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魔物討伐の準備!☆4


 アイテムボックス魔法の練習を終えたアリーチェは、岩を収納してイフリートの所に戻ったらもう洞窟は完成していた。



 入口の大きさは丁度良かったが、洞窟の中は違った。


 小屋くらいでと言った筈だが……


 “まかせた!”と言ったからなのか、とても広かった。

バレーボールが出来そうな広さだ。

 まかせてしまったのだから文句も言えず、アリーチェはお礼を言う。


「ははっ、とても頑張ってくれたのね、ありがとう」


「おうっ!もっと広い方がいいと思ってたんだが、シルフに崖が崩れるからと止められてな、仕方なくこの狭さだ。すまんな」


 シルフはイフリートの横で苦笑いしていた。


「あっ、そうなんだ、とっても広いと思うわ。リートもシルフもありがとね」


 シルフが止めてくれたのはファインプレーだった。

 アリーチェの中でシルフの信頼度が爆上がりだった。


 洞窟の中にはイフリートが壁に幾つも火を灯してくれていた。


 炎に照らされた洞窟の中で、ランパスがアリーチェの肩に手を置いて転移魔法陣設置の体制になる。


「では始めましょうか」


「はい」


 アリーチェは目を閉じて集中を高めていってから詠唱を始める………


「偉大なるヘカテー神にたまわりし冥府めいふ影法師達かげぼうしたちわれは神と共にあり、其方達そなたたちと共にある。我意思わがいしに準じて、今精霊と共にその力を、転位の魔法陣として顕現けんげんせよ」


 ほのかに青く光る転移魔法陣が徐々に現れ始めた。


 目を開いたアリーチェの前には、青や白に光る魔法陣が存在していた。

 複雑な模様だが何となく小屋の魔法陣と中心部が少し違っていた。


「まん中の模様って、あんなだったかしら?」


「あら気が付くのが早いわね。この魔法陣の名前って言うか住所みたいな物かしらね。テレポートしたい魔法陣の真ん中の模様がそれぞれ違うから、正確にイメージしないと、行きたい場所の魔法陣には行けないのよ」


「魔物の森へ来るには、この模様って事なのか、忘れないようにしないとだね………」


 じ~っとアリーチェは魔法陣を見つめた。


「思い出せなかったら、私がお手伝いするから大丈夫だけど頑張ってね」


 頑張ってるアリーチェを微笑ましく見つめるランパス。


「それじゃあアリーチェちゃん。それぞれの魔法陣も完成したし、洞窟を岩で内側からふさいで、テレポートで村の魔法陣に帰りましょうか」


「そっか、洞窟をふさぐ岩を出すのね……」


 アリーチェは洞窟の入口の内側に立った。


「たぶんこの辺りかな………」


 アリーチェは恐る恐る右手を差し出し高さも調整した。


「慎重に慎重に………ここかな、『アウト』!」


 大きな音はしなかったが、

ズズ~ン!と言う地鳴りの様な重低音を響かせて、洞窟の入口をふさぐように大岩が現れた。


「やった!結構上手くいったわ」


 入口を塞いでも、洞窟内はイフリートが灯してくれた灯りと、魔法陣のほのかな光りに照らされて神秘的な雰囲気だった。


 洞窟内に残っていたランパス、イフリート、シルフが魔法陣の上に集まる。


「アリーチェちゃん、テレポートはね、この世界の点と点を、異空間で繋いで移動するのよ。今回はとても近いけど、距離が遠くなるほと魔力が必要になるわ。じゃあサポートするからテレポートをやって見ましょう」


 笑顔で優しくアリーチェの肩に手を置くランパス。


「はい、頑張ります!」


 アリーチェは手のひらを上に向けて両腕を広げる。


 アリーチェが目を開き唱える。


「偉大なるヘカテー神にたまわりし冥府めいふ影法師達かげぼうしたちわれは神と共にあり、其方達そなたたちと共にある。我意思わがいしに準じて、今精霊と共にその力を顕現けんげんせよ」


 魔法陣が更に輝きだす。


「『テレポート』!」



 みんなが魔法陣の眩い光りに包まれていった。


 徐々に魔法陣の光りが弱くなり、消えた後には誰も居なかった。





  *  *  *  *  *




 アリーチェの家の小屋では、魔法陣が輝きだした。


 まばゆく輝いた後、弱まっていく光りの中には、アリーチェたちの姿があった。


 テレポート魔法が成功して、少し落ち着いたアリーチェ。 


「ふぅ~~成功した~~。ありがとうランパス」


「いえいえ、私もホッとしたわ」


 アリーチェも精霊達も微笑んでいた。




  *  *  *  *  *




 アリーチェの家ではいつもの光景となった精霊達みんなと一緒に食べる夕食。


 アリーチェがエリスに明日の事を話す。


「転移魔法陣が完成してテレポート魔法も成功したから、明日魔物討伐に行こうと思うの。エリスママはどうかな?」


 とうとうきたかと言う複雑な表情のエリス。


「そう、わかったわ。明日行きましょう」


 食後のリビングで、明日の魔物討伐のPTメンバーが、ウィスプから発表される。


「多すぎても邪魔なので精霊は4人。アリーチェ様の護衛が私、エリス様の護衛がフラウ、前衛はイフリートとシェイドです。もしも魔物の群れに遭遇したり、不測の事態に陥った場合は、必要に応じて精霊を呼び出します。みなさん何か質問はありますか?」


「ディーネも一緒に行きた~い!」


「遊びではないので却下。他には?」


「むぐぅ」


 気にせず話しを進めるウィスプ。


「と言う事で、精霊4人でまいりますので、アリーチェ様エリス様、宜しくお願い致します」


「ありがとうウィスプ。アリーチェは着いて行くだけでいいの?」


「いえ、PTの心得や魔法の練習の為に、魔法での攻撃などをして頂いこうと思います。まずは雰囲気に慣れたら徐々にお願いしますね」


「うん分かった、やってみるわ」


 エリスはルカもそうだが冒険者を知っているので聞いてみた。


「装備はどうしたらいいのかしら?」


「アリーチェ様もエリス様も、普段着で大丈夫です。少し寒いですから、厚手の防寒着などいいかもしれません。あと昼食を魔物の森でする事になるかと思いますので、お弁当をお忘れなく」


「そっそう?普段着でいいの?寒くないような服装………昼食のお弁当もか…………まるでピクニックに行くみたい」


(魔物の森にはCランクの魔物がいるのよね?)


 何がなんだか分からなくなるエリスだった。


やっと………やっと次回は魔物と戦います。


【作者からのお願い】


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           m(_ _)m


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