三者会談、再び?
月明かりの差す夜の王城内の応接間。
再び三者会談が行われていた。
メンバーは前回同様、クロエ教皇、モーリス国王、シーナ女王、それと護衛レオナルドの実質4人の話し合いだ。
「みんなはさくらさんをどう感じたかしら?」
クロエ教皇が話しの口火を切った。
「教皇様はさくらが気になりますか、踊りが上手な事以外は普通の子供に見えましたな。私はジャックが気になったと言うか気に入りましたぞ」
「モーリス国王もそうでしたか。私もジャックさんが気に入りました。レオナルドさんと戦ったのを見てジャックさんは凄いなぁと感心しましたわ」
「手合わせした私と致しましては、不覚にもジャック君に1本取られましたが、とても嬉しく感じました。絶対教皇様の護衛に為べきです」
「あの戦いは私も驚いたぞ。やはり皇国軍に欲しいな」
頬杖をついてうわの空だったシーナ女王が呟く。
「ふぅ~、私がもう少し若かったらジャック君にアタックするのになぁ~」
「ふふっ、その気持ちは私も分かるわよ。護衛の話しを受けてくれたら側に置いておけるのにと私も思ったくらいだもの」
「ぐおぬおぅ~、ジャックの奴め羨ましい。今度手合わせと称して叩きのめしてやろうか」
「あらっ国王様ったら大人げないですわ。私や教皇様に嫌われますよ?」
「ははっ冗談ですよ冗談。私もジャックを皇国軍に欲しいと思ってるから変な事はしませんよ。ジャンはどうでしたか?」
「ジャンさんですか。私としてはレオナルドさんと互角にやり合っていたのが凄いなぁと………それくらいです」
「私はそうね、義手で二刀流なのが不思議だったわ。出来るものなのね」
「いやいや教皇様、義手で二刀流なんて普通は出来ませんぞ。あんなに自由に扱える義手などありませんから。国王の私ですら知らない義手ですよ。よく見るとまるで生身の腕の様な義手でしたな。そんな義手があったとは驚きです」
「私共ヴェスパジアーナの更に東の国々には、まだ知られていない技術があると聞きます。もしかしたらその国々の技術ではないでしょうか?」
「う~む、危険な海を渡らなければ行けない東の国か。ありえますな。ジャンから聞き出したいところじゃが、Sランクに匹敵するジャンが秘密にしている事を無理に聞いて嫌われてもいかんから、教えてくれるまで待つしかないな」
シーナ女王がクスッと笑う。
「ふふっ、国王様が気をつかうなんて珍しいですわね、ジャックさんに嫌われてもダメですからね?」
「そうだよな、気をつけよう」
「さくらさんは魔力を持たない普通の子だったけど、神様に対する姿勢は素晴らしかったわね」
「そうですね、神様に楽しんで頂くと言う考え方は私もなるほどと思いましたわ。可愛らしくて優しい雰囲気の女の子でしたから。ジャックさんが惚れてしまうのも分かる気がしましたわ」
「ジャンとジャックが入れ込んでる女の子だ、さくらに嫌われたらジャンとジャックに嫌われる事になるから気をつけないとな」
「そうね」
「そうですわね」
「そういやぁ、何でジャンとジャックが入れ込んでるんだ?」
「ジャックさんはさくらさんが可愛いからでしょうけど、ジャンさんの気持ちは男性陣の方が分かるのではないかしら?」
「ジャンの気持ち?そうだなぁ、私だったらさくらは可愛いから孫としてかな?」
「国王様、ジャン殿は息子のあれと言っていたと思いますが」
「ああ、確かにそんな事を言っておったな。なんか濁した感じがしたよな。息子のあれってのは、息子の母って意味にもとれるんじゃないか?」
「国王様、流石にそれはないでしょう」
「いやいや分からんぞレオナルド。年の差婚は普通の事だ、ジャンが惚れちまったなら仕方がないじゃないか」
「いやいや国王様、孫ほど年下なのですよ?いくら可愛いからって流石にないと……………いや、世の中には幼い子供が好きな人もいるか」
「おおっ?!レオナルドはジャンがロリコンだと?」
「いやいや国王様、私はジャン殿をロリコンだなんて申して居りません!疑っていたのは国王様ですよ!」
「あっ、今ロリコンと言ったではないか」
「いえ、言ってないと言う意味でロリコンと言ったのです」
「またロリコンと言った!」
「国王様が最初にロリコンと言ったのですよ?!」
「私はレオナルドの意見を分かり易くロリコンと言ったのだ!」
「私はジャン殿がロリコンではないからロリコンと言ったのです………んっ??」
「んっ???」
二人とも何を言ってるのか分からなくなっていた。
「モーリス国王1つだけいいかしら。さくらさんはラダック村出身だと言ってたけど、その事を確認してもらえるかしら」
「分かりました教皇様。情報収集に長けた者を向かわせましょう」
「ありがとうモーリス国王。それではみなさん、ジャンもジャックも大切だけどさくらさんに嫌われるとジャンとジャックにも嫌われると言う認識でいいかしら?」
「まあそうですな」
「ええ、さくらさんが一番大切って事ですわね」
「はい、肝に銘じておきます」
咲良の立場が妙に過保護な感じになっていった。
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