ボスコ観光!
ボスコの街に到着した次の朝。
中庭でアパートの住民レベッカと出会った。
部屋に戻ったアリーチェはルカと朝食を食べていた。
「パパのお仕事は明日からにするから、今日は一緒に街を見てまわろうか」
笑顔になるアリーチェ。
「やった~ありがとう!ところでルカパパのお仕事って何をしてるの?」
「そっか、まだ教えて無かったな。パパは冒険者をやってるんだ。Eランク冒険者だからEやFランクの依頼だよ。街の中での雑用や荷物運びなんかの依頼がいっぱいあるから、安全で自分に合ったのを選べるんだ」
「へぇ~、魔物と戦う訳じゃないんだね。街の中なら安心ね」
「まぁ街だと魔物からは安全だけど、変な人もいっぱいいるから、依頼内容よりも依頼主を慎重に選ぶかな」
「へぇ~そ~なんだ、大変なんだね」
(シモーネみたいなのがいるって事かぁ………それも嫌ね)
* * * * *
朝食も済んでアリーチェは、ルカと一緒に街の観光に出た。
アリーチェたちが借りたアパートは、西側の街外れで街を守る防壁の直ぐ横にあり、更に平民街とスラム街の境目にあった。
防壁沿いを歩いて西門の前に出て、大通りを歩いて昨日行った中央広場に来た。
日の光に照らされた中央広場はとても綺麗で心躍るものだった。
建物の白壁に施された彫刻やオブジェ、歴史を感じる木造の建物、広場は多くの人々で賑わっていた。
昨日は気が付かなかったが、遠くにはお城が見えた。
「おっ?!おぉ~!お城~!!王様がいるの?」
「あぁ、あれは、王族が住んでる訳ではなくて、この街の領主様のお城だよ。王様は王都のお城に住んでるんだよ」
「へぇ~、お姫様とかはいないの?」
「お姫様も王都だな。でもこの街で王様にあたるのが領主様で、王子様やお姫様にあたるのが領主様の息子や娘さんかな。アリーチェと同い年の娘さんが居た筈だから、学校に行ったら会うかもしれないね」
「そうなのね、いい娘だといいな~」
広場を見渡すと、商人ギルドや冒険者ギルドとは違う立派な建物があった。
「あの白くて立派な建物はなあに?」
「あ~あれは教会だ、ロンバルディア教のボスコ教会だよ。今度の春にアリーチェが儀式をやる場所だよ」
「へぇ~あれが教会なのか………」
アリーチェはイザベラ司祭の事を思い出していた。
(イザベラ司祭は王都から来たって言ってたけど、ここに居るのかしら………気をつけないと)
魔力隠蔽は寝ている時も無意識で出来るようになっていたが、何があるか分からないので気を引き締めるアリーチェだった。
中央広場を見た後は、東門から西門を結ぶ大通りを南側に渡って、少し治安が心配になる平民街にある屋台広場に行った。
街は北側が1番高台にあり、南に行くにつれ全体が少しずつな下がっている。
お城があるエリアが1番の高台で治安が良くて、その南に貴族街がある。
次に中央広場のある少し裕福な平民街、そして東門から西門まで通ってる大通りを渡り屋台広場のある平民街。
南に行くほど治安が悪くなっていき、1番南にスラム街があるそうだ。
四角い造りの屋台広場は、名前の如く屋台が所狭しと並んでいた。
屋台のせいで道は狭くなり、人の往来も激しくて人とぶつからない様に歩くのが大変だった。
食材のエリアと、直ぐに食べられる食べ物エリア、雑貨エリアに衣料品エリアなど、何となく分かれていた。
ゴブリンの串焼きを買ってもらって食べたら、まあまあ美味しかった。種類にもよるが、ランクが高い程美味しいらしい。
ウッピーはFランクだけど美味しい種類だそうだ。
お昼を串焼きで済ませて、次は学校を見に行った。
学校は中央広場のすぐ近く、治安のまあまあいいエリアにあった。
2高さ2メートルくらいの塀に囲まれていた。
校門の隙間から、2階建ての校舎と広い校庭が見えた。
今はまだ中に入れないので、今日は外から見るだけだった。
お城のエリアも貴族街も、正当な用事がないと入れてもらえないので、中央広場を通ってアパートに戻る事にした。
中央広場でニッチェさんとツェドゥンおばさんに会った。
「ニッチェさ~ん!ツェドゥンおばさ~ん!」
「「あら!」」
「アリーチェにルカさん」
「こんにちは、今アリーチェにボスコを案内していた所です」
「そっか、初めてだもんね、アリーチェちゃんボスコの街はどうだった?」
「いやも~!立派な建物が多くてびっくり!お店も人もいっぱいでとても楽しかったわ!」
「それは良かった、学校も行くんだし慣れとくといいわよ」
「うん分かった。ニッチェさんはここで何してるの?」
「私たちはね、ラダック村特産品のお店を出す空き店舗を探してたの。商人ギルドに紹介してもらった幾つかの候補はあるんだけど、中央広場に面した良い場所はとても高くて。次は広場の裏側を探しに行く所よ、村のみんなの期待も背負ってるし、慎重に選んでるとなかなか決まらなくてね」
「アリーチェもお店楽しみにしてるね!」
「ははっ、頑張るわ」
アリーチェの更なるプレッシャーに、苦笑いのニッチェとツェドゥンだった。
ニッチェたちと別れた後、アリーチェたちは屋台広場で、夕食と明日の朝食の食材を買ってアパートに帰った。
夕食の準備でアリーチェが水汲みに中庭に出ると、20才くらいの危険な感じの男の人が水を汲んでいた。
そっとドアに隠れるアリーチェ。
水を汲み終わった男の人が声をかけてきた。
「水の魔道具空いたぞ」
恐る恐るドアから顔を出してのぞくアリーチェ。
「水、汲むんだろ?いいぞ」
「あっありがと………」
チラチラと男の人を見ながら、水の魔道具の下に桶を置く。
男の人はずっと腕を組んで見ていた。
「新しい住人か?」
ヤバい雰囲気にビクッとしながらも答える。
「はっはいっ、ラダック村から来ましたアリーチェです。よろしくお願いします」
恐る恐るお辞儀をした。
「おぅ、親は居るのか?」
「はいっ、母は村に残り、父と一緒に来ました」
「なんだ両親とも居るのか」
その後何も言わずに、男は自分家のドアに入っていった。
(なんかヤバい感じだったけど何事もなくて良かったわ………)
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