した。


 しばらくして、マウロがウッピーを見つける。


「ウッピー発見!みんな準備はいいか?いくぞっ!うりゃ~!」


 最初にマウロは、盾で体当たりをした。

 盾の体当たりを受けたウッピーは、マウロに向かっていった。


 ぴょん!ドンッ!


「んぐっ!せりゃ~!」


 攻撃を耐えて、素早く反撃するマウロ。

 ウッピーはマウロの攻撃を素早く避けるが、避けた先にレベッカが居た。


「えいや~!」


 レベッカは上手くウッピーに当たった事に驚いてすぐに下がって距離をとったが、攻撃に使った筈の短剣を持っていなかった。


「えっ!やばっ!」


 レベッカは直ぐに予備の短剣を装備して構えた。


「危なかったわ………んっ?」


 ウッピーをよく見ると胸にレベッカの短剣が刺さっていた。

 そのままウッピーはコテンッと倒れて動かなくなった。


「あれっ、あたい?そっかそっかぁ」


 レベッカはウッピーにとどめを刺した事に驚きつつも嬉しくなっていた。


 次に遭遇したのは、タヌッキーと言うFランクの魔物だ。見た目はそのまんまタヌキだ。


 盾役はサンドロの番。


「じゃあいくからね~えいっ!」


 近づいて剣を振るうが、腰が引けて届かない。

 それでもタヌッキーは敵認定してくれたようで、サンドロに向かって体当たりしていった。

 ウッピーよりも少し大きめのタヌッキーの体当たりは重そうだ。


 ボフッ!


「ふんっ!」


 盾でしっかりと耐えるサンドロ、しかし素早い反撃はまだ難しそうだ。

 横から素早くレベッカとアメディオが連続で攻撃する。

 レベッカの攻撃がかすり、アメディオの攻撃がしっかりと当たる。


 シュパッ!

「あっもうちょい!」

 ズバッ!

「よし!」


 そこにマウロが上段から斬りかかる。


「おりゃあ~~!」


 ズザンッ!


 マウロの攻撃がお腹を斜めに斬り裂くと、タヌッキーはよろよろと後ろに下がった。


 すかさずマウロがとどめに突きを放つ。


「とりゃっ!」


 ドスッとした音と共に心臓の位置に刺さり、タヌッキーは後ろに倒れた。


「よっしゃ~!」

「「「やった~!」」」


 そこでPTメンバー全員、身体が軽くなるのを感じた。


「何だっ?」

「おおっ?」

「うわぁっ!」

「何これっ?」


 アリーチェはその様子を見て微笑んだ。


「それはレベルが上がったのよ、おめでとう!全員がLv2になったわ!」


「まじかっ!」

「やったぜ!」

「おおっ!」

「やったわ!」


「少し身体能力も上がって身体が動きやすくなった筈よ。能力の上がった身体に慣れた方がいいわよ」


「「「すげ~~!」」」

「なんか身体が軽いわ」


 みんな喜んでいた。

 マウロはぎこちないがタヌッキーを捌いて魔石を取って、毛皮と肉こい分けていた。


 その後も何度か戦い、スライム2匹とウッピー1匹を倒した。

 本日の成果はタヌッキー1 ウッピー2 スライム2だった。

 スライムは串焼き肉にはならないが、経験値と魔石の為に倒した。


 マウロPTは無事に冒険者ギルドに戻り、タヌッキーとウッピーの毛皮と、魔石を全部引き取ってもらった。

 アリーチェは戦って無いんだからとお金は受け取らなかった。なので報酬と素材の代金はPT4人で分けてギルドカードの口座に入金してもらっていた。

 みんなとても嬉しそうだった。




  *  *  *  *  *




 孤児院に着くと、入口の横の屋台でセラフィナが串焼きを焼いていた。


「セラフィナさん、お店開店したんですね、おめでとうございます!」


「ありがとうアリーチェちゃん、おかげさまでなんとか始められたわ」


 マウロたちがタヌッキー1体ウッピー2体のお肉を渡すと、とっても喜んでくれた。


「えっこんなに?ありがとうみんな」


 セラフィナがお肉のお金を払ってくれようとしたが、みんな断った。

 悩んだセラフィナはお礼にと串焼きを2本とスープを渡していた。


「じゃあ、毎日串焼きとスープを食べに来てね!みんなは無料だから!」


「「「「ありがとうセラフィナ先生!」」」」


 自分たちの力が、セラフィナや孤児院の役に立ったからなのか、みんないい笑顔だった。




  *  *  *  *  *




 アリーチェがアパートに戻ると、ドアの隙間に手紙が挟まれていた。

 呼んでみると差出人はローラさんで、衣装が出来たからいつでも取りに来てと言う内容だった。


(明日にでも行かなくっちゃ。とうとう巫女装束を着られるのね。お姉ちゃんに見つけてもらえる確率が格段に上がるわ!)



