マウロPTのささやかな初陣!
装備も整ったので、今日から朝練は装備を着用しておこう事にした。
みんなは喜んで装備を着用していた。
その分大変なはずなのに弱音を吐かずにトレーニングをするメンバーたち。装備のお陰でやる気も上がっていた。
「はいそれでは、今日からは剣の練習もします!」
「「「「はいっ!」」」」
返事もとっても良かった。
シドが先ず、マウロとサンドロに片手剣を教えた。
「剣を利き腕に持ち反対の手に盾。腰を落として盾を腰高に構えて、剣が盾に隠れた状態から1歩踏み込んで盾をずらしつつ剣を突く!素早く戻って盾に隠れる。次は1歩踏み込んで、上段から切り下ろす!素早く戻って盾に隠れる。これを交互に繰り返してまずは10回ずつ!」
「「はいっ!」」
「それじゃあ次は、レベッカちゃんとサンドロ君に短剣だね」
「「「はい、お願いします!」」」
何故かアリーチェも参加していた。
「短剣は超近接攻撃だから、攻撃したら直ぐに下がるか、走り抜けてもいい。素早さが1番大事なんだ。こっちの攻撃が当たる距離は間違いなく相手の攻撃も当たる距離だからね」
「「「はいっ!」」」
「それじゃあ、リラックスした状態で短剣を前に構える、そして素早く1歩前へ短剣を突く!そして1歩下がる。短剣が2本あるなら、両手に持って練習しようか、自分を斬らないようにね」
レベッカとサンドロは短剣を2本持っているが、アリーチェは1本しか持ってない。
アリーチェは何も持ってない左手を寂しそうに見つめていた………
「……基本は短剣1本なので、姫様は1本でお願いします………では10回始め!」
「「「はいっ!」」」
朝練も終わって、みんなで串焼きを食べていた。
「いや~、疲れるけどすごく楽しかったぁ」
マウロが嬉しそうにしていた。
アリーチェが今後の事を話す。
「今度の月曜日だから、4日後に、ジョバンニさんに朝練を見てもらったら、冒険者としての心得を教わりなら、森に魔物狩りに行きます」
マウロのテンションが上がる。
「おぉ~~やった!ついに!ついに来たか~~!!」
アリーチェがみんなに声をかける。
「それまでに頑張って鍛えて、少しでも強くなりましょう」
「「「「はいっ!」」」」
それからもみんなは、毎日練習を頑張った。
アリーチェもいろいろと、魔物狩り準備の買い物をした。
魔法は隠しているので、薬屋に行ってPTメンバー回復用のポーションを買った。
1番安い物で2千ターナもした。とりあえず4個買った。
日曜日に商人ギルドに行った。
オークションの人形の価格は前回程ではないが、それでも25万ターナで売れていた。
………………貴族万歳。
ジョバンニに教えてもらった通り、冒険者ギルドに冒険者の先生の、指名依頼を出した。
ジョバンニは銅貨1枚の依頼でいいよと言っていたが、アリーチェは銀貨1枚で依頼した。
それでも安いのだろうが、もっと出すとジョバンニに返されそうなのでアリーチェはこれくらいにした。
* * * * *
そしてついに魔物狩りに行く日がやって来た。
ジョバンニに朝練を見てもらったが、なかなか形になっていて大丈夫との事だった。
今日はスライムかウッピーを狩りに行くので、その連携の練習もした。
前衛のマウロとサンドロが、魔物の攻撃を盾で受け止めて、魔物のターゲットを前衛に向けさせる為に剣で攻撃、その隙に横からアメディオとレベッカが交代で攻撃。直ぐに盾役の後ろに隠れる。この繰り返しだった。
非常事態の時はジョバンニさんの後ろに避難するようにとの事だった。
みんなで冒険者ギルドに行って、常時依頼などの確認をした。
薬草や毒消し草などもあるが、今日の目的はスライムやウッピーなどFランクの魔物狩りだ。
ゴブリンやオーガは無理だ。でもマウロはレベルの高い依頼も覗いていた。
常時依頼には、ウッピーとタヌッキーの毛皮納品があった。
お肉もあるが使う予定があるので毛皮だけだ。
常時依頼は受付の必要が無いのでそのまま出発した。
* * * * *
みんなで西門から出る。
門番のミルコとメルクリオがいた。
「おはようジョバンニさん、子供たちを連れてどちらへ?」
「あぁ、冒険者の先生をする依頼でね、南の森にスライムやウッピーを狩りに行きます」
「なる程、あの辺りなら大丈夫だな、更にジョバンニさんがいれば安心だ。ではいってらっしゃい」
手を振るミルコとメルクリオ。
無駄に気合いの入った敬礼をするマウロのPTメンバーたち、勿論アリーチェも敬礼をしていた。
歩いて30分程で、南の森入口に着いた。
「この辺りはスライムとウッピー、タヌッキーなどがいる。好戦的では無いが、近づけば襲って来る事もあるから気を付けるように。狩人の様な魔物の気配を探れるメンバーがいれば、そいつが先行するが、今回は盾役が先頭だな。マウロ・アメディオ・レベッカ・サンドロの順で進もうか、サンドロは後ろの警戒も大切だぞ、では出発!」
「「「「はいっ!」」」」
ゆっくり少しずつ進むマウロ…
「いたぞっ!スライムだ!」
「よし、まずマウロが攻撃して、敵を引きつけてから、他のメンバーが攻撃だ。スライムは、身体の中にある丸い核以外への攻撃はほとんど効かないし、核を身体の中で動かして避けるから、よく狙うんだ。がんばれっ!」
「「「「はいっ!」」」」
「じゃあいくぜ!とりゃぁ~!」
マウロが最初に斬りかかった。
攻撃は当たるが核には当たらない、スライムはダメージを受けてない様だ。スライムがマウロに反撃の体当たりをしてきた。
ポヨ~ン…ボフッ!
盾で受け止めて、直ぐに反撃するマウロ、
「くっ!とりゃ~!」
マウロに続いてアメディオとレベッカも攻撃した。
「そりゃ~っ!」
「えいっ!」
なかなか核にはあたらなかった。
スライムがまたマウロに体当たりしてきた。
ポヨ~ン…ボフッ!
「んぐっ!大丈夫いけるぞ!」
そして全員でたこ殴り。
すると誰かの攻撃が核に当たり、スライムが水の様になって地面に染みこんでいく。
核の中にあった小さめの魔石だけが残った。
マウロが呟いた。
「やった倒した!」
ジョバンニが褒める。
「魔物を倒せたな、おめでとう!」
「「「「やった~~!」」」」
大喜びのマウロたちだった。
マウロがスライムの魔石を拾って、腰に付けている小袋にしまった。
アリーチェがみんなのHPを確認すると、マウロだけが4減っていた………
(攻撃を盾で2回受け止めてたけど…2ずつのダメージを受けたって事かな、まともに攻撃を受けたらスライムでも大変なのね。気を付けないと)
次に遭遇したのは、ウッピーだった。
ジョバンニがウッピーの情報を伝える。
「ウッピーは心臓の位置に核があるから、それを狙え、スライムと違ってすばしっこいから気をつけてな」
マウロが斬りかかる。
「おりゃぁ~!」
ウッピーはそれを避けて体当たりしてきた。
ぴょん、ガツッ!
盾で受け止めるマウロ、
「んぐっ!重いっ」
マウロはワンテンボ遅れて反撃するが、あっさり避けられてまた反撃を受ける。
ぴょん、ガツッ!
「ふぐっっ!おりやっ!」
マウロは今度は踏ん張って直ぐに反撃した、
その攻撃がウッピーにかすった。
「きゅ~!」
ウッピーが怒って更に反撃してきた。
ぴょん!ドガッッ!
「ふんぐっっ、くは!」
マウロにとってはウッピーの攻撃が強烈すぎて反撃出来なかった。
アメディオとレベッカが直ぐに攻撃した。
レベッカは避けられてしまうが、アメディオの攻撃が当たってウッピーが怯む。
「盾役、サンドロと交代だ!」
ジョバンニが指示を出す。
サンドロが怖がりながらも前に出た、マウロは少し下がり交代して息を整えるが、ウッピーを睨んでいた。
レベッカとアメディオが、サンドロの後ろに隠れると、ウッピーがサンドロに向かって攻撃してきた。
サンドロは怯えながらも、みんなの為に盾で攻撃を受け止める。
ぴょん!ドガッッ!
「ひえ~っ!」
反撃する余裕の無いサンドロに変わってマウロが攻撃に出た。
「うりや~っ!」
その剣先が、ウッピーの胸に突き刺さって、ウッピーが動かなくなった。
ウッピーから抜いた剣を、空に掲げてマウロは叫んだ。
「よっしゃ~~~!」
「「「やった~~!」」」
またまた大はしゃぎである。
ジョバンニがみんなに、ウッピーから魔石を取り出して捌いて見せた。
アリーチェはみんなのHPを確認する。
マウロは14減り、サンドロは4減っていた。
(マウロは3回の攻撃を受けて、最後の攻撃は怒ってたから少しダメージが多いとして、4・4・6って感じかな。3・3・8もあるのかまあいいや。怒った攻撃を受けたサンドロが4だから、防御力はサンドロの方が高いって事になるのか…………ぽっちゃりは伊達じゃないのね)
アリーチェは、トータルでHPが18減っているマウロをポーションで回復してみたら、1瓶でHPが全快した。
ポーション一瓶でHPが18以上は回復する事が分かった。
ジョバンニさんに聞いてみると、このポーションだとHP20回復するらしかった。
もう1匹ウッピーを狩って、本日は終了となった。ちなみにとどめはアメディオだった。
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