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精霊との出逢い!

 ラダック村の神の泉で神様と話し終えたアリーチェは、透き通った泉を見つめていた。


 これからやるべき事は解った。

 異世界の人々を変える事。

 魔法を覚える事。

 お姉ちゃんを探す事。

 自分としてはダンスをしたいし、神楽もやりたい。


 ふと気がつくと神の泉のまん中に、清らかな水が少女の姿を形作って浮いていた。

 背中には羽があり、まるで妖精の様な姿をしていた。

 その少女が水面の上を、ゆっくり飛んで近づいてきた。


 アリーチェの近くまで来ると、ペコリとお辞儀した、


「あたしはウィンディーネ………水の精霊なの………と申します」


 ぎこちないながらも挨拶をする水の精霊ウィンディーネ。


 呆然とするアリーチェ


「綺麗だわ………水の精霊?魔法もあるし居るのね………そうよね。私はアリーチェよ」


 ウィンディーネは丁寧な言葉を使うようにと頑張った


「アリーチェちゃんかぁ、可愛い名前ね………です、えっと………ですね、神様がね………ですね、全部の神様と全部の精霊にね………ですね………アリーチェちゃんのちからになってあげてだって………おっしゃったのね………だから………急いで遊びに来たの!………です」


 ウィンディーネが頑張って丁寧に言おうとしてるのを見かねてアリーチェが言う。


「丁寧に話すの大変でしょ?友だちみたいに気楽に話していいわよ、えっとそれで………遊びに来たのね?」


「うん、そうよ!だって力になってあげてって遊ぶ事でしょ?………違うの?」


「う~ん、楽しくて元気になるし、間違ってなくもないかな……うん、合ってるよ。じゃあ友達になりましょ」


 ウィンディーネは一瞬固まってしまった。


「友だち?私精霊よ?」


「えっ?精霊だと友だちになれないの?」


「う~ん、みんな精霊とは契約と言うかたちで主従関係を結ぶのよ。命令する側とされる側ね。友だちじゃあないかな」


「友だちの方が良くない?その方が楽しいわよ」


「いいの?」


「勿論よ!えっ、だめ?」


 ウィンディーネは少し考えるが、すぐ嬉しそうな表情になった。


「勿論ウィンディーネもいいよ!じゃあ私たち友だちね!」


「私の事はアリーチェって呼んでね。ウィンディーネはちょっと長いから、ディーネって呼んでもいいかしら?」


 戸惑うウィンディーネ


「えっディーネ?」


 アリーチェは微笑んだ。


「親しい友だち同士は、あだ名で呼ぶのよ?」


 ウィンディーネは嬉しかった。


「うん!ディーネっでいいよ!じゃあアリーチェの事は………あっちゃんって呼んでいい?」


「ディーネが考えてくれたんだからいいよ」


「うん、よろしくねあっちゃん!」


「よろしくねディーネ!」


 神の泉でにまにま笑い合う二人だった。



 アリーチェは魔法を覚えたい事や、お姉ちゃんを探したい事なんかを相談した。


「お姉ちゃん探しは解らないけど、魔法の先生なら適任者を知ってるわ。紹介しようか?」


 悩む様子のアリーチェ


「う~ん………そろそろエリスママが戻って来るから、時間がないのよね」


「そっかぁ残念、あんまり他の人には見られない方がいいから、また今度かな」


 悩むアリーチェ


(ディーネに会う為に一人で神の泉まで来れるかな………かなり心配されるわよね……よし!エリスママには少しだけ本当の事を話そう!)

「ディーネの事をお友達としてママに紹介してもいい?」


「お友だちとして?………もちろんいいよ!だってお友だちだもん!」


 お友だちとしての紹介に嬉しくなりながらも緊張するディーネ。



 そして用事を済ませたエリスが神の泉に戻ってきた。


「アリーチェお待たせ、気になってた事はもう大丈夫?」


 もじもじするアリーチェ


「その事なんだけど…じつはお友だちが出来たから、今紹介したいな~なんて」


 エリスはぱぁっと笑顔になった。


「あら良かったじゃない、村の誰かしら?」


 アリーチェは、周りを見渡して、人がいないのを確認してから言う。


「可愛らしい子よ、ディーネっていうの、じゃあ呼ぶわね、ディーネ~!」


 キョロキョロ周りを見るエリス。


「何処かしら………」


 するとアリーチェの横の泉の上に水の精霊が現れた。


 エリスは子供の頃に召喚された水の精霊を遠くで見たことはあったが、これほど近いのは初めてだった。

 驚きと共に神秘的な美しさに見とれてしまっていた。


「ディーネよ………と申します」


 ペコリ!


