いざ!魔物の森へ!☆3
少しでも安全に昼食を食べる為に、転移魔法陣の洞窟前まで戻ってきたアリーチェたち。
木漏れ日を浴びながらの昼食は、とても美味しく心も身体も癒され精霊たちはとても楽しそうだった。
昼食を食べながら、魔物が少なくて弱い事をみんなに相談したが、誰も分からなかったのでもっと遠くへ足を延ばしてみる事にした。
転移魔法陣の洞窟から、崖沿いに進む事1時間。
途中にウッピー2ひき、スライム2ひきを倒した。
スライムは、なんか可愛くて倒す気にならなかったが、アリーチェは身の安全の為に倒した………
…………ウィスプが
(ウィスプお姉さまが、早く倒しなさい的な目で、ジッと見てるのが怖くって…………ごめんなさい………スライムちゃんたち)
そしてスライムたちを倒したタイミングで、レベルアップ!
アリーチェとエリスはLV5になった。
(ありがとうスライムちゃんたち…………)
なかなか強い魔物が見つからないので、今日は初日だからこれ位で、そろそろ洞窟に戻ろうかと言う時に、アリーチェはコンベアーよりも強い魔力を感知した。
行ってみるとそこにいたのは、ロックゴーレムと言うCランクの魔物だった。
頑丈で攻撃力もあり、魔法耐性もある。
通常、冒険者が倒すには厄介な相手だ。
戦えば剣がダメになり、魔力もかなり消費してしまう。
普通は遭遇したら逃げるのが定石だ。
ロックゴーレムは好戦的ではないので、逃げても追ってこないのだ。
しかしアリーチェのPTには、好戦的なのが一人いた。
イフリートだ。
一人で戦いたいと言いだした。
イフリートはこれまで歩いて着いてくるだけで、ウィスプの命令に従って何もしていなかったのだ。
周りに木もが少ないのと、今までの我慢を考慮して、ウィスプからOKが出た。
嬉々としてイフリートはロックゴーレムに向かっていった。
ロックゴーレムの身長は4メートル超えで、イフリートは1.8メートル。
身長差はあったのでアリーチェはやられちゃうんじゃないかと思っていたが、互角の戦いをしていた。
互角に見えていたが、何故かイフリートは魔法を使っていなかった。
「まだまだ行くぜ~~!メガトンパ~~ンチ!」
ドッカァ~~ン!
「せいやっ!せいやっ!」
ガコンッ!ガコンッ!
ロックゴーレムの右膝を徹底的に狙うイフリート。
ロックゴーレムもお返しに重いパンチを繰り出す。
「フゴ~~!」
ガッキィ~ン!
それほど早い攻撃ではないので避けられると思うのだが、イフリートはロックゴーレムの攻撃を避けずに両腕をクロスさせて受け止めて堪えていた。
イフリートとロックゴーレムの戦闘中に、こちらに近づく魔力をアリーチェは感知した。
「何かがこちらに近づいてくるわ。魔力の大きさや感じからすると、コンベアーだと思うわ。ロックゴーレムとは反対方向、距離40メートル、総員戦闘準備っ!」
「了解っアリーチェ様!ロックゴーレムはイフリートに任せ、念の為シェイドがイフリートのサポートに付いて。ヴォルト爺とノームがコンベアー迎撃の準備っ!」
みんなが陣形を組み直してる間も、イフリートは楽しそうに戦っていた。
イフリートはロックゴーレムの攻撃を耐えてまた直ぐに右膝への攻撃を繰り出す!
「はあ~~!」
ドッガァ~ン!
「せいっ!」
ドッガァ~ン!
「後方の魔力近づいて来るわ!距離30メートル!………20メートル!……」
「ノームが相手の動きをけん制!ヴォルト爺が迎撃!」
「やっとわしの出番じゃな、孫娘の前で情けない格好はみせられんからの」
「スピードが上がったわっ!残り10メートルっ!来るわ!」
茂みの間からもの凄い勢いでコンベアーが現れた。
コンベアーはその勢いのまま1番小さいアリーチェに襲いかかろうとする。
アリーチェを守るように前に出るノーム。
ウィスプもアリーチェを自分の後ろに隠す。
コンベアーはアリーチェに向かってさらにスピードを上げた。
ノームが手を前に向けると、高さ2メートルのアースウォールが現れた。
コンベアーは、アースウォールを飛び越える為にジャンプした!
イフリートはロックゴーレムの右膝へ連続攻撃を入れていた。
「せいっ!せいっ!せいやっ~!」
ドガァ~ン!
ついに右膝を破壊した。
「フゴ~ッ!」
ドドォ~ン!
ロックゴーレムはバランスを崩して地面に倒れ、その顔がイフリートの目の前に来た。
イフリートは右手の拳に魔力を集中させ、ロックゴーレムの顔面に向けて、渾身のストレートを放つ。
「はああぁぁぁ~~っ!!」
時を同じくして、ヴォルト爺がアースウォールを飛び越えようとジャンプしたコンベアーを睨みながら右手で空を指さした!
雷によって一瞬にして周りすべてが真っ白になる!
ピカッ!ドゴオォォ~~~ン!
ドッガアァァァァ~ン!
イフリートの渾身のストレートとヴォルト爺の雷攻撃の音が同時に鳴り響いた。
森には静寂が訪れアリーチェが状況を確認すると、アースウォールの前の大穴には黒焦げで転がっているコンベアーと、イフリートの側には頭部が砕けたロックゴーレムの倒れている姿があった。
イフリートはロックゴーレムの動かなくなった拳に手を重ねて話しかけていた。
「強かったぞロックゴーレム!其方との戦いは忘れないからな!」
アリーチェたち女性陣4人は、いきなり目の前への落雷で涙目でへたり込んでいた。
何とか自分を取り戻したアリーチェがウィスプを見ると、ヴォルト爺を杖でポカポカ殴っていた。
アリーチェもエリスもへたり込んだままでまだ立てなかったので、ウィスプを心の中で応援した。
イフリートがロックゴーレムを、ヴォルト爺がコンベアーを倒した時に、アリーチェとエリスはレベルが5も上がった。
なんと今日一日でLV10になったのだ。
レベル1桁で、Cランクの魔物を倒したのだから、上がって当然なのだ。
アリーチェもエリスも何もしてないのだが………、
成果は十分なので、本日はこれで帰る事にした。
ヴォルト爺の落雷のせいでみんなもう戦う気にならなかった。
ヴォルト爺をこれからはじじいと呼ぶ事は、女子みんなの中で決定した!
【作者からのお願い】
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