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馬車再び!


 東地区広場にあるさくらカフェ。



 昨日、国王が帰国した時のように開店の準備を手伝っていた咲良。


 ガラス越しに外を見ると、昨日のようにかなり人が多かった。


「今日も何かあるの?」


 咲良は何かありそうだからまた手伝いに来たのだ。


 またエルマが答える。


「今日はですね、教皇様がお城に来られるのです」


「ええっ!教皇様って教会の1番偉い人だよね?」


「ええ、国王様とヴェスパジアーナの女王陛下と教皇様の三者会談の為にいらっしゃるそうですよ」


「こうしちゃいられないわ!教皇様の顔を見に行ってくるっ!」


「あっ、ちょっ、さくら様!」


 エルマが声をかけた時には、もう咲良は店の外を走っていた。


「もう、さくら様ったら、このお店の2階から見えるのに………昨日も言ったかしら」



  *  *  *  *  *



 咲良は昨日ゼロが教えてくれた場所に行こうとしたが迷ってしまった。


「むぅ~、昨日の場所はマニアックすぎてゼロが居ないと辿り着かないわ。しょうがない、子供の立場を利用して大通りの人混みに突っ込んでみるか………」


 その後咲良は子供の利点を生かした頑張りにより、人混みの最前列に立っていた。


「はぁっはぁっ、やったわ、人がいっぱいで窮屈だけど目の前を馬車が通るからよく見えるわ」


 最近は咲良がぶら下げているポシェットの中がふわちゃんの定位置だった。

 ふわちゃんはそのポシェットから出て来て、咲良の首元にうずくまって気持ち良さそうにしていた。


 暫くすると、槍や剣を装備した兵士を先頭に行列が近づいて来た。

 昨日と同じくらいの人数だが、咲良には分かった。

 教皇が乗っている馬車から感じる魔力は、今までで1番大きかったし、その側に居る騎士も同じくらい大きな魔力だったのだ。


(昨日の国王様も大きな魔力だったわね、昨日は場所探しで慌ただしかったから忘れてたけど、この近さは大丈夫かしら………まぁ魔力隠蔽してるし何とかなるでしょ)



 咲良の目の前を鎧を着て槍や剣や弓を装備した兵士たちが足並みを揃えて通り過ぎて行く。

 次に馬に乗った騎士たちが周りを警戒しながら通り過ぎる。

 教皇の乗る馬車とその側にいる魔力の高い騎士が近づいて来た。


(やっぱりあの騎士の魔力も高いわね、昨日の国王様とヴェスパジアーナ共和国女王陛下、それに教皇様とあの騎士の4人がずば抜けて魔力が高いわ。あっ!学校で習った現7英雄って人たちに入ってたかも)


 現7英雄とは、1,000年前に魔王を倒した伝説の7英雄の子孫でもあり、現在の最も強いとされている7人の事である。

 どの時代でも7英雄の子孫は、Sランになる事を求められた。

 本人も努力し周りの者も協力するが、中にはSランクに届かない7英雄も居たのだ。

 実際に現在の7英雄でもSランクに届いているのは、教皇、クリストフィオーレ皇国国王、ガンドルフ帝国国王の3人だけだ。

 他の4人はギリギリSランクに届いてないのだ。

 それ程Sランクになるのは難しかった。

 そのうえ魔王の討伐から1,000年近くも経って、魔王の恐ろしさやSランクの必要性などが忘れ去られてきたのも原因の一つかもしれなかった。


(クリストフィオーレ皇国国王様とヴェスパジアーナ共和国の女王陛下、教皇様と護衛の騎士の4人がこの国に揃ったのかぁ…………気をつけた方がいいわね)


 そして歓声と共に教皇の馬車が近づいて来る。


(何だかあの騎士に見られている気がするわ)


「レオナルドさま~~」

「きゃ~今私を見て下さったわ!」

「なによっ私を見たのよ!」

「私よわ・た・しっ!」

「あんた邪魔よっ!きゃ~~レオ様~~!」


 騎士の名は、レオナルド・プラチド、LV58で氷属性。

 クリストフィオーレ皇国の騎士だが、教皇の護衛として任命され常に教皇の側に居るのだ。

 40代後半で金髪のイケメン、現7英雄の一番人気。


 当然、沿道の女性たちは大騒ぎだ。


(うっ、みんな咲良と一緒で自分を見てくれてると思ってるのね…………………きゃっ!恥ずかしっ!)


 咲良は黄色い歓声をあげている女性たちと同類な自分が恥ずかしくて両手で顔を覆っていた。


 咲良の周りの歓声も最高潮に達し、教皇の馬車が咲良の横を通り過ぎようとしていた。


 突然、咲良のポシェットがひったくられた。


「わっ何っ?!」


 人が多すぎて咲良は身動きがとれずに居るが、ひったくられた瞬間にふわちゃんが飛び立っていた。


 ポシェットを持った少年が人混みを抜けて路地裏に駆け込もうとした瞬間、背中に衝撃を受けて倒れ込みポシェットを落としてしまう。


「いって~~っ!あっ俺の獲物!」


 ふわちゃんはすぐにポシェットを咥えて持っていってしまった。


「あ~~っ!くそっ!何だよ折角の獲物を鳥にとられるなんてぇ!」


 ふわちゃんはポシェットを咥えて咲良の元へ戻って来た。


「わぁ~ありがとうふわちゃん。ローラさんからもらった大切なポシェットだったから取り返してくれて嬉しいわ」


 咲良は馬車をみるのも忘れて、帰って来たふわちゃんに頬ずりをしていた。


 最近ふわちゃんは咲良の持ち歩いているポシェットの中が定位置なので、とった少年がよく殺されなかったなと思うくらい激おこだったのだ。


「あっ!馬車っ!」


 咲良が顔を上げると、馬車は通り過ぎるところだった。


 顔を上げた咲良は、馬車の中の教皇らしき人と目が合った気がした。


(いやいや、また目が合っちゃったとか、自意識過剰すぎだわ)



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆



 本作を読んで頂き有難う御座います。


            m(_ _)m



 ☆◦º◦.★◦°◦.☆◦º◦.★◦°◦.☆




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