三者会談!
3者会談の為にクリストフィオーレ皇国・王都レオーネに集まった3人は、城の豪華な応接間の大きなテーブルを囲んでいた。
上座に座るのはこの国の国王では無く、ロンバルディア教会教皇・クロエ・フォンターナ=ロンバルディアだ。
ロンバルディア教会は多くの国に影響力を持ち、その最高責任者である教皇は国王よりも上の立場となるのだ。
クロエ教皇はLV60聖属性のSランク、銀髪で全てを見透かすような鋭い目つきのおば様だ。
もう1人は、クリストフィオーレ皇国の国王・モーリス・エウゼビオ。
LV60で土属性のSランク、グレーの短髪で、ガッシリとした体躯の渋いおじ様だ。
3人目は、ヴェスパジアーナ共和国女王、シーナ・フローラ。
LV56で風属性のAランク、グレーヘアーで優しさと厳しさを持った落ちついた雰囲気のおば様だ。
3人とは別に部屋の片隅に立っているのが、教皇の警護を担当する、レオナルド・プラチド。
LV58氷属性のAランク、40代後半でのプラチナブロンドのイケメンだ。
この部屋に現7英雄の内の4人が揃った形になる。
教皇が威厳のある声で挨拶を始めた。
「本日はお集まりいただきありがとうございます。みなさんお元気そうでなによりです」
「教皇様こそ昔と変わらず活動的だと聞き及んでおります」
「いつまでも肌も艶々で若々しくお綺麗でいらっしゃいますわ」
モーリス国王とシーナ女王も挨拶を返した。
「あら、私のせいかしらみなさん畏まっちゃって、昔の様に普通に話しましょう」
「まあ、我々しかいないわけだしな」
「ええそうねせっかくですから、クロエ教皇もレオナルド国王もこちらに座ったら?」
みんな距離を置いて座っていたので、シーナ女王は自分の両脇の椅子を指した。
「流石に三者会談ですから、そこまではいきませんな」
「ふふっ、そんな真面目なタイプだったかしら?」
「なんと仰ろうとこの場では無理ですからね」
「「「ははははっ」」」
「それでは本題に入るとしましょうかね」
「じゃあ私から最近の魔族の動きを報告致します」
モーリス国王はクロエ教皇とシーナ女王に簡単に説明する。
ここ数十年何もしてこなかった魔族の動きが活発になってきた。
魔族が少人数で国境を越えては出会った者を殺害していくと言う被害が増えてきたのだ。
少し前には角2本持ちのダブルの魔族まで国境を越えてきていたようなのだ。
部屋に居る4人とも難しい表情をしていた。
「説明ありがとうモーリス国王。その状況からするとすでに魔王が降臨している可能性が高いのかしら」
「そうかもしれないですわね。まだ若いといいんですが」
「そうだな、魔王が居るとしたら力をつける前に討伐したいが、こちらの態勢も整ってないのですぐには厳しいだろうな」
「魔族が攻めて来る時は万全の態勢でしょうから、その前に先手を打ちたいわね」
「今、ガンドルフ帝国と共に魔族への警戒を強めてるところだ。皇国からの援軍としては軍を派遣すると色々と問題が起こるので、冒険者を数PT派遣してる。もっと彼等に魔族の動向調べさせて魔族の情報を集めないとな」
「ガンドルフ帝国のカルロス国王も交えて話し会いが必要そうですね」
「分かりました教皇様、私が連絡を取って話し合いの場を設けましょう」
「ええ、お願いするわモーリス国王」
ガンドルフ帝国国王も現7英雄の1人だ。
カルロス・ロウ、LV60火属性でSランク、魔族国との最前線を守るとても頼もしいライオンの獣人だ。
本題も終わり、教皇は雑談を始めた。
「ところでみなさん。今日王都で馬車の中から赤白の変わった服を着た女の子を見かけたんだけど、何か気になりませんでした?」
護衛として扉の横に立っていたレオナルドが話しに入って来る。
「ああ、あのスリにあっていた女の子ですよね。私はあの子が飼っていた小鳥が気になりましたね。弱いですが魔力を持っていたように感じました」
「小鳥が魔力を?同じ子かは分からないけど赤白の服を着た女の子なら、昨日私も見ましたわ。気になる子だなと思ったのは同じですわ。一緒に小鳥か居たかは分かりませんが、確かに小さな魔力は感じましたね。一緒に馬車に乗られていたモーリス国王もお気づきになられたのではなくて?」
「あの塀の上に居た子かな?」
「まあ、やっぱり気がついておいででしたのね」
「気がついたと言うか何かの魔力は感じたが、子供だったし人混みだから勘違いだろうと思ってたんだ」
その後、自分が感じた事を思い思いに話したが、気になる以上の話しは出てこなかった。
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