王城で神楽!☆1
少し短いです。 m(_ _)m
国王への神楽の披露が2日後に迫っていた日の朝。
咲良はジャンが突然帰って来て、まだ神楽の事を話していなかった事を思い出す。
宿屋フレンドで朝食を食べながら、咲良はジャンに気軽に話した。
「ねえジャン、2日後に国王様の前で神楽をやる事になってるから太鼓よろしくね」
「おう太鼓か、久しぶりだな分かった…………んっ?国王?」
ジャンの食事の手が止まり、段々と今言われた事を理解し始める。
「いや、ちょっとまてお嬢ちゃん。俺でもお嬢ちゃんに魔力を感じないくらいにはなってるが、国王様はSランクだから俺よりも魔力に敏感だ。経験も豊富だしちょっとした事でお嬢ちゃんの事がバレるかもしれないんだぞ?」
「あぁそっか、国王様ってSランクだったわね」
神楽を披露するのは、国王の命令なので断る事など出来ないから、咲良はあまり深く考えるのは辞めていたのだ。
ジャンはブツブツと悩み出す。
「これはマズいかもな。国王相手に断るのは無理だし、神楽をやれば目を付けられる。だが断ろうとすればもっと目を付けられる。お嬢ちゃんの偽者を用意するのはどうだろう………いや、踊れないからすぐにバレて目をつけられるどころの話しじゃなくなるな。あっ!お嬢ちゃんが怪我をしたって事で断るか………悪くないかもな。思い切って腕の1本や2本折れば……………お嬢ちゃんが見つからずに済むのならいいかもな……………ふっふっふっ」
ジャンは追い詰められて闇落ち寸前だった。
その後、ジャンが闇から帰ってきてから話しあった結果、まぁ国王1人くらい大丈夫じゃね?と言う、安直な結論に至った。
もう他に選択肢は無く、みんなは言い訳を欲しいだけだったようだ。
* * * * *
国王に神楽を披露する日がやって来た。
そもそも何故、神楽を国王の前で披露する事になったのかと言うと、王都で国王の留守を任されている第1王子クリスティアーノ・エウゼビオが見たかっただけだったのだ。
第1王子クリスティアーノ・エウゼビオは肩まで伸びたグレーのさらさらヘアーのイケメン王子、世間の話題には敏感なのだ。
王都の住民の間で流行っているから国王は見るべきだと言う言い訳の元、自分が観たいからと言う理由を隠し、国王の帰国に合わせて神楽をセッティングしたのだ。
しかし教皇やヴェスパジアーナ共和国女王陛下が神楽の事を知り、何故か一緒に観る事になったのだ。
クリスティアーノ王子は側仕えのラリアと共に神楽の舞台と客席の準備に右往左往していた。
ラリアは栗毛色の髪をきちんと後ろでまとめ、ジャケットとタイトスカート姿の、出来るキャリアウーマンのような雰囲気の側仕えだ。
しかし見た目とは裏腹に、まだ若く言葉遣いが未熟でおっとりとした口調で世間知らずな話し方をするラリアは、王族に仕えるには似つかわしくない側仕えだった。
「クリスティアーノ王子、本当に大丈夫ですかぁ?」
「大丈夫に決まっているよ、王都で一番人気なんだよ。王子たる者が下々の者たちの話題についていけなくてどうするんだい。ラリアだってみたいだろう」
「そうですけどぉ、でも子供が踊るだけですよねぇ」
「人気があるのだからきっと凄いよ」
「クロエ教皇様やシーナ女王陛下までご覧になるのですから、しょぼかったら大変ですよぉ?失礼があってからでは遅いのですよぉ?」
「………きっと大丈夫だよ」
「本当ですかぁ?たかだか子供の踊りですよぉ?きっとしょぼしょぼのしゃばしゃばですよぉ」
「だっ大丈夫だって…………たぶん」
「いやぁ~~!どうかなぁ~~!全然大したことなくて、クリスティアーノ王子、モーリス国王に怒られないといいなぁ~~」
「えぇいっラリア!どうしろと言うのだっ!」
「あっ怒っちゃいましたね、ふふっ、いえ、今さらどうする事も出来ないんですけどぉ、何かあっても私のせいじゃないですからねぇ」
側仕えのラリアは、クリスティアーノ王子を揶揄って遊んでいるようだった。
* * * * *
王城内の控え室で神楽の準備を整えて待つ咲良たち。
これから神楽を披露するのだが、観客が国王や王族だけでなく教皇とヴェスパジアーナ共和国女王陛下も一緒にいる事をまだ咲良たちは知らなかった。
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本作を読んで頂き有難う御座います。
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