いざ!魔物の森へ!☆2
魔物の森を進むアリーチェと精霊たち。
アリーチェが感知した魔力の近くまで来ると、執事の様な服装のシェイドが、ウサギの魔物を見つけた。
「魔物が居ましたが、あの魔物ですか?姫様」
そう、シェイドはアリーチェの事を姫様と呼ぶのだ。
最初に、アリーチェ様と呼ぶウィスプとシェイドに辞めてくれと言ったのだが、ウィスプは変えてくれなかったが、シェイドはもっとダメだった。
自分の仕える神様の加護がある方に、アリーチェ様は確かにふさわしくないと、変えてくれたのだが………
これからは姫様とお呼び致します………と言ったのだ。
益々悪化した!!
もはやアリーチェに打つ手は無かった。
「そうね、感知した魔力はこの魔物で間違いないわ」
そしてアリーチェは後ろを振り向いて、木の間から見えるもといた崖を確認した。
そしてもう一度ウサギみたいな魔物を見る。
(およそ50メートルくらいかしら……距離の基準は……メートル法でいいわよね)
「これからの為に、距離の基準を伝えます」
アリーチェは地面に1メートルくらいに線を引いた。
「これ位の長さを1メートルとします。今歩いて来た崖からの距離が50メートルくらいかな。これからはこのメートルで距離を伝えるわ」
アリーチェはみんなが戸惑うのなど気にしなかった。
「じゃあ魔物討伐よ」
さっそく戦いたそうなイフリート。
「あの魔物はFランクのウッピーだな、ぴょんぴょん跳ねてすばしっこいんだぜ」
ウィスプはイフリートを一瞥してから、
「アリーチェ様が魔法で倒してみてはいかがでしょう?森の中なので水魔法が、一番木々に優しいかと思います」
「わかったわ、やってみる!」
初めての魔物との戦いで少し緊張するアリーチェ。
片手を上に上げて集中して、ディーネに最初に教えてもらった魔法を使う。
「『ウォーターアロー』!」
アリーチェが上げた手の上辺りに、水の矢が5本現れた。
上げた手をウッピーに向けて降ろすと、5本の矢が飛んでいく。
ウッピーは全て避けようとしたが、5本目の矢が当たりなんとか倒せた。
「やったの?倒せたのよね」
初めてだし矢が1本しか当たらなかったので、倒せてるか半信半疑のアリーチェ。
エリスはウォーターアローの本数に驚いていた。
「すっ凄いわねアリーチェ、魔物を倒したけど……」
(魔法の矢の数は、熟練した魔法使いで多くて3本、精霊が4本って誰かが言ってたような…………)
魔物の森の中。倒したウッピーの側に立って、どうしたらいいか解らないアリーチェ。
ウィスプが教えてくれた。
「魔物の体内には、水晶のような魔石があり冒険者ギルドや商人の店に持って行けば必ず売れます。魔石によっては高額で取引されます。魔物の身体もいろいろな素材や食材として、買い取ってくれます。冒険者の収入源ですね」
「ウッピーのお肉は、柔らかくて結構美味しいのよ」
エリスが持っていたナイフで、手際よく捌いて魔石も取り出してくれた。
「なるほど、倒した魔物の素材は持ち帰った方がいいのね」
アリーチェはウッピーと魔石に手を触れて、アイテムボックスに収納した。
それを間近で見たエリス。
「……今のそれって便利ね、荷物を持たなくていいのね」
ウィスプが説明してくれる。
「アリーチェ様のアイテムボックス魔法で収納すれば、大きな魔物も大丈夫です」
「そんなに持って帰つても、食べきれなくてダメにしちゃうんじゃない?」
「アリーチェ様のアイテムボックス魔法は、上位の時空属性なので、空間内の時間が進みません。アイテムボックスにしまっておけば、食材はずっと傷みません」
「ふ~ん、便利ね………アイテムボックスにしまっておけば新鮮って事なのね」
アリーチェがふとエリスを見ると、手にはみんなのお弁当が入った籠を持っていた。
