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孤児院とマウロ達の為に!


 アリーチェは夜の中庭で洗い物をしながらマウロとレベッカに将来的な事を聞いてみた。


 マウロは冒険者として1人前になりたくて、レベッカは冒険者を仕方なくやってる感じだった。


 アリーチェが質問をした。


「孤児院出身者で、冒険者に成りたい子は他にいるの?」


 マウロが訝しみながらも答える。


「ん~どうかな。街の店で下働きとして働いてる者も居るし、スリや泥棒とかやってるのも居るけど、冒険者はいないな………10才過ぎてLV1じゃあな」


「マウロさんが信頼出来る仲間を集めて、PT組んでレベル上げしたらいいんじゃない?」


「はあ~~?無理無理」


「冒険者として強くなりたくないの?」


「そりゃあ強くなりたいけど、もし間違って俺が死んだら………」


 チラッとレベッカを気にするマウロ。


「マウロ兄のやりたいようにやってよ。あたいはついて行くからさ」


「いや、俺が冒険者をやるのはレベッカの………」


 二人の思いを察してアリーチェは提案をする。


「最初のレベル上げをアリーチェが手伝うわ!知り合いの冒険者に護衛をお願いするから絶対安全よ。レベッカさんもレベルを上げておいた方がいいわよ?身体能力も上がって何にでも役に立つから」


「いや、俺は護衛の冒険者を雇う金なんて無いぞ!」


「アリーチェが出すから大丈夫よ。初期装備もアリーチェが揃えてプレゼントするわ。その代わりにレベルが上がったらお願いを聞いて欲しいの」


「お前そんな金なんて無いだろう。お願いだってヤバそうだったら断るし………」


「お金は大丈夫よ。じゃあそれで決まりね!じゃあレベッカさんも合わせて4人PTが組める人数が集められるかしら?集まったら声をかけてね。レベッカさんも宜しくね」


「意外と強引だな………まぁ俺たちに何のデメリットも無いから捜してみるよ」

「あたいもマウロ兄の為になるならやってみるわ」


とりあえずメンバーを集めてくれる事になった。




  * * * * *




 夜。アリーチェは編み物をしながら悩んでいた。

 マウロとレベッカのレベル上げは、森に入った辺りなら、シドがいれば安全だとしても、精霊だから冒険者の基本的な事が分からないのだ。


(これからの為にも、最初はジョバンニさんに教えてもらった方がいいわね)




  *  *  *  *  *




 次の朝、アリーチェがラダック村特産品店の前を通ったら、今日の警備はジョバンニだった。


 さっそく冒険者の先生をお願い出来ないか聞いたら、快く引き受けてくれた。


「ギルドの依頼を受けてない時ならいつでもいいよ」


「いえ、ギルドに依頼としてきちんと出すのでお願いします」


「アリーチェちゃんのお願いだから、依頼じゃなくて大丈夫だよ?お金もかかっちゃうし」


「いえっ、仕事は仕事ですから、お金も何とかします!」


「アリーチェちゃんがそう言うんなら分かった。依頼が出れば引き受けるよ。金銭的に無理そうだったら言うんだぞ?」


 お金を用意するのは無理だろうと思って苦笑いになってしまうジョバンニ。




  *  *  *  *  *




 ダニエラに会いに来たアリーチェは、商人ギルドの個室に案内された。


「えっと個室じゃなくてもギルドに入った所のテーブルでも大丈夫ですよ?」


「いえ、もうアリーチェ様はギルドに登録された商人ですし、秘密保持の為に他人に話を聞かれないように気を付けた方がよろしいですよ」


 いろいろと秘密には心当たりがあるアリーチェは、素直に頷いた。


「では本日はどのようなご用件でしょうか?」


「まずはこれねっ!ダニエラさんへのプレゼント!」


 アリーチェは自分のリュックから、15センチくらいの大きさのアリーチェが編んだぬいぐるみを出した。

 毎晩寝る前に、せっせと編んでいたのだ。


「まあっ!これは………えっ?もしかして私?」


 紺色のリクルートスーツの様な服を着て茶色の長い髪をくるっと1つにまとめた髪型。デフォルメされているが誰が見てもダニエラと分かるぬいぐるみだった。


「はい、アリーチェが編みました。ダニエラさんへのお礼です。これからもお世話になると思うので、宜しくお願いしますの気持ちも込めて編みました」


 人形を嬉しそうに見つめるダニエラ。


「そんなお気になさらずとも………でも素敵なお人形をありがとうございます、大切に致します」


「気に入ってもらって良かったわ。あとこれをどう売ったらいいのか相談したくて来ました」


 いつもの30センチくらいの女の子のお人形が、アリーチェのリュックから出された。


 少し目が鋭くなるダニエラ。


「そうですね、商品として数が出回っている物ではありませんので、店で売るのではなくオークションが宜しいかと存じます」


「オークション?どうすればいいの?」


「はい、オークションは商人ギルドが運営しております。商品を商人ギルドに持ち込んで頂き、オークションリストとして1週間公開した後にオークションにかけられます。明日が日曜日なので次の日曜日のオークションに出品する事になります」


「じゃあそれでお願いします」


「分かりました。落札最低金額はどう致しましょうか?」


「金額の目安を知らないので、ダニエラさんにお任せでもいいかしら?」


「分かりました…………では1万ターナ以下でしたら私が1万ターナで購入致しますので、最低落札金額は1万ターナにしておきます。アリーチェ様は商人ギルドに登録済みですので、自動的に口座が開設されています。支払われたお金は、ギルドにお越し頂き確認後その口座に入金されます」


「口座かぁ、便利なのね。ではそれでお願いします」


「オークション会場は、貴族街の噴水広場にございます。貴族街に入るには申請が必要になりますが、当日オークションを御覧になりますか?」


「いいえ行かないわ。貴族が好きになれないし、絡まれるのもちょっとね」


「そうですよね、分かりました。ちなみに商人ギルドカードにもランクがありまして、FからスタートしてE・D・C・B・A、1番上がSランクです。Cランク以上は申請無しで貴族街に入れるようになります。アリーチェ様は登録したてでFランクと言う事になります。商人としての実績によってランクが上がりますので、頑張って下さい。アリーチェ様ならそれほど頑張らなくてもランクは上がって行くと思いますが………」


「ははっ………ランクを上げる必要も感じないけど、程々に頑張ります。ありがとうございました」




 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆


 読んで頂き有難う御座います。


【作者からのお願い】


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             m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆





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