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商人シモーネと神の怒り!


 アリーチェはシモーネを睨みつける。



 なんで睨んでるのか分からないシモーネ。


「なんだその目は!子供といえども不敬罪で極刑にするぞっ!」


 ニッチェが自分の後にアリーチェをかばう。


「小さな子供になんて事言うんですか!怖がってるでしょう」


「ふんっ、子供だったらもっと教育しておけ、領主様代理の私に失礼な態度をとれば、極刑と言う天罰が下るんだぞ!」


 アリーチェは閃いた。


「天罰ね………」


「そうだ天罰だぞ、私に逆らって死ぬのは天罰なんだぞ。だから言うことをきけ」


 呆れるニッチェ。


「小さな子供相手に何馬鹿な事を言ってるのやら」


 ニッチェの後ろに隠れながら、アリーチェは小声でウィスプに話しかけていた。


「ウィスプ、ウィスプ、話せるかしら?」


 神の泉の裏にウィスプとシルフの姿があった。


≪≪「シルフの魔法により、小声でも伝わりますので、どうぞお話し下さい」≫≫≫


 アリーチェはシモーネの連れている魔法使いの魔力がたいしたこと無いのは、会った瞬間に分かっていたので、精霊達に手伝ってもらってもバレないと考えたのだ。

 そしてさっき閃いた、戦わずに済んで精霊の事もアリーチェが魔法が使える事も隠して何とかする作戦を伝えた。


≪≪「とゆう作戦なのウィスプ、戦わずに、精霊の事も、魔法が使える事も隠して、何とかする作戦なんだけど、どうかしら?」≫≫


 ウィスプの声が耳元に届く。


≪≪「面白い作戦だと思いますアリーチェ様」≫≫


≪≪「じゃあすぐにでもお願いするわ、ニッチェさんが危ないし、アイツが憎たらしくてしょうがないの」≫≫


≪≪「分かりました。では作戦を開始致します」≫≫


 怒りまくっているニッチェ。


「いい大人が子供に対して恥ずかしく無いの?大人げないでしょ!」


「子供だろうが関係ないんだよ!ふざけた事をすれば死ぬのは一緒だ!さあどうするんだ?人形と編み物を持ってくればお前も子供も助かるんだがな」



 神の泉の側に隠れて立っているウィスプ、その隣にはシルフとシェイドとヴォルトが居た。


≪≪「シェイドは旅人の姿でアリーチェ様のお側へ行ってお守りして、そして………」≫≫


 ウィスプはシルフシェイドとヴォルトに作戦の全てを伝えた。


≪≪「と言う作戦よ、いいわね!じゃあヴォルトは雷魔法の準備をして隠れて待機。咲良様に危険が迫ってるわ!作戦開始っ!」≫≫




「まったく………周りで見てる奴らもこいつらを助けたかったら、人形と編み物持ってくればいいんだぞ?いつまでも持って来ないと、周りのお前達も極刑でどんどん減るだけだぞ?」