「エリスママ?その籠をアイテムボックスに入れておこうか?」
「そうね………お願いしようかしら」
アリーチェが籠に触れた瞬間に消えて、アイテムボックスにしまわれたようだった。
その後、ウッピーを1ぴき狩った後に、大きめの魔力の所に来たアリーチェたち。
ウィスプがDランクのコンベアーという魔物だと教えてくれた。
白くまが、紺色のたすきをバッテンのように肩から掛けた模様をしていた。
早速、アリーチェが魔法の連続攻撃をする。
「『ウォーターアロー』!」
「『アイスアロー』!」
半分当たり半分は手で弾かれて、白くまが怒り出す。
「ウッピーと比べたら、やっぱり強いのね」
すると、アリーチェがトドメを刺しやすいようにみんながサポートしてくれる。
ノームが穴に落とし。
シェイドが麻痺させて。
フラウが頭以外を氷漬けにしてくれた。
後はアリーチェがコンベアーの眉間を狙って魔法を放つだけ、至れり尽くせりだった。
少し強い槍の魔法をノームがボソッと教えてくれたので、その『ロックスピアー』を使う。
「『ロックスピアー』!」
アリーチェは無事にコンベアーを倒せた。
(………動けない的に魔法を当てただけよね………まあ良しとしよう、何故ならレベルアップしたから~~!!)
「やった~!レベルアップ~~!」
(身体が軽くなる感じが3回あったのでLV4だろう。Fランクのウサギのウッピー2ひきでは上がらなかったけど、Dランクの白くまはやっぱり強かったか………コンベアーさんありがとう)
なんと横でエリスも喜んでいた。
「なんかママも身体が軽くなったわ!」
「そうなの?やったね!エリスママ!」
見ていただけで何もやってないエリスは苦笑いしていたが、それでも嬉しそうだった。
何故そうなったのかをウィスプが説明してくれる。
「魔物を倒して得た経験値は、PTで配分されます。エリス様もPTメンバーに入ってますので、経験値も入ります」
「そういえばママも一緒に円陣組んだものね………申し訳なかったわ」
「エリスママと一緒にレベルアップって凄く嬉しいもの。気にしないでエリスママ」
アリーチェもエリスも、レベルが3つも上がって喜んでいた。
戦わずしてレベルアップしたエリスがウィスプに質問する。
「PTメンバーがこんなにいるのに、Dランクの魔物で3つ上るのね、それだけ魔物が強いって事かしら」
「確かに魔物1体の経験値を、PT人数で分けるので、メンバーが多ければ1人当たりの経験値は少なくなります。しかし今回のPTですが、我々精霊は召喚されて戦ってますので、アリーチェ様の召喚魔法です。経験値の入るPTメンバーはアリーチェ様とエリス様のお2人だけですので、経験値はお二人で山分けとなります」
「へぇ~~、だから1体倒しただけで3つもレベルアップするのね。お得な感じだわ。身体が軽くなったし凄く強くなった気がするわ」
いろいろと話してる間に、コンベアーの魔石はシェイドが取りだしてくれていた。
「どうぞ姫様。捌いておきました」
「ご苦労さま、シェイド」
シェイドには、こう言ってあげると嬉しそうにするのが、だんだんアリーチェにも分かってきた。
「勿体なきお言葉、ありがとう御座います」
(服装も行動も執事っぽくて従順で、何事も顔に出さないけど、何となく分かるかも………あっ!なる程、Sな対応しても顔に出なくてつまらないから、ウィスプお姉さまはシェイドには絡まないんだわ!)
アリーチェは変な事情を考えながら魔石とコンベアーの身体を収納して、待望のお昼休憩をする事にした。
書き進めてくると、過去に自分が書いた話を読み返す事が増えてきました。間違いがあったらすいません。
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