ジョバンニさんに聞いてみた!
秋も深まり、ボスコの街もだいぶ寒くなってきた。
アリーチェにとっては、ラダック村に比べたら暖かいので、ティアードワンピース1枚で、意外と薄着で出かけていた。
今日は朝から冒険者ギルドの正面に来て、ジョバンニさんを捜していた。
入り口近くの柱の陰にいるのだが、ギルドに出入りする人達はみんな気が付いていた。
ジョバンニさんが通らないか見ながら待っていると、冒険者ギルドの仲から受付嬢が出て来た。
詰め襟ジャケットと膝丈巻スカートにロングブーツ。全身黒で所々に赤のラインが入った冒険者ギルドの制服を着ていた。
銀髪セミロング、25才くらいの受付嬢がアリーチェに声をかけてきた。
「おはよう、私は冒険者ギルドの受付のネムよ、外は寒いでしょ?誰か待ってるなら、中でも良いのよ、一緒に入りましょ」
そう言って手を繋いで、中に連れてってくれた。
(…格好いい、冒険者ギルドの受付の制服っていいかも…)
ギルドの中には、胡散臭いのが結構いたが、アリーチェが入ってきた事に、誰も文句を言わなかった。
ネムが空いてるテーブル席に座らせてくれて、ジュースも持ってきてくれた。
「ありがとうネムお姉ちゃん」
「いいのよ、ゆっくりしていってね」
そしてネムは、行列の出来ている受付に、ゆっくりと戻っていった。
(かなりの人数がネムお姉ちゃんを待ってたのね…)
ジュースを飲みながら待っていると、ジョバンニが入ってきた。
「ジョバンニさ~ん」
アリーチェが呼びかけると、それに気が付いたジョバンニが、アリーチェの横の席に来て座った。
「アリーチェちゃんどうしたの?冒険者ギルドにいて大丈夫だった?」
「うん、ネムお姉ちゃんが優しくしてくれて、ジュースもご馳走してくれたの」
「あ~なるほど、ネムさんが見ていてくれたなら大丈夫だ。それでどうしたの?」
「うん、ジョバンニさんに相談があって捜してたの」
マウロとレベッカのレベル上げの相談と、街の周りの魔物の事を聞いた。
「その友達のレベル上げは、やっぱりウッピーかスライムを地道に狩るしかないかな。同じくらいのレベルでPTを組んで魔物を狩って、緊急時用にPTに入らない高レベルの同伴者がいれば安全だね」
経験値の入り方も教えてくれた。
レベルが同じなら、倒した魔物の経験値が均等に分けられる。
レベルが1番高いPTメンバーより、2つ下がると均等割りの9割の経験値、レベルが4つ下がると均等割りの8割りの経験値、レベルが6つ下がると均等割りの7割の経験値しかもらえなくなる。どんどん下がっていって、レベルが20以上離れると0割…つまり経験値がもらえないらしい。
「まぁそこまで低い人とPT組む事はしないけどね。魔物の攻撃を1つ受けただけでも死んでしまうようなレベルの低い冒険者を連れて行ったりもしないしね」
「そ~なんだ~、ありがとう。あと、街の周りの魔物の事も知りたいの」
「ははっ…まるで狩りにでも行くような感じだね…。まぁ森の中に入らなければ、シドさんがいれば安心だけどね」
ジョバンニさんは街の周りの事も教えてくれた。
ラダック村のある西から東へ、ボスコの街を真っ直ぐ貫通するように街道が走っている。
街の南と北には、それぞれ山があり、街と山の間の森を、南の森、北の森と呼び、ラダック村のある西方面の街道沿いの森が西の森、東の街道沿いの森が東の森だ。
街からの方角そのまんまだった…。
魔物はどの森も、入り口近くはFやEランクの魔物がいて、深く入るにつれ、魔物ランクが上がっていくそうだ。
北と南と西の森は、Dランクまでの魔物しかいないらしかった。
ラダック村から来る時に、オーガに遭遇したのは異例の事だったようだ。
東の街道沿いの森には、Cランクの魔物もいるようだ。
「シドさんが一緒だとしても、あまり無茶はしないようにね、どうしても必要なら僕らPTも行くから声をかけてね」
「シドさんと一緒に考えます。ありがとうございました」
アリーチェはぴょんとイスから降りて、空のコップを片してから、ネムお姉ちゃんにお礼を言ったら、ギルドの外までアリーチェを手を振って見送ってくれた…受付に並んでいる人達は大人しく待っていた…。
(なんでネムお姉ちゃんはアリーチェに優しいんだろう…)
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