 周りで見ていた村人達も怯えていたが、咲良やニッチェを見捨てて逃げる事も出来なかった。


 人垣の間から執事の服装をした男が歩いてアリーチェとニッチェに近づき、2人を守るようにシモーネとの間に立った。


「かよわい女性にたいして声を荒げて、大人げないですよ?貴方は女性を大切に出来ないんですか?」


「なんだ貴様はっ!」


「変なのに絡まれてる女性たちをお守りする為に参りました」


「はあっ変なのだとぉ!俺様に逆らうとかとんでもない馬鹿だなお前。守るとか言ってるが素手じゃないか、直ぐに死ぬぞ?」


「武器など無くても守って見せますよ。貴方たちは5人も居るけど大したこと無さそうですから………あれっ、素手の私が怖いのですか、なんともまあ、臆病な方々だ」


「きっさま~~っ!不敬罪だっ!もう我慢出来ん!構わんその女も子供も斬り捨てろ!」


 護衛たち4人は、全員が剣を抜き、魔法使いは杖を構えた。



 シェイドは、「相手に剣を抜かせなさい、その後は手を出さず、ただアリーチェ様を守りなさい」とウィスプに指示されていた。


「皆さん武器を構えましたね。本当は全員私の手で終わりにしたいのですが、私の役目はここまでなのが残念です」


 本当に残念そうにシェイドは言った。


「なに訳の分からない事言ってんだ、死んであの世で後悔するんだな!お前ら殺れっ!」


 護衛たちが前にでる。


 シェイドはアリーチェとニッチェを守るように立っている。


 その時、神の泉がまばゆく光り、泉の上に女神が現れた。


 シモーネたちも村人たちも、突然現れた神々しい女神に見とれていた。


 光り輝く女神にふんするウィスプ。


≪≪「じゃあシルフ、広場全体に声が聞こえるようにお願いね」≫≫


≪≪「ええ、任せて」≫≫



 女神にふんするウィスプ。


 《《《『『この聖なる神の泉の前で、武器を手にしている者は誰じゃ!神に剣を向けたも同然!その者一族の命を持って償ってもらうぞ!』』》》》


 状況がよく分からないが、言われている武器を持っているのが自分たちである事は何となく理解するシモーネたち。


「なんだ?何が起こってるんだ??」


《《《『『そこの商人と武器を持つ者よ、見ておったぞ。其方がこの神聖なる広場で武器を持ち出したのじゃな、其方たちとその一族全員に責任をとってもらおう。先ずは其方たちに天罰を下す!』』》》》


 調子に乗っているのか、両手を広げて杖を天に掲げるオーバーリアクションのウィスプ。

 ウィスプの表情はいつものように口元だけが笑っていた。


「ちょっと待てっ!待って!おっ、おまっ、お待ち下さい!」



≪≪「シルフ、商人と男4人以外に耳と目をふさぐように伝えて」≫≫


 広場に居る、シモーネら5人以外の者たちが目を閉じて耳をふさいだ。


 それを見たシモーネたちは益々狼狽えた。


「「「「いったい何が??」」」」


《《《『『さあ!神の天罰を見るがいい!!』』》》》


≪≪「ヴォルト!誰にも当てないように5人の近くに落として!」≫≫


≪≪「やっと出番じゃな、当てられないのが残念じゃな、そりゃっ!!」≫≫


 広い空全体が一瞬光ったかと思うと、大きな音が鳴響いた。


 ピカッ!!

 ドガガガガァァァァ~~ン!!



 広場のシモーネたちがいた周りに、黒く焦げた5つの大きな穴が開いていた。


 シモーネたち5人は全員腰を抜かして地面に尻もちをついていた。


「ひいっ……」

「うあぁあああぁ」

「あぅっあぅっ……」


 シモーネは震えていた。


「こっこっ………これは神の怒り………古い書物で読んだ事がある………間違いない、神の怒りだ………」



≪≪「じゃあシルフ、商人たち5人だけに聞こえるようにお願い」≫≫


≪≪「オッケ~いいわよ」≫≫



《《《『『命を奪わなかったのは、一度きりの慈悲じゃ、じゃが2度目の慈悲は無いぞ。今後、神の泉を守りし村人に害を及ぼす者には天罰を下す。目の前の幼女に害する者は、天罰に加えて死しても未来永劫闇の中であると知れ。じゃが、幼女に助力する者には、慈悲を与えるやもしれぬ…………今後の人生、こころして生きよ』』》》》



 役目を終えたウィスプ


≪≪「作戦終了!シェイド以外全員撤収!」≫≫


 支持を出した後、徐々に弱くなる光りと共にウィスプは消えていった。



 シェイドは落雷から身体を張ってアリーチェ守っていた。

 一緒のニッチェさんもたまたま守ったかたちになっていた。


 一通り落ち着いてから、シェイドはシモーネを振り返る。


「さてどうしますか?神様は見ていたようですが」


 まだ腰を抜かして震えているシモーネ。


「わっ………私は………」


「このまま村人に酷いことを続けますか?」


「………しっ、しない………私はそんな事してない!ただ街に帰ろうとしてたところだ。村人に酷いことかしてないぞ、何を訳の分からない事を言っておる。さあお前たち帰るぞ」


 護衛たちは尻もちをついたまま呟いていた。


「おっ俺は生きてる…………」

「………その子に手を出さなければ生きていられる?………」

「………神様お許しを………」


 シモーネも冷や汗をかいている。


「その落ちてる武器を拾うんじゃないぞ?拾った奴は知らんぞ?」


「あぁそうだよな、俺達はこの広場に、武器なんて持って来なかった………」

「そうだ持ってこなかった」


 商人と護衛たちは武器を拾わずに、怯えながら帰って行った。




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 m(_ _)m


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