 ディーネは初めてのお友だちとしての紹介だから、言葉づかいもお辞儀も気をつけた。


 我に返ったエリス


「水の精霊よね?………お友達?」


 複雑な表情のアリーチェ


「さっきお友だちになったの、それで………毎日ここまで遊びに来てもいいかな?」


 精霊としてではなく、大事なお友達として考え込むエリス


「そうね、アリーチェ一人で毎日は来れないし、ママも毎日は来られないわね、それに雪が積もったらママでも無理ね」


 友達として受け入れられているみたいで、ディーネが嬉しそうに提案する。


「ディーネがあっちゃんの家に、毎日遊びに行ってもいいよ?」


 驚いた顔のアリーチェ


「えっ?家に来られるの?」


「うん大丈夫だよ、水のある所が1番楽だけど、無理すれば火山でも大丈夫だよ、永くは居られないけどね」


(ディーネが家に来られるのなら、冬の間でも魔法の勉強も練習も出来るわ)


「エリスママ、ディーネを家に呼んでもいい?」


 困ったような表情のエリス


「いろいろと聞きたい事もあるし、家なら人目を気にしなくていいか………じゃあ、家の中ならいいわよ」


「「やった~~!」」


 喜んで両手を繋いで廻っているアリーチェとディーネ。



 家に戻ってテーブルを囲み、ディーネも入れた3人で話し合っていた。


「ディーネちゃんって呼んでいいのかしら?」


 だいぶ緊張もほぐれてきたディーネ


「うん、あっちゃんのママだからいいよ」


「ありがとう」


 エリスは気になってる事があった。

 何故、アリーチェの側に精霊が居るのか分からなかったのだ。

 本来魔法使いが長年1つの属性の修行をして、その属性の精霊に気に入ってもらって契約して、魔法で召喚して初めて現れる者なのである。

 そして召喚している間は魔力を消費するので、あまり永くは召喚出来ない筈なのだ。


 エリスは疑問を口にした。


「少しだけ確認するわね。精霊は魔法使いが契約して召喚のかたちで現れるのよね?」


「うん、そうだよ」


「そうよね、じゃあディーネちゃんはアリーチェと契約して召喚されてるの?」


「ん~確かに普通は契約するけど、あっちゃんとは契約はしてないよ?」


「そう、召喚では無いって事なのね。じゃあ遊びに来るってどう言う事?」


「そりゃあ友だちだもん遊びにくるよ!もちろんあっちゃんが困ってたら助けるし、呼んでくれたら来るよ。呼ばれなくても来るかもしれないけどね」


 ウィンディーネはアリーチェにウィンクした。


 結局エリスにはよく分からなかった。


 アリーチェは知らない事ばかりだったし、よく分かっていなかった。


 エリスはもう一つ忘れていた事を聞いてみる。


「あとね、精霊が現れる時って、召喚魔法だと魔力が必要だと思ったけど、今のディーネちゃんには必要ないの?」


 これもアリーチェは知らない事だったので、そうなの?って感じでディーネをみる。


 するとディーネは当然の様に答えた。


「そりゃあ魔力は必要よ」


「えっ?その魔力は何処から?」


「そりゃあ、あっちゃんの魔力で来てるよ?………あっそっかぁ、魔力としては召喚と同じ形になるのかな」


 目を見開いて驚くエリス。


「えっ!………アリーチェには4才で精霊召喚が出来る程の魔力があるの?」


 通常は8才で行われる教会の儀式後から魔力が現れ始めるのだが、それが4才でただ魔力があるだけじゃなく、精霊を召喚出来る程の魔力がある事になるのだ。


 エリスは嬉しくて少し涙ぐんでいた。

 この世界で魔力があると言う事は、将来貴族にもなれるし幸せになれると言う事なのだ。


「そう………アリーチェには魔力、つまり魔法の才能があるのね………良かったわ幸せになれるわね」


 エリスはアリーチェを抱きしめた。


「エリスママ?」

「ママは嬉しいのよ、教えてくれて有難うねディーネちゃん」


 エリスはディーネも一緒に抱きしめた。


【作者からのお願い】


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