 夜のリビングは賑やかだった。

 ルカパパに精霊たちの事が秘密じゃなくなったので、アパートの中は精霊だらけだった。


 シド以外をなかなか外のお散歩に連れて行ってあげられないのを申し訳なく思っているアリーチェは、編み物をしながらなるべくみんなと話しをした。


「タヌッキーを倒したところでやっと、PTみんながLv2にあがったのよ」


「何とか戦えてるみたいですね、想定外が起こった時が心配ではありますね」

「PTに魔法使いは無理としても索敵メンバーが欲しいわね」


 ウィスプとランパスの意見にアリーチェは頷いた。


「確かにそうね。今はFランクの魔物だから何とか倒せてるけど、想定外は心配だわ」


「連携はまあまあみたいですね。あとは経験ですかね。武器はなにをお使いですか?」


「みんな鉄製の片手剣や短剣よ、アリーチェはこれ」


 アイテムボックスから、細身の片手剣を出した。


「だいぶ使い込んでますね……」


「ワゴンセール品だったからね、Lv1だしお金を貯めてから、良い武器に買い替えるつもりよ」


 ウィスプが指でクイックイッとイフリートを呼んだ。


「イフリート、確か火属性に鍛冶師が使う武器を作る為の魔法があったんじゃなかった?」


「あぁ、あるぞ!リキャストってのと、フュージョンってのと、アルケミストだな」


 魔法には初級・中級・上級・神級がある。

 初級は魔法の才能があればどの属性魔法でも使える。

中級はその属性の才能がある者が使える。

 上級はその属性の才能があり、さらに精霊との契約をする事が出来れば使える様になる。

 神級はその属性の神の加護

が必要なのだ。


 リキャストは中級魔法で、武器や防具などを直す魔法。


 フュージョンは上級魔法で、素材同士を溶解して混ぜて分子レベルで結合させ強度を上げる魔法だ。


 アルケミストは神級魔法で、素材自体を変える、いわば錬金術の様な魔法だった。


「特にアルケミストは難しくて、加護があったうえに相当の魔力が必要だから出来る奴は英雄と呼ばれる奴くらいだったな。 神様の加護も魔力もあるアリーチェなら、その剣をミスリルソードにも、もっと凄い素材にも変えられるぞ。どうだやってみるか?」


(流石に錬金術はヤバイそう……)


「やってみないわ!素材の強度を上げるフュージョンでお願いするわ」


「よし!何か混ぜたい素材があればそれも剣と一緒に持ってだな、刀身に集中だ。そして強くなれ~強くなれ~って感じで頑張れ!」


 イフリートの言ってる事は、何の説明にもなってないのだが、頷いてからアリーチェは剣とロックゴーレムの素材を少し持って集中する。


(……ようは製錬よね、鉄は確か………炭素が少し混ざったのが(はがね)だったかしら。鉄を溶かして不純物を取り除いて炭素1%くらいロックゴーレムの素材も少し混ぜて…………堅い(はがね)になぁ~れぇ、堅い(はがね)になぁ~れぇ)


「『フュージョン』!」


 アリーチェの持っている剣の刀身が光り出した。

 赤や青や黄色など七色に輝き、しばらくして光りが消えると、刀の様なシルエットで鋼色(はがねいろ)に光る刀身が現れた。

 イフリートに教えてもらって、ついでに刀に合った鞘もゴーレム素材で作った。


「綺麗になったしたぶん成功よね。あとでマウロPTメンバーの武器もこっそりやってあげましょ」


 夜も遅いので剣を試し斬りする事もなくアイテムボックスにしまい、編み物も片づけてみんなにお休みを言った。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆


 読んで頂き有難う御座います。


【作者からのお願い】


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             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆





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