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レベルアップって凄いのね!☆1


 ラダック村は朝から雪が降っていた。

 本格的な冬の到来である。



 アリーチェ家では、寒い冬の室内に、イフリートは欠かせない。

 朝から部屋の片隅でイフリートが筋トレをしているので、外が雪でも室内は暖かかった。


 昨日の初めての魔物討伐では、エリスの視察によるアリーチェの安全の確認とレベルアップの目的を十分に果たしたから、今日は家族と家でゆっくり過ごしていた。



 朝食後はみんな自由に過ごしている。


 エリスは編み物。

 昨日、エリスのレベルが10も上がった事で、自分が思ったよりも身体が動いてしまうようだった。

 毛糸を引っぱりすぎて切ってしまったり、力を入れすぎて棒針を折ってしまったりと思うように編み物が進まなかった。

 

「もぉ~、全然上手くいかないわ」


 エリスの呟きにウィスプが返した。


「急にレベルが上がり、意識と身体との間で調整が上手く出来てないだけです。身体能力も器用さも上がってますから、馴れれば前よりも早く上手に編めるようになります」


「そっか、レベルが上がるってこんな感じなのね、気ながにやってみるわ。ありがとうウィスプ」


「いえ、どう致しまして。ただ、1日でレベルが10も上がるなんて普通はありませんので、無理もないかと思います」


 その横ではキレッキレでダンスの練習をしているアリーチェが居た。

 もはや別人と化したアリーチェは、レベルアップの凄さを実感していた。


「昔ほどではないけど、動きやすくなったわ。レベルアップって凄いのね」



 夕食の準備の時、キッチンにはエリスとノームがいた。

 ノームはエリスが食材を生かして魔法のように料理するのに感心していた。

 なので最近はエリスがキッチンで何かする時は、必ずノームがいる……本当は娘アリーチェの役目なのだが。


 夕食には昨日狩ったウッピーのお肉が出た。

 通常は干し肉にした保存食なので、新鮮なお肉を食べる事はめったにない。

 アリーチェは今まで干し肉しか食べた事が無かったので、ウッピーのお肉がこんなに美味しいとは思わなかった。

 アイテムボックスに新鮮なお肉はいっぱいあるから、これからの食生活がお肉三昧になりそうだ。




 夜のリビングで、最近体調が悪そうなエリスに、アリーチェが問いかける。


「エリスママ具合悪そうね、大丈夫?」


「心配かけてごめんね、でもこれは大丈夫よ、ありがとうね」


 笑顔で答えるエリスだった。



 夜寝る前の寝室で、いつものように窓から外の、星空を眺めていたアリーチェ。


 日本で見ていた星空よりも綺麗だった。

 星々の並びは、知っている星座に似ていた。


「とても綺麗な星空ね。エリスママ、星座ってあるの?」


 エリスは優しく微笑みながら答える。


「ええあるわ、神様や精霊の姿になってるのよ」


 エリスは、アリーチェを膝の上に乗せて、夜空の星を指差しながら教えてくれた。


「あの1番輝いている星が、聖なるアテナ神様が、右手に持つ黄金の杖よ。頭にオリーブの小枝で作った冠を乗せ、肩にフクロウがいるの……見えそう?」


「ん~、何となく…手足と…肩に何かあるくらいは…」


「フフッ、それで充分よ」

エリスは左手で、アリーチェを後から抱きしめながら、右手で次の星を指差す。


「アテナ神様から右下に少し行くと、横に3つ並んだ明るい星がみえる?」


「あっあるある~~!」


「3つ並んだ星が、ポセイドン神様の腰のベルトで、三つ叉の槍を投げようと、振り上げて構えてるところよ……あの星が両肩で……槍の先にも薄く小さな3つの星があるけど…わかりそう?」


「ああ~っ!だんだん見えてきた~!へぇ~神様いっぱい居るんだね」


「そうね、神様は属性ごとだから、7人いらっしゃるわね」


「へぇ~……7人?9人じゃなくて?いつも来てる精霊達は、それぞれ属性が違って神様も違うみたいだよ?」


「そぅ……なの?星座になってる7人の神様は……聖・闇・火・水・氷・風・土ね」


「ふ~ん、そっかぁ………シェイドもランパスも闇属性って言ってたかな、同じ闇属性よね。でも上位属性だと違うって言ってたかな………分かりずらいね。あっ!ヴォルト爺は確か、雷属性だったわ」


「雷属性?聞いたことないわね。でもそう言われるとこの前は、確かに雷が落ちたわね」


「前にウィスプが教えてくれたから、ちょっともう一回ウィスプに聞いてみるね、教えてウィスプ~!」


 トントン!


 直ぐにドアをノックする音が聞こえた。


「はいどうぞ~入っていいよウィスプ~」


 ウィスプが素直に登場する事が少なく、やり取りが面倒くさいアリーチェは、もう付き合うのを辞めていた。


 ドアを開けてウィスプが入って来た。


「よく私だとおわかりで、さすがアリーチェ様です。でご用件は何でしょうか?」


「前に教えてもらったと思うんだけど、神様と属性の数について教えてほしいの」


「わかりました」


 ウィスプの話した内容はこうだった。

 この世界での常識とされている属性は7つ。


 聖・闇・火・水・氷・風・土。


 上位属性にすると、

 神聖属性(聖)

 暗黒属性(闇)

 火炎属性(火)

 大海属性(水)

 氷河属性(氷)

 大気属性(風)

 大地属性(土)の7つ。


 そしてこの世界で知られてないもしくは忘れ去られている属性がある。

 ランパスの時空属性(闇)

 ヴォルトの雷電(雷)

 神癒属性(月)


 エリスは唖然としていた。


「人数が多いなぁとは思っていたけど、知られてない属性なんて………魔法を使ってるのを見られたら大変ね」


「確かに新しい魔法は騒ぎになりそうですね。しかし神様としては別に隠してる訳ではなく魔法の研究者が発見出来て無いだけですので、広めて頂いてもかまいません。通常は研究者が新しい魔法を発見すると、その魔法を研究して精霊と契約して、更に研究して神様の加護を得るのです。一人の研究者の一生では無理な事なので、何世代もかかかる事になります。現在アリーチェ様はすべての魔法を使えますので、まだ子供の時にその事を知られると、確かに危険かもしれませんね。アリーチェ様が教皇とか世界のトップになり、みんなに教える状況になれば少しは違うと思います」


 表情の抜け落ちたエリス。


「そう……………周りの大人たちが何をしてくるか分からいものね」


「ふわぁ~~………説明ありがとうウィスプ………」


 事の重大さをあまり分かってないアリーチェは、あくびをしてかなり眠そうだった。




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 m(_ _)m

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