ロンバルディア教会での戦い!☆2
クリストフィオーレ皇国謁見の間。
玉座の後ろから光りが漏れてきたのでモーリス国王とシーナ女王が振り向くと、転移魔方陣が光りを放ち始めていた。
光りはどんどん強くなり、転移魔方陣の中央に幾つもの光る何かが現れ始めた。
「何かが転移してくる!」
表の広間の兵士たちは、みんな立ち止まって玉座を見上げていた。
モーリス国王とシーナ女王が驚いていると、魔法陣の光りが収まった後には、ガンドルフ帝国に居る筈のカルロス国王と騎士団員たちが立って居た。
≪≪さあ、クリストフィオーレに着いたわよ≫≫
「「えっ?」」
「「あっ、ありがとう御座います女神様………」」
ランパスが無事転移出来た事を伝えたが、みんなの反応はいまいちだ。
実際騎士団員たちは魔法陣の光りに包まれただけで、着いた場所はそう変わらない薄暗い広間だ。着いたと言われても半信半疑だった。
カルロス国王は咲良を気にしながらも、黒い女神姿のランパスに御礼を言う。
「女神様ありがとう、助かりました」
その時、いつの間にか玉座から立ち上がっていたモーリス国王の叫び声が聞こえる。
「カルロス国王!!」
転移してきたみんながモーリス国王を見上げると、横にシーナ女王も居た。
国王と女王が居る事に焦った咲良は、すぐにランパスとウィスプに撤収指令を出す。
<マズいわ!ウィナ、ラン姉、すぐに撤収して!>
<わっ分かりました>
<オッケー>
ウィスプとランパスはすぐみんなに語りかける。
≪≪妾はもう帰る!皆の者達者で暮らせよ!≫≫
≪≪じゃあね~≫≫
「「あっ女神様」」
「「ありがっ………」」
御礼を言おうとする騎士団員を無視し、ウィスプとランパスは速攻で消えた。
カルロスは咲良をジッと見つめていたが、何も言わず玉座に居るモーリス国王に手を振った。
(よしっ!バレずに乗り切ったわ!)
咲良は小さくガッツポーズをとった。
* * * * *
モーリス国王、シーナ女王、カルロス国王は別室に移動してそれぞれ状況を説明した。
勿論カルロス国王は咲良の気持ちを尊重して、全て女神様のお陰と説明した。
「そっそんな事ありえないだろ……」
信じられないと言うモーリス国王にカルロス国王も同感だった。
「まぁそうだよな………でも実際転移魔方陣で転移してきてここに居る訳だし、信じてもらうしかないな」
「……………」
「そんな事より急いだ方がいいんだろ?教皇様」
「んっ?ああそうだった!兵士たちの準備も整っているだろうからすぐに出発する!」
「俺も一緒に行くぞ!」
「そうかそれは助かる」
「あと、一緒に来た中に剛腕のジャンが居るんだが、彼にも事情を説明してどうするか聞いてみたいんだがいいか?」
「勿論だ、戦力は多い方がいいからな」
そしてモーリス国王は出発の準備に向かい、カルロス国王はジャンたち家族に説明しに行った。
「と言う訳なんだ。どうする?ジャンたちも一緒に来るか?」
カルロス国王はジャンに聞きながらも咲良を意識していた。
「勿論だ!ここからだと急いでも一日はかかるだろ!すぐに向かおう!」
「よし!」
カルロス国王と共にジャンとジャックは走り出した。
その後ろから声がする。
「咲良は残るわ」
三人とも立ち止まって振り返った。
「「「えっ?」」」
そこでジャンは自分のせいじゃないかと気がついた。
「あっすまん、抱えるの忘れてた」
「走るのが面倒くさい訳じゃないわよ!あれ結構辛いんだからね!」
咲良は文句を言いつつジャンとジャックの耳元で理由を囁いた。
<えっとね、咲良だけなら魔法で飛んでいけるでしょ?そしたらすぐよ>
「ああ」
「そう言う事。一緒に行けないけど大丈夫か?」
「うん、合流しちゃえばレオナルドさんとか強そうだったし大丈夫でしょ」
「よし分かった!俺たちは俺たちで行くからお嬢ちゃんも気をつけるんだぞ」
「うん!行ってらっしゃい」
またジャンと共に走り出したカルロスは一人だけ訳が分からなかったが、色々と納得していた。
(レオナルドと合流とかって言ってたが、教皇様の護衛をしているレオナルドの事だよな………これで教皇様は大丈夫か。それよりもさくらって名前だと分かったぞ!!)
変なところでテンションの上がるカルロスだった。
* * * * *
戦闘の続くロンバルディア教会。
スブラに苦戦しているレオナルドの所へ、気を利かした部下が盾を持って現れた。
「レオナルド騎士団長!受け取って下さい!」
部下はレオナルドに盾を投げた後、すぐ教皇を守るように周りの魔族たちと戦い始めた。
レオナルドは盾をキャッチし礼を言う。
「助かった!感謝する!」
そのタイミングでクロエ教皇の回復魔法によりレオナルドの身体がほんのりと光り、受けたダメージが回復した。
「ああ~~っ!僕はひとりで戦ってるのに回復なんてずるいぞぉぉ~!!」
盾をしっかりと握りしめると、レオナルドは少し落ち着きを取り戻した。
「それなら、後ろで見てる奴と二人でかかってきたらどうだ」
ゾスマが小馬鹿にしたように笑う。
「ふん、スブラに押され気味の奴が言うセリフではないだろう。強がるのも大概にしろ」
「なんかムカつくから少し本気出っしゃおうかなぁ~」
スブラは剣と盾を構えたレオナルドに、今までよりも強く攻撃しにいった。
「ほおぉ~~~!ほぉ~らほらほらほらほらほらほらっ?へぶぐっ!」
キンッカンッキンッカンッキンッ!
ドガンッ!
レオナルドはスブラの斧とハンマーの連続攻撃を難なく裁き、反撃を食らわせた。
「いったぁぁ~~っ!」
「最初だけは手加減をしてやったが、次からは斬り捨てる」
「余裕かましやがってぇぇ~~!ゾスマ団長手を出さないでよぉ、ぼくちゃん怒ったぞぉ~~」
「ああ、手はださんから早く終わらせろ」
「ふしゅゅゅ~~~っ!ほあぁぁぁぁあああ!!」
スブラは全身に力を込めて魔力を集中させると、上半身だけが逞しくなり、歪な体つきになった。
「…………これまた、キモいな」
「おじさんビビってるねぇ~、魔王様のお陰でこんなに強くなれるんだよねぇ~~」
「いいからかかってこい」
「ぐぬぅ~~やっぱムカつくぅ~~。もう遊ぶのはやめだぁ!ぶっこわしてやるぅ!」
上半身が大きくなったスブラは、レオナルドに覆い被さるような体勢で、今まで以上の連続攻撃を繰り出した。
「ふおおぉぉ~~~~!ほらほらほらほらほらほらほらっ!ほらららららららららぁ~!」
「なんっ!一撃が重い!」
キンッカンッキンッカンッキンッカンッキンッ!
キンッカッキッカッキッカッキッカッキンッ!
始めは焦っていたレオナルドだったが数回で慣れ、剣と盾を駆使してなんとか全てを捌ききった。
「ぐぬぬぅ~~生意気生意気~~!もう次は絶対避けられない攻撃するから終わりだぁ~~」
「同感だ、私も次で終わらせてもらう!」
後ろで見ていたクロエ教皇は角1本の魔族がAランクのレオナルドを押している事に驚きを隠せなかった。
(角1本の魔族は強くなってもBランクくらいだと思っていたけど、魔王の力ってこんなにも強力なの)
スブラがレオナルドに襲いかかる。
「ふおぉぉ~~~!ほぉ~らほらららららららららっ!うしろらああぁっ!!」
キンッキンキキキキキキキキッ!ドスンッ!
「うぐっ!がはっ!」
「レオナルド!!」
背中に攻撃を受け剣を支えに片膝ついたレオナルドに、クロエ教皇が思わず声をかけた。
「僕ちゃん後ろも攻撃出来ちゃうんだもんねぇ~~。それにしても丈夫だなぁ。グサッといってドバッと血が出て終わる筈だったのになぁ」
スブラが調子に乗って喋っていると、レオナルドの背中が光り傷が治っていった。
「うああぁ~~~!卑怯者~~!1対1の戦いなのに人族やっぱり卑怯者~~!」
「ありがとうございます」
「大丈夫?」
「はい、強化魔法もかけて頂いてますし、相手の攻撃は分かりましたので次は大丈夫です」
「うぬぅ~~生意気生意気ぃぃ~~!もう次はバラバラになるまでやめないからなぁ~!」
そう言うとスブラは、レオナルドに飛びかかっていった。
「ぶおぉぉお~~!ほぉ~らほらほらほらほらっ!ほららららららららららっ、はぁっはぁっ………」
キンッ!カンッキンッカンッ!キカキカキンッ!
カンッ………
「はぁっ、はぁっ、はあっ………あれっ?」
スタミナ切れなのかスブラの動きが止まった。
レオナルドはチャンスとばかりに首を狙いにいった。
「はあっ!!!」
レオナルドの剣は弧を描いてスブラの首に吸い込まれて行く。
スブラの目は虚ろで、全く反応出来ていなかった。
「マズいっ!」
ゾスマ団長はハンマーでレオナルドをぶん殴りにいった。
ゾスマの全力はレオナルドの剣よりも早かった。
その時、詠唱を終えていたクロエ教皇が神級魔法最後の言葉を唱える。
「『パーフェクトシールド』!」
クロエ教皇の持つ魔力の半分以上が消費された次の瞬間、ゾスマの目の前に半透明のシールドが現れた。
ガキィィィィィィン!!
ゾスマのハンマーはシールドに防がれた。
「なっ!俺の全力をっ?!」
「はあああっ!!」
ズバッ!!
その一瞬の隙に、レオナルドの剣はスブラの首を斬り飛ばした。
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