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ダニエラさんに相談してみた!


 神楽に音楽が無い事に気づいたアリーチェは、この世界の楽器事情をダニエラに聞きにいった。


 商人ギルドの個室で話しを聞いた。


「ええ、いろいろとありますよ。例えば、バイオリン、フルート、オルガン、ギター、ハープなど色々です」


「おお~!充実してる!でもあまり楽器を見かけないし、音楽を聴いたこともないわ」


「そうですね、楽器は高価な物で、音楽は王宮や貴族が楽しむもので、王城や貴族の屋敷でしか演奏されないですね。たまに吟遊詩人が小さめのハープを弾いてますが、話しに合わせて音を出してるだけですので、音楽と言う認識とは少し違うかもしれません」


「とりあえず楽器があって良かったわ。、無かったら神楽笛かぐらぶえ神楽鈴かぐらすずを作らなきゃって思ってたから」


「かぐらぶえ?かぐらすず?いったいそれは何でしょうか?」


「えっと、神楽笛は口に加えて吹くと音が鳴る楽器で、神楽鈴は………棒の先に幾つも鈴が付いていて降ると鈴が鳴るの………。その楽器の音楽に合わせてアリーチェが踊ろうと思ってるの」


「儀式的な感じなのかしら………」


「ん~そうかも、儀式的なのもあるし、テンボよく踊って、観てる人が楽しめるのもあるよ」


「踊りで人を楽しませるの?演劇とは違うのかしらね」


「おぉ~演劇があるのね。みんなを楽しませるのは一緒かな」


「そうでしたか、それですと公演をする為に、商人ギルドに登録して頂く必要があります」


「へぇ~そうなんだ、でもアリーチェはまだ7才だけど、登録は何才から?」


「商人に年齢は関係ありませんので7才でも大丈夫ですよ。それでは今登録してしまいましょうか?」


「えっ出来るの?」


「はい、アリーチェ様さえ宜しければですが」


「是非お願いします!」


「分かりました。手続き用の羊皮紙を持って参りますので、少々お待ちください」



 ダニエラは羊皮紙を持って戻って来た。


「では名前を書いて頂いて、アリーチェ様の血を一滴名前の横に垂らすと登録完了です」


「名前は芸名でもいいの?」


「芸名?あぁ踊る時は違う名前と言う事ですか………羊皮紙に書くのは本名の必要があります。本名であれば1部分でも大丈夫てす。たとえば、私はダニエラ・オリヴィエーロなので、ダニエラでも、オリヴィエーロでも大丈夫てす」


「そっかぁ………じゃあアリーチェかぁ」


 小花このはな咲良(さくら)で登録して活動すれば姉が気づきやすいからと考えていたアリーチェは残念がった。


(まぁ登録名が違っても踊る時に小花咲良を名乗ればいいか、本名なのになぁ…………ん?)


「ダニエラさん、アリーチェじゃない名前で1回試してみてもいい?」


「えっ?ええ、本名で無かった場合は、血を垂らすと直ぐに名前が消えますので試しても大丈夫ですが……」


 ダニエラは違う名前を試す意味がよく分からなかった。


「ありがとう」


 アリーチェは、羊皮紙に漢字で小花咲良このはなさくらと書いた。


 この世界に来ている姉への思いを込めて、血を一滴垂らす。


(お姉ちゃんを見つけられる可能性が増えるから、お願いっ!)


 血が染み込むと、少し遅れて羊皮紙が光り出し、その光りは形を変え、2枚のカードの形になって消えていった。


 ダニエラは信じられないと言う表情をしていた。

 羊皮紙に代わって机の上にある2枚のカードの内1枚をアリーチェに渡す。


「本名以外が登録されたのは初めてです…………やはりアリーチェ様は不思議な方ですね」


 アリーチェが受け取ったカードには、2匹の蛇が巻きついた杖の紋章が現れていた。


「もう1枚のカードは、商人ギルドで大切に保管致します。事後報告になりますが、商人ギルドの登録料は銀貨1枚かかります」


「ええ~~!アリーチェ持ってないよ?」


「いえアリーチェ様は必要ご座いません。勝手に進めて申し訳ありませんが私に支払わせて下さい。アリーチェ様への投資といいますか、私がしたくて勝手にお支払いしていますので、今後もお支払い頂く必要がありません。どうかお許しください」


 銀貨1枚の価値は分からないが、申し訳ない思いのアリーチェ。


「金銭の貸し借りは些細な金額でも人間関係を壊すとお姉ちゃんが言ってました。アリーチェが出世したら絶対払いますからね!必ず払いますからね!」


「フフッ、アリーチェ様への投資は私の楽しみなのですが………それでは貸し借りではなく、私の奢りではどうでしょうか?いつの日かアリーチェ様が、私に銀貨1枚分奢って頂くと言う事でどうでしょう?」


「よく分からないけど分かったわ!将来必ず奢るから待っててね」


「はいお待ちしております。フフッ、私のわがままにお付き合い頂きありがとうございます」


「こちらこそ相談に乗ってくれてありがとう。また相談があったらお願いしますね」


 お辞儀をして帰ろうとするアリーチェの耳元に顔を近づけて、ダニエラがささやいた。


「本名が二つ…………と言う事なのでしょうか、小花咲良このはなさくら様」


 ダニエラは好奇心溢れる目で見送っていた。


(ダニエラさんに秘密なんて無理かも…………ずっと味方でいてくれるかしら)


 冷や汗をかきながら、不自然に右手と右足を一緒に歩くアリーチェだった。



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆


 読んで頂き有難う御座います。


【作者からのお願い】


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         m(_ _)m


 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



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