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精霊達はお友だち!

 水の精霊ウィンディーネと神の泉で出会った日。ディーネはアリーチェの家に遊びに来ていた。


 夕食を食べながら、エリス、アリーチェ、ディーネの3人でいろいろ話しをした。


 ディーネの恰好は出会った時とは少し違った。

 水の長い髪でキャミソールとスカートを着た、色白の女の子だった。

 アリーチェの魔力を少し消費すれば好きな格好になれるようだったので、誰かに見られても誤魔化せる様にと人に見える格好になってもらったようだ。


「でね、筋肉バカのイフリートがさぁ、ウィスプの言ったこと忘れちゃってやらないから、ボッコボコにされてたわ」


「ウィスプって怖いのね」


「ウィスプはSね、イフリート殴ってる時いつも口元が笑ってるし。イフリートは殴られてるのを筋肉で堪えてるというか、少し喜んでる気がするのよね。きっとイフリートはMよM!ウィスプは顔も頭も良くって一番のしっかり者なの。みんなをまとめてるのも彼女なのよ。魔法の先生ならウィスプが適任ね」


 鞭をもったSM女教師を想像して、怖くなるアリーチェ。


「そう………確かに厳しくて優秀そうね……」


「ウィスプや、ほかのみんなもだけど、いつ紹介しようか?」


 今までの話しを聞いて焦るエリス。


「えっとディーネちゃん?その話しに出て来てるSのウィスプって………もしかして精霊の?」


「もちろんみんな精霊よ、あっちゃんが呼べばみんな来るわよ」


 当然という感じのディーネに対し困惑気味のエリス。


「みんな呼べば来るって、ウィスプって聖属性でイフリートは火属性よね」


「うん、あっちゃんが召喚するって形になるんだけどね」


「アリーチェはディーネちゃん以外の属性も召喚出来ちゃうって事なの?」


「うん、最初から言ってるけどみんなよみんな、全部の属性よ!」


 普通は才能のある1属性の精霊と契約して召喚出来ればとても凄いことなのだ。

 もはやエリスの理解は追いつかなかった。


 アリーチェは精霊や召喚の事を知らないので、結局よく分かっていなかった。




 食事が終わって、みんなを呼ぶ事になった。


 ディーネが名前を教えて、アリーチェが呼ぶのを繰り返すと、リビングは精霊でいっぱいになった。

 声に出しても出さなくても、名前を呼ぶ事は重要らしかった。


 あり得ない状況に放心状態のエリス


 大勢いる精霊の中で、綺麗で威厳のある1人の精霊が一歩前へ出た。


「聖属性の精霊ウィスプです」


 丁寧にお辞儀をした精霊は、教会の白いローブを着たような格好に、長い杖を持っていた、そして背中に天使の羽が生えていた。


「闇属性のシェイドです」


 シェイドと名のった精霊は、丁寧なお辞儀をした後、アリーチェを観察する様にジッと見つめていた。

 執事のようなスーツに白い手袋、コウモリの羽があった。


「空間属性のランパスよ」


 ランパスと名のった精霊は、微笑んで腕を組みながら軽く手を振っていたが、組んだ腕の上には大きな胸が乗っていた。

 背中にはコウモリの羽が生え、黒髪でスリットの入ったロングドレスに手袋、ハイヒールと全て黒尽くめ、妖艶な雰囲気でとても色っぽかった。


「火属性の精霊イフリートだ」


 炎の様な赤い髪のツンツン頭で、マッチョな身体。

 髪型のせいで分かりづらいが角が2本あり、白のタンクトップ・Gパンにブーツ。右手の拳を握り締め、アリーチェに向けてポーズを決めていた。


「風属性の精霊シルフよ」


 羽衣のような白い服、トンボの尖った羽・風になびくライトグリーンの長い髪で、優雅な雰囲気だった。


「土属性の…ノーム…」


 小麦色の肌で鍬を持ち、麦わら帽子に茶髪のポニーテール、白いTシャツにGジャンとGパン。

 言葉少なに俯いていた。


「雷属性の精霊ヴォルトじゃ」


 雷の形の杖を持った仙人の様な腰の曲がったおじいちゃんだった。


「氷属性の精霊フラウですわ」


 自己紹介の前に、何故かディーネの横に移動して立った女の子は、キラキラ輝く白い髪で、白のスノボー系ファッションだった。


 アリーチェはディーネとフラウは仲良しなのだろうなと思った。


 全員の自己紹介が終わる頃には、あり得なさすぎてエリスは混乱していた。


(やってる事は精霊召喚よね。普通は精霊と契約するのは大変なんだけどアリーチェは大丈夫なの?………みんな精霊召喚の時は集中して詠唱するはずなんだけど、アリーチェはただ名前を呼ぶだけでいいみたいね…………属性も普通は適性のある1属性だけしか出来ないはずなんだけどアリーチェは大丈夫っと…………それが9人ってアリーチェなら問題なしっと…………明日もいい天気かしら)


 アリーチェはみんなを見わたした。


「アリーチェ4才です。よろしくお願いします」


 ペコリとお辞儀をした。


 精霊達の中には、微笑んでる者、表情のない者、微動だにしない者など様々だった。


「それでは、皆さんに三つほどお願いがあります。まず一つ目はアリーチェのお友達になってほしい事です。二つ目は魔法を教えて下さい。そして三つ目はこの世界の事を教えて下さいお願いします。嫌だと思う方は残念ですが諦めますので、いいよと思う方だけお願いします」


 精霊達は戸惑っていた。


 ウィスプが一歩前へ出て話し始めた。


「私達はみんな神様の指示を受け、アリーチェ様をお助けする為に参りましたので、全てアリーチェ様のお気持ちのままに」


(………彼女がSM女教師のウィスプよね)


 アリーチェはウィスプを目の前にして、怖くて少しドキドキしてきた。


「ん~手伝ってくれるのは嬉しいけど、気が進まないのにやってもらうのはみんなに申し訳ないから、嫌なことは嫌と断れる関係がいいの、だからアリーチェはみんなとお友だちがいいの」


 精霊たちがザワザワしていると、やはりウィスプが話す。


「分かりました。お友達になりましょう。異議のある者は挙手を………」


 精霊たちを見渡して、異議のある者が居ないのを確認してから、ウィスプはアリーチェを見た。


「全員一致でお友達ですアリーチェ様。これから宜しくお願い致します」


 アリーチェは、堅いやりとりに苦笑いしながらもお礼を言った。


「あっありがとうみんな。これからよろしくね」


 その後もウィスプが仕切って話しが進む。


「それでは、ご希望の勉強は私がお教えします。毎日行い、時間はアリーチェ様の都合の良い時間で致しましょう。魔法の練習は、全員が1週間交代で順番に教えましょう。最初の1週間は私が基礎をお教え、その後属性ごとに1週間交代で行います。如何でしょうか?」


 すでに女教師全開なウィスプに焦るアリーチェ


「はっはい!よろしくお願いします」


 ウィスプは口角を少し上げただけの作り笑顔をした。


「はい宜しくお願いします、アリーチェ様。今日はお疲れのようですし、始めるのは明日からにしましょう。では全員解散。私はまた明日の朝参りますのでこれで失礼致します」


 ウィスプがお辞儀をし終わって周りを見ても、精霊達が帰ろうとせず、みんな残っていた。


「ほらっ、全員解散!」


 少しユルいが大人の雰囲気のランパスが文句を言う。


「ウィスプばっかりアリーチェちゃんと話してずるいじゃない」


「そうだな、俺も話してないな」


 怒られたいのかMのイフリートもウィスプの敵にまわった。


「ディーネは遊んで行くから気にしないでいいわ」


 ウィンディーネに呆れる精霊たちだが、結局みんな帰らずアリーチェの家でゆっくりしていく事になった。



 エリスはリビングで寛いでいる精霊たちを見ながら悩んでいた。

 アリーチェの能力を秘密にする必要があるだろうと。

 世の中に知られている精霊全てに加え、知らない精霊も数人いたのだ。

 この精霊たちを一度に召喚出来て、その精霊達を維持できる魔力もある。

 4才でありえなかった。

 いや、教皇様でも出来ない事なのだ。

 エリスは混乱状態から抜け出せず、兎に角、寝る事にした。


 アリーチェは、残った精霊たちとワイワイ遊び、夜中過ぎにはみんな帰っていった。


 やっと精霊達が出て来ました。

よろしくお願いします